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判決全文

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 16:46 UTC 版)

外国人参政権裁判」の記事における「判決全文」の解説

主文 本件上告棄却する上告費用上告人らの負担とする。 理由 上告代理人相馬達雄、同平木二郎、同能瀬敏文の上理由について 憲法第三章の諸規定による基本的人権保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き我が国在留する外国人に対して等しく及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員選定罷免する権利保障我が国在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権原理に基づき公務員終局的任免国民存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条規定照らせば、憲法国民主権原理における国民とは、日本国民すなわち我が国国籍有する者を意味することは明らかである。 そうとすれば公務員選定罷免する権利保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利保障は、我が国在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。 そして、地方自治について定め憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記国民主権原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨鑑み地方公共団体我が国統治機構不可欠要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体区域内に住所有する日本国民意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国在留する外国人に対して地方公共団体の長、その議会議員等の選挙権利保障したものということはできない。 以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三一〇四日判決民集三二七号一二二三頁)の趣旨徴して明らかである。 このように憲法三条二項は、我が国在留する外国人に対して地方公共団体における選挙権利保障したものとはいえないが、憲法第八章地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治重要性鑑み住民日常生活密接な関連有する公共的事務は、その地方住民意思に基づきその区域地方公共団体処理するという政治形態憲法上の制度として保障しようとする趣旨出たものと解されるから、我が国在留する外国人のうちでも永住者であってその居住する区域地方公共団体特段緊密な関係を持つに至った認められるものについて、その意思日常生活密接な関連有する地方公共団体公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって地方公共団体の長、その議会議員等に対す選挙権付与する措置講ずることは、憲法禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であってこのような措置講じないからといって違憲問題生ずるものではない。 以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決前掲昭和三五一二月一四日判決最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三二七日判決刑集一七二号一二一頁最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号五一四月一四判決民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五号五八四月二七日判決民集三七巻三号三四五頁)の趣旨徴して明らかである。 以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会議員選挙権利日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項各規定憲法一五条一項、九三条二項違反するものということはできず、その他本件決定維持すべきものとした原審判断憲法の右各規定解釈誤りがあるということできない所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項各規定憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定維持すべきものとした原審判断憲法一四条及び右各法令解釈誤りがある旨の主張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条二項解釈誤りをいうに帰するものであって、右主張理由がないことは既に述べたとおりである。 以上によれば、所論の点に関する原審判断は、正当として是認することができる。論旨採用することができない。 よって、行政事件訴訟法七条民訴法四〇一条九五条、八九条、九三条従い裁判官全員一致意見で、主文のとおり判決する

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