励起子とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 電気 > 電気 > 励起子 > 励起子の意味・解説 

れいき‐し【励起子】

読み方:れいきし

半導体絶縁体において、外部からの光などによって励起され電子正孔クーロン力で結びついた対。特にその対を、結晶中を伝播する一つ中性粒子みなしたものを指す。エキシトン


励起子

読みれいきし
英語:exciton

半導体絶縁体を光励起したときに生ず電子正孔が対となった中性粒子.この粒子移動して電流にはならないが,エネルギや熱は伝えることができる.格子不純物衝突して電子正孔分解して電荷持った粒子となることができる.

励起子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 02:12 UTC 版)

励起子
ワニエ励起子が結晶格子中を動き回る様
組成 電子正孔
グループ 異種原子
質量 me有効質量は別にある
電荷 -e、相対的には0
テンプレートを表示

励起子(れいきし、exciton)とは、半導体又は絶縁体中で電子正孔の対がクーロン力によって束縛状態となったもの。エキシトンとも呼ばれる。

励起子の生成

励起子の生成は多くの場合光励起などによる電子-正孔の対生成によって起こり、このことがその名の起源ともなっている。光励起による励起子は以下のように生成される。

  1. 光などの励起によって、絶縁体又は半導体の価電子帯の電子が伝導帯に遷移して、価電子帯に正孔が、伝導帯に電子が形成される。
  2. 正孔は正の電荷を持つため、負の電荷を持つ電子との間にクーロン引力が生じる。この状態は、簡単には水素原子における核(陽子)と電子と同様の取り扱いができる。
  3. 陽子と電子がペアを組んだ状態が水素原子であるように、電子と正孔がペアを組んだ状態を一つの粒子として取り扱うことができ、この状態を励起子という。励起子は非金属結晶中における代表的な電子励起状態であり、光学特性に大きく寄与する。

上記では価電子帯の正孔と導電体の電子による励起子を説明したが、励起された正孔と励起された電子でも励起子をつくることができる。

励起子のエネルギー

励起子のエネルギーは、電子と正孔の重心運動エネルギーと相対運動エネルギーの和である。相対運動の波動関数の広がりが、格子間隔に比べてかなり大きい場合はワニエ励起子、小さい場合はフレンケル励起子と呼ばれる。

励起子を生成するために必要なエネルギーは、電子正孔間の束縛エネルギーの分だけバンドギャップエネルギーよりも低い。つまり励起子状態は電子と正孔が孤立している状態よりも安定である。したがって、反射スペクトルにおいては、バンド間遷移による連続スペクトルよりも低エネルギー側に鋭いピークとなって現れる。

励起子の自己束縛

自由励起子

いかなるときも普遍である硬い格子を伝播する励起子は自由励起子と呼ばれる[1]。自由励起子は結晶中を自由に動くことができる。

自己束縛励起子

原子、分子が格子振動している変形可能な格子を伝播する励起子は、格子振動との相互作用により、大きく性質を変化させる。この励起子-格子相互作用により、結晶格子が大きく歪んだ状態では、励起子は特定の場所に局在する。このような現象を励起子の自己束縛と呼び、この励起子を自己束縛励起子と呼ぶ[1]

脚注

  1. ^ a b 励起子と励起子の自己束縛Active Materials Science Lab.

関連項目


励起子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/07 01:16 UTC 版)

異種原子」の記事における「励起子」の解説

励起した半導体絶縁体の中での、電子正孔との束縛状態

※この「励起子」の解説は、「異種原子」の解説の一部です。
「励起子」を含む「異種原子」の記事については、「異種原子」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「励起子」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「励起子」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



励起子と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「励起子」の関連用語

励起子のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



励起子のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日本画像学会日本画像学会
Copyright (C) 2025 The Imaging Society of Japan All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの励起子 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの異種原子 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS