規定の趣旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/08 10:10 UTC 版)
日本においては、市場の公正性の確保するための規制として、金融商品取引法166条において投資者全般を規制対象とし、当該法規制に違反した場合に刑事罰が適用されることとなる内部者取引に関する規制が設けられている。これに加え、内部者取引に関する規制を補完する目的で金融商品取引業者等向けの規制として一定の規律を求めるための行為規制を設ける必要があったことから、金融商品取引業者等における法人関係情報の管理に関する規定が制定された。この規定の制定により、金融商品取引業者等においては、その取り扱う法人関係情報に関する管理や顧客の有価証券の売買等に関する管理について、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じることが「金融商品取引業等に関する内閣府令」などで求められている。具体的な策として業務上知りえた法人関係情報が営業部店等に流れインサイダー取引に利用されることのないよう、チャイニーズ・ウォール(情報障壁)の再確認等、情報管理の徹底・充実が必要であると金融庁では指摘している。なお、金融庁による監査に際して、この管理体制が構築されているかを確認するに当たっては、特に以下の点を重視する旨が金融商品取引業者向けの総合的な監督指針に記載されている。 役職員及びその関係者による、有価証券の売買その他の取引等に係る社内規則を整備し、必要に応じて見直しを行う等、適切な内部管理態勢を構築しているか。 役職員によるインサイダー等の不公正な取引の防止に向け、職業倫理の強化、関係法令や社内規則の周知徹底等、法令遵守意識の強化に向けた取組みを行っているか。 法人関係情報を入手し得る立場にある、金融商品取引業者の役職員及びその関係者による有価証券の売買その他の取引等の実態把握を行い、必要に応じてその方法の見直しを行う等、適切な措置を講じているか。 また、この他、金融商品取引業者の業界団体である日本証券業協会においても「協会員における法人関係情報の管理態勢の整備に関する規則」において、以下の事項を協会員に対して求めている。 協会員は、法人関係部門について、他の部門から物理的に隔離する等、当該法人関係情報が業務上不必要な部門に伝わらないよう管理しなければならない。 協会員は、法人関係情報が記載された書類及び法人関係情報になり得るような情報を記載した書類について、他の部門から隔離して管理する等、法人関係情報が業務上不必要な部門に伝わらないよう管理しなければならない。 協会員は、法人関係情報が記載された電子ファイル及び法人関係情報になり得るような情報を記載した電子ファイルについて、容易に閲覧できない方法をとる等、法人関係情報が業務上不必要な部門に伝わらないよう管理しなければならない。
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