列国議会同盟とは? わかりやすく解説

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れっこくぎかい‐どうめい〔レツコクギクワイ‐〕【列国議会同盟】

読み方:れっこくぎかいどうめい

Inter-Parliamentary Union各国国会議員による国際的な交流組織国際平和と国際協力推進し国連諸活動支持することなどを目的とする。1889年創立本部ジュネーブ万国議員同盟。IPU。


列国議会同盟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/14 15:25 UTC 版)

列国議会同盟
Inter-Parliamentary Union
略称 IPU
設立 1889年
本部 スイスジュネーヴ州ジュネーヴ
会員数
加盟国 - 166
準加盟国際議会 - 7
公用語 英語フランス語
関連組織 本会議、常設委員会、評議員会、執行委員会、女性議員会議
ウェブサイト http://www.ipu.org/
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参加国

列国議会同盟(れっこくぎかいどうめい、英語: Inter-Parliamentary Union, IPUフランス語: L'Union Interparlementaire, "UIP")は、主権国家議会による国際組織である。本部はスイスジュネーヴ。ジュネーブに本部を置く多国間政治組織の中では最も古いものとなっている[1]

概要

イギリスサーウィリアム・ランダル・クリーマーフランスフレデリック・パシーの提唱により、1889年6月にパリで設立された[2]。誕生の背景には、機能主義的国際組織化の潮流があった[3]公用語は英語とフランス語[4]

列国議会同盟は、世界最初の政治的多国間交渉におけるフォーラムであるとされる。発足当初は、個々の国会議員の参加による組織であったが、後に世界各国の主権国家における議会の国際組織に転換していった。また、当初は国際仲裁裁判の理念を促進することに主な目的があり、1894年ハーグで開催された第5回会議では常設仲裁裁判所の組織を立案する委員会の設置勧告が採択され、翌年の第6回会議で常設仲裁裁判所設立の協定案がまとめられた。この案は各国政府に送付され、これがきっかけの一つとなり1899年の第1回万国平和会議招集となったとされる[5]。今日では主な目的として、世界的規模での議会の対話の中心的な場として、平和と諸国民間の協力及び代議制諸制度の確立のために行動することを掲げている[6]。IPU会議、評議員会、執行委員会とIPU事務局の4機関で構成されていて、諮問機関として各国議会事務総長会がある[7]。IPU会議は年2回開催され、各国議会の招請による開催又はジュネーブにおける開催であり、そのうちの少なくとも1回の会議はジュネーブで開催される傾向にある[8]。会議期間中には、女性議員フォーラム、国会議員の人権委員会、若手議員フォーラムも開催される[9]。常設委員会として、平和及び安全保障に関する委員会、持続可能な開発に関する委員会、民主主義及び人権に関する委員会と国連に関する委員会がある[10]

1922年のウィーン会議で憲章が採択された。この憲章はその後様々な修正がなされた後、1976年のマドリード会議で再構成された[3]

2025年7月現在、世界の181の議会が加盟している[11]。設立時の加盟国であったアメリカ合衆国は、2003年10月の第109回会議で、3年以上分担金の滞納により加盟資格停止となった[12]

国際連合への支援にも力を入れており[3]ニューヨークに国連連絡事務所を設置している[13]

2024年現在の議長は、タリア・アクソン英語版タンザニア議会議長)。

日本国会の参加

日本国会は、1908年に加盟し、1939年に資格停止になった後、1952年に復帰した[14]。議員団は、国会議員有志により組織し、団長は両院の議長の中より充てて、副団長は両院の副議長を、顧問には団長とならなかった議長をそれぞれ充てることとしている[15]

日本では、1960年の第49回会議、1974年の第61回会議と、1994年の持続可能な地域開発のための科学技術に関するIPUアジア・太平洋会議、2015年のIPU世界若手議員会議東京会合が開催された[16]。IPU世界若手議員会議は、45歳未満[17]の国会議員による会合で、2015年の東京会合は初めてジュネーブ以外で開催された[18]

また、17名から成る執行委員のうち、アジア・太平洋地域グループ代表執行委員として、日本国会からは、福永健司小宮山重四郎平泉渉瓦力[19]鈴木俊一[20]が、それぞれ務めたことがある。

活動事例

ウェブ上に毎月、各国議会の女性議員の人数・割合を公表している[21]

1994年に「政治活動における男女間の不均衡是正のためのIPU行動計画」を採択した[13]

2006年10月18日、日本議員団の北朝鮮の核実験を緊急追加議題とする提案によって、北朝鮮の核実験発表を非難し、核開発の即時放棄を求める「北朝鮮による核実験声明と核不拡散体制の強化」決議(英語: The announcement by the Democratic People's Republic of Korea of its nuclear weapons test and the strengthening of the nuclear non-proliferation regime)を賛成897票、反対32票、棄権240票の大差で採択した[22]

2007年、ユニセフと共同で子どもへの暴力に対処するための国会議員向けハンドブックを発表した[23][24]

ノーベル平和賞

列国議会同盟の歴代首脳中、以下の10人がノーベル平和賞を受賞している[25]

脚注

出典

  1. ^ ユニセフと列国議会同盟(IPU)、子どもへの暴力の防止に向け団結”. 日本ユニセフ協会 (2007年5月7日). 2014年3月2日閲覧。
  2. ^ 衆議院事務局 訳「同盟ノ確立」『列國議會同盟其事業及現在組織』衆議院事務局〈衆議院公報附録〉、1910年、2-4頁。NDLJP:3462423/5 
  3. ^ a b c 鴨武彦列国議会同盟」『改訂新版世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E5%88%97%E5%9B%BD%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E5%90%8C%E7%9B%9Fコトバンクより2025年10月8日閲覧 
  4. ^ 列国議会同盟”. 参議院. 2014年3月2日閲覧。
  5. ^ 『列国議会同盟の百年』衆議院渉外部、1983年、9頁。全国書誌番号:84025709 
  6. ^ 列国議会同盟規約第1条(「IPU(列国議会同盟)規約〔1894年採択, 2019年最終改正〕」『参議院要覧 1 令和4年版』参議院事務局、2022年、1580-1602頁。国立国会図書館書誌ID: 032462298 
  7. ^ 列国議会同盟規約第8条
  8. ^ 会議概要”. 参議院. 2025年7月8日閲覧。
  9. ^ 列国議会同盟規約第22条乃至第24条
  10. ^ 『IPU会議報告書 第150回』[衆議院事務局]、2025年、15-18頁。国立国会図書館書誌ID: 034146080 
  11. ^ “National Parliaments” (英語). Inter-Parliamentary Union. 2025年7月8日閲覧.
  12. ^ 『第109回IPU会議報告書』衆議院事務局、2003年、8頁。全国書誌番号: 20531538 
  13. ^ a b 列国議会同盟”. 日本女性学習財団. 2014年3月2日閲覧。
  14. ^ 「二、 列国議会同盟日本議員団 (一) 日本議員団の沿革」『列国議会同盟及び同盟日本議員団 昭和34年1月』参議院事務局、1959年、33-37頁。NDLJP:1351679/19 
  15. ^ 列国議会同盟日本議員団規約(明治44年8月1日採択、令和2年3月23日最終改正)『参議院要覧 1』(令和4年)参議院事務局、1603-1604頁。全国書誌番号: 23758583 
  16. ^ 参議院事務局「第30章 IPU(列国議会同盟)等 573 IPUの会議が東京において開催された例」『参議院先例録 令和5年版』参議院、785-788頁。NDLJP:14361732 
  17. ^ 2024年の第149回会議において、規約にある「若手議員」は45歳未満から40歳未満に改正された(『IPU (列国議会同盟) 会議概要 第149回』参議院事務局、2025年、74頁。全国書誌番号: 24099456 
  18. ^ 参議院の動き、参議院、2015年6月3日閲覧。
  19. ^ 『IPU(列国議会同盟)会議概要 第109回』参議院事務局、2003年、13-17頁。国立国会図書館書誌ID: 000004338509 
  20. ^ 『IPU(列国議会同盟)会議概要 第133回』参議院事務局、2016年、101頁。国立国会図書館書誌ID: 028940646 
  21. ^ Monthly ranking of women in national parliaments”. Inter-Parliamentary Union. 2025年7月8日閲覧。
  22. ^ THE ANNOUNCEMENT BY THE DEMOCRATIC PEOPLE'S REPUBLIC OF KOREA OF ITS NUCLEAR WEAPONS TEST AND THE STRENGTHENING OF THE NUCLEAR NON-PROLIFERATION REGIME - ウェイバックマシン(2017年9月25日アーカイブ分)
  23. ^ UNICEF launches handbook to help lawmakers combat violence against children”. Unite Nations (2007年5月2日). 2025年6月30日閲覧。
  24. ^ [Inter-Parliamentary Union and UNICEF] (2007). Eliminating violence against children. Handbook for parliamentarians ; no 13/2007. Inter-Parliamentary Union ELIMINATING VIOLENCE AGAINST CHILDREN - ウェイバックマシン(2017年10月22日アーカイブ分))
  25. ^ 『列国議会同盟及び同盟日本議員団概要 平成2年11月』衆議院事務局、1990年、12頁。全国書誌番号: 21832344 

関連項目

外部リンク


列国議会同盟(IPU)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 01:39 UTC 版)

世界開発協力機構」の記事における「列国議会同盟(IPU)」の解説

2013年9月アジア地域での民主主義強化を行うプロジェクトを行う列国議会同盟(IPU)との協定調印式を執り行ったアジア地域議会には、全く女性議員存在しない国もあることから、議会へのジェンダー女性)や若者参画促し議会能力強化することに焦点当てている。

※この「列国議会同盟(IPU)」の解説は、「世界開発協力機構」の解説の一部です。
「列国議会同盟(IPU)」を含む「世界開発協力機構」の記事については、「世界開発協力機構」の概要を参照ください。

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