単独返回送ダンプ用タイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 05:55 UTC 版)
「日本のコンテナ輸送」の記事における「単独返回送ダンプ用タイプ」の解説
定義としては、コンテナの高さに関係なく、あくまでも『空コン時は個別に回送する』ことを目的とした、ダンプカーの荷台部分と同じ構造のコンテナを、積載したトラックの荷台装置によりコンテナ前部(運転席側)を持ち上げて、後部側の下開き形妻壁を開放し積荷を一気に排出する『リヤダンプタイプ』を指す。また積み込みは、天井部位が積荷の飛散防止や、臭気漏洩防止のために設けられた、密閉形の観音開き構造で全開した開口部より投入する。この構造をもつ、段積み用のツイストロック等の固定装置は一切無いコンテナを指すが、背丈はドライコンテナの箱型と比べて、1/2程度のものから箱型そのものの大きさまでと、いくつかの背丈タイプが存在する。なお、後記となる#段積み返回送雑貨用タイプもふくめて、背丈を問わずこれらの『リヤダンプタイプ』として初めて登場したのが、1995年10月から始まった生活ゴミの専用貸切輸送列車、『クリーンかわさき号』で使用される、専用コンテナである。(輸送詳細は、梶ヶ谷貨物ターミナル駅#クリーンかわさき号参照。) この輸送に当たり、現、川崎市環境局が所有・運用している1/2背丈タイプである、新明和製作の UM11A形の1000番台割り当て(焼却灰専用)および、 当時コンテナを大量に製作していた富士重工が製作した箱型状の背丈のある UM13A形の1000番台割り当て(可燃物専用)の二種類を手始めとして、その後に全国通運への委託輸送のコンテナ形式も含めて二形式の専用コンテナが追加配備されて、今日に至っている。 1997年1月からは、埼玉県のJR大宮駅近くで始まった『さいたま新都心建設工事』で発生する大量の残土輸送を担うために、川崎市の事例で実績を積んだ、新明和が新たに開発した残土輸送専用の私有コンテナ、 UM12A形の5000番台が登場した。コンテナの所有者は、1991年6月に埼玉県を含む関東近県の複数の自治体及び、建設関連企業等が出資して設立された残土管理団体となる民間企業である、『首都圏建設資源高度化センター(現、建設資源広域利用センター)』が環境省からの補助金を受けて、200個以上を所有した。残土輸送は、専用のコンテナ車 ( コキ104形5000番台 ) を用い、1両にこのコンテナを3個、16両編成で計48個積載し、大宮操~熊谷(タ)間を1日に3往復した。この残土輸送は約二年後の1998年12月に終了した。終了後、不要となったコンテナは、容積の関係で二段積み回送は出来ないものの、この斬新な輸送方法が評判となり、また複雑かつ増え続けていく産業廃棄物等の安全な処理策が検討され始めていた時代の背景も重なり、各種の産廃輸送や関連する事業(堆肥輸送や衛生陶器の原料輸送等)などに売却・転売されて多くの企業が運用した。これらの廃棄物輸送事例が土台となり、以後今日まで多くの多種多彩な輸送事例へと発展し続けている。 なお、その後の新規の登録形式では、JR貨物直後から変更となったコンテナ容積を元に付与形式の二桁数字部位は、この無蓋コンテナ系の場合のみ『固体個々の床面積』を元に付与されているが、致命的な弱点である背丈が1/2を越えて『段積み』が出来ないこれらの形式別で見ると、UM12系での登録は、なかなか見受けられないようである。またUM12系での積載物では、積載重量の割には比較的容積の増えやすい傾向のために、これに伴いコンテナの背丈も連動して自然と高まり、特に見られる傾向としては輸送中での背丈の最大規制値に対して、1/2をやや超えてしまうために積荷の性質上、比較的同一区間を定期的に往復輸送するために空コン回送時に経費節約できる段積みが出来ないという例も見受けられる。この点に関しては近年、旧式コンテナ車が全廃され、すべてコキ100系に入れ替わったために、一部で続いていたコンテナ本体の背丈規制も無くなった事から、今後の二段積み事例の増加が期待される。 特記事項として、2011年3月11日に起こった東北大震災以降では、大量に発生した震災瓦礫類を効率よく運ぶために、軽量且つかさばる積荷の性質も相まって、日本通運及び、全国通運の二グループに別れて統一仕様の数百個に及ぶ大量の5t級箱型無蓋コンテナUM8Aを中心として、10t級の箱型も交えて新形式も登場した。これらの特殊な事情ゆえに、段積みの出来ない箱型ながらもダンプアップして排出する方式の無蓋コンテナが各種補助金制度の支援もあり次々と登録された。この『箱型ダンプ式』では、コンテナ上部が観音開きに開く構造は変わりなく採用され続けているが、後部の排出方式では一部の事例を除き殆どの場合は、ドライコンテナと同様に、観音開きを採用している。これはコンテナ容積が大きくなった分、積載容量が増え、また何より瓦礫等の性質上、事前に選別や破砕処理は厳重にしてあるものの異型物や絡みやすいシート状の積荷も多く、従来の妻壁が上からぶら下がっている状態では排出の時間が掛かるために、あえて後部間口が全開する観音開き方式が積極的な採用されている。なお、これらの瓦礫を容易に運べるコンテナは、東北大震災関連の瓦礫輸送が終了した後は、一時的には余剰になるが、近年、全国で起こる災害の現場において引き続き活躍している。 ※詳しくは、#災害とコンテナの関わりを参照 そのほか、大規模な土木工事などで利用されやすい総括的に一列車を貸切る別件では、2017年5月27日から三年間に渡り、UM12A-105000番台(実際は、5000番台の登録数が1000個を超えたための付番。)を使用した、梶ヶ谷貨物ターミナル駅 - 扇町駅先にある三井埠頭までの『リニア新幹線残土輸送事例』での登録で、全国通運所有で150個登録による輸送実績もある。 ※このコンテナは、JR貨物発足後に新たに生まれた種類である。 ウィキメディア・コモンズには、単独返回送ダンプ用タイプに関するメディアがあります。
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