判決内容の論点とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 判決内容の論点の意味・解説 

判決内容の論点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/11 00:22 UTC 版)

大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」の記事における「判決内容の論点」の解説

第1陣地裁判決ならびに第2陣地裁判決も、石綿疾患一つである石綿肺医学的疫学的知見1959年にはほぼ集積されたとし、1960年じん肺法制定時に、石綿工場において粉じんへのばく露防止低減するための局所排気装置設置義務付けなかったのは違法とした。1955年に「けい肺及び外傷性せき髄障害に関する別保護法」の制定を受け、1955年9月から1957年3月にかけて、対象事業所数1万2981事業所対象労働者339450人(うち炭鉱労働者144247人)に及ぶ国内外通じて最大規模けい肺健康診断実施された。昭和34年にはその結果として、有所見者数が約38738人にのぼったまた、1954年以降泉南地域石綿工場対象とした検診医学者によってなされるなどの経過踏まえ労働省委託研究によって1956年から1959年にかけて石綿肺等のじん肺に関する調査(「石綿肺診断基準に関する研究」)がなされた1956年及び57年研究において北海道東京大阪奈良において石綿疾患についての検診実施し戦前保険院調査同様に石綿粉じんばく露した量によって疾病罹患する確率が高まることが確認された。これにより、先述した戦前保険院による調査得られ疫学的知見全国的に普遍性のあるものとなった。 これらの経過の中で労働省1958年に「労働環境における職業病予防に関する技術指針」を発出して、石綿等を扱う作業時における粉じん濃度抑制することをねらった。そして、1960年にはじん肺法成立する運びとなった第1陣及び第2陣地裁判決はこれらの経過から、1959年までには医学的かつ疫学的知見集積したあわせて石綿疾患重篤性を考慮すると、労働者の健康や生命を守るために1960年じん肺法成立までに局所排気装置設置基本とした石綿粉じん抑制使用者義務付けず、1971年施行の旧特定化学物質等障害予防規則(以下、旧特化則)で定めるまで義務付けをしなかったのは違法であるとした。 さらに第1陣地裁判決においては、旧特化則作業場内における半年1回定期的な石綿粉じん測定記録の保存義務付けるものであったが、測定結果報告義務付けなかったことは労働安全行政への活用現場実効性担保する意味において不十分であるとして違法とした。すなわち、1960年からの違法1971年終了するわけだが、その時点から新たな違法発生したとの判断であった。なお、ここで指摘され1971年以降違法については石綿利用が終わるまで義務付けられなかったので、違法終期がないものと解釈できる第2陣大阪高裁判決では、「石綿肺診断基準に関する研究」の報告なされた1958年3月31日頃には石綿肺に関する医学的知見確立されたとした。さらに、対策の要とも言える局所排気装置技術的基盤1957年には確立していたとして、「労働環境における職業病予防に関する技術指針」の発出までに局所排気装置設置義務付けることは可能であったとした。したがって、国の違法1958年から発生していたとした。また、1974年3月31日日本産業衛生協会(現・日本産業衛生学会)が従来許容濃度大幅に見直す形で勧告値を出したことに照らして遅くとも1974年9月30日までに同勧告値に見合った改正をすべきであったが、それが1988年9月1日までなされなかったことは違法であるとした。さらに、1972年9月30日制定された「鉛中毒予防規則及び有機溶剤中毒予防規則」において当該業務従事する労働者にはマスクなどの呼吸用保護具使用義務付けているにも関わらず石綿粉じん作業には同様の義務付けをおこなわず、1995年4月1日まで義務付けなかったのは違法とした。加えて、その補助手段として1972年時点特化則改正して、使用者石綿関連疾患対応した特別安全教育実施義務付けるべきでありながら1995年4月1日まで義務付けなかったのは違法とした。

※この「判決内容の論点」の解説は、「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」の解説の一部です。
「判決内容の論点」を含む「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」の記事については、「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「判決内容の論点」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「判決内容の論点」の関連用語

判決内容の論点のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



判決内容の論点のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS