南北戦争と奴隷解放運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/11 07:38 UTC 版)
「ジョンズ・ホプキンズ」の記事における「南北戦争と奴隷解放運動」の解説
南北戦争に向けた最初の軍事行動のひとつは、ホプキンズが夏の静養地にしていたクリフトンで計画されたが、この場所は、ホプキンズが後のエドワード7世をはじめ多くの外国人名士をもてなしていた場所でもあった。南軍やアメリカ連合国に共感・支援したメリーランド州の一部の住民とは異なり、ホプキンズは強力に合衆国(北軍)を支援した。南北戦争の間、クリフトンは地元の合衆国支援者やアメリカ合衆国司法省の会合の場として頻繁に利用された。 ホプキンズによるエイブラハム・リンカーン支援は、メリーランド州の多くの有力者たちとは正反対の態度だった。中でもアメリカ合衆国最高裁判所長官も務めたロジャー・トーニーは、「ヘイビアス・コーパスを定め、軍隊をメリーランド州内に配備する」という大統領決定に反対し続けた。ホプキンズは1862年にリンカーンへ送った手紙の中で、中傷にとらわれることなく、メリーランド州に軍を駐留させ続けるよう書き送っている。ホプキンズは金銭・兵站の面でもリンカーンを支援すると固く誓約し、自分が投資していたボルチモア・アンド・オハイオ鉄道の自由利用も申し出た。 ホプキンズは、南北戦争以前・戦中・戦後のレコンストラクション期を通して、「世界が創造される前からの奴隷解放運動家」(英: "abolitionist before the word was even invented")と称されるほどの人物だった。ホプキンズの両親は、クエーカーの布告に従って農園の奴隷を解放したが(1807年)、ホプキンズ12歳の時のこの体験が、奴隷制度廃止運動家としての活動に影響したとする記述がいくつか見られる。南北戦争前にも、ホプキンズはアメリカを代表する2人の奴隷制度廃止運動家、マイアティラ・マイナー(英語版)やヘンリー・ウォード・ビーチャーと親しく交流している。南北戦争の間、ホプキンズはリンカーン・合衆国(北軍)の忠実な支援者であり続け、リンカーンの奴隷解放ビジョン達成を手助けした。 南北戦争後のレコンストラクション中には、奴隷制度廃止運動を進めるホプキンズの方針が、ボルティモアの多くの有力者を激昂させた。レコンストラクション中から亡くなるまでホプキンズが行った奴隷制度廃止運動については、ジョンズ・ホプキンズ財団(英: Johns Hopkins Institutions)の文書に記録されているほか、この財団設立以前からの活動も新聞記事で報道されている。南北戦争前には、マイアティラ・マイナーのアフリカ系アメリカ人女性向け学校(現在のディストリクト・オブ・コロンビア大学(英語版))設立をホプキンズが支援したことへ、強い反対意見も寄せられている。同じくレコンストラクション中で、ジョンズ・ホプキンズ財団が株式会社化された1867年には、メリーランド州憲法制定会議への召還を中止させようとして失敗したホプキンズへ、批判(一部援護を含む)が寄せられた。この時メリーランド州では民主党が政権につき、1864年に急進派共和党政権のもと制定された州憲法に代わって、新しい州憲法(英語版)を制定しようと投票が行われていた。 ホプキンズは、ボルティモア市やメリーランド州、そしてアメリカ全土に再来しかけていた人種差別に対し、様々な方法で真っ向から対立したが、そのひとつが、彼自身の名前を冠して死後設立されたジョンズ・ホプキンズ大学だった。『ボルチモア・アメリカン(英語版)』紙の記者は、ホプキンズが大学・病院・孤児院と、黒人の子ども向けに3種の機関を創設したことを讃え、病院の計画で黒人・白人両方を対象としたことを引きながら、ホプキンズは「(時代に先駆けた)どの人種も知らない人間」(英: a "man (beyond his times) who knew no race")だったと述べた。この記者は、無料で受診できる病院や、偏見無しに誰でも利用できる救急サービスの創設など、ベンジャミン・フランクリンとホプキンズの病院管理・建設に関する理念の共通点についても指摘している[要出典]。この記事は1870年に初めて出版され、1873年のホプキンズの死を受けて同紙に掲載された追悼記事にも囲繞された。ホプキンズの生前や死後直後に掲載された多くの新聞記事が、貧しい生徒への奨学金創設や、行政サービスの行き届いていない貧しい人々へ年齢・性別・人種にかかわらず保健サービスを提供したこと、黒人の子ども向け救貧院や孤児院、精神科疾患や回復期の患者用の保護施設建設などを取り上げている。
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