単独講和と全面講和論とは? わかりやすく解説

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単独講和と全面講和論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:16 UTC 版)

日本国との平和条約」の記事における「単独講和と全面講和論」の解説

こうした国際情勢受けて日本国内では、アメリカとの単独講和と、第二次世界大戦当時日本交戦国でありかつ連合国であったソ連中華民国国民党政権)も締結すべきとする全面講和論とが対立した単独講和とは自由主義資本主義国家陣営属し、またアメリカとの二国間軍事同盟締結してアメリカ軍部隊のみ「在日米軍」とし駐留引き続き維持させる立場実際に52国が講和条約参加しており、そのため多数講和または部分講和ともいわれるこの他片方陣営とのみ講和を結ぶという立場から片面講和という言い方もある。 全面講和論は自由主義共産主義国家冷戦構造のなかで中立立場をとろうとするもの。いずれもソ連中国を含むか含まないかが争点となった全面講和論者都留重人は、単独講和とは、共産主義陣営仮想敵国とした日米軍事協定ほかならないとしている。 内閣総理大臣吉田茂単独講和主張していたが、これに対して1946年3月貴族院議員となっていた南原繁東京帝国大学教授)がソビエト連邦などを含む全面講和論を掲げ論争となった。また日本共産党労働者農民党らは全面講和愛国運動協議会結成社会党全面講和立場をとった。南原1949年12月にはアメリカワシントンでの米占領地教育会議でも国際社会自由主義陣営共産主義陣営二分していることから将来戦争可能性言及しながら、日本は「厳正な中立」を保つべきとする全面講和論を主張した1950年4月15日には南原繁出隆末川博上原専禄大内兵衛戒能通孝丸山真男清水幾太郎都留重人らが平和問題談話会結成し雑誌世界』(岩波書店1950年3月号などで全面講和論の論陣組んだ。『世界1951年10月号は、山川均非武装憲法擁護」などを掲載した特集 講和問題」を組み大きな反響をよんだ。 こうした全面講和に対して1950年5月3日自由党両院議員秘密総会において吉田は「永世中立とか全面講和などということは云うべくして到底行なわれないこと」で、「それを南原総長などが政治家領域立ち入ってかれこれ言う事は曲学阿世の徒他ならない」と批判した南原吉田批判に対して学者にたいする権力弾圧以外のものではない」「官僚的独善」と応じ、「全面講和国民何人も欲するところ」と主張した当時自由党幹事長だった佐藤栄作は、南原にたいし「党は政治的観点から現実的な問題として講和問題とりあげているのであって」「ゾウゲの塔(象牙の塔)にある南原氏が政治的表現をするのは日本にとってむしろ有害である」と応じた。また小泉信三は、単独講和米軍による占領継続よりも優るとして「米ソ対立という厳し国際情勢下において、真空状態つくらないことが平和擁護のためにもっとも肝要」であり、全面講和論はむしろ占領継続主張することになると批判し単独講和擁護した。他に津田左右吉は、平和を脅かす本源ソ連であると述べており、田中美知太郎は、安心していい講和など考えるほうがどうかしているとして「小生悲憤慷慨仲間入りをする気はしません」と述べている。 『世界』=平和問題談話会は、「講和問題についての平和問題談話会声明」で、単独講和反対全面講和主張したが、『朝日新聞』が1950年9月下旬おこなった世論調査(「講和日本武装」、1950年11月15日掲載)は、 単独講和=45.6% 全面講和=21.4% わからない=33.0% 単独講和支持が、全面講和支持の2倍以上であり、社会党支持者でも全面講和支持32に対して単独講和支持53%もいる。全面講和一般世論はもちろん社会党支持者でも支持されていない

※この「単独講和と全面講和論」の解説は、「日本国との平和条約」の解説の一部です。
「単独講和と全面講和論」を含む「日本国との平和条約」の記事については、「日本国との平和条約」の概要を参照ください。

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