作風および評価等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:48 UTC 版)
映画スタッフ編成では、いわゆる「○○組」といった形ではなく、作品ごとにチームを組むスタイルのため、固定スタッフは多くないが、撮影監督の高間賢治とは10作品以上で、作曲家の大谷幸とも8作品で組んでいる。 少女アイドル好きで知られ、アイドル映画で起用されることも多いが、自身の企画においても若手女優のキャスティングに偏重している。ロマンポルノ時代には山本奈津子・イヴ・水島裕子・かとうみゆき、一般映画では深津絵理・小沢なつき・中山美穂・宮沢りえ・斉藤由貴・織田裕二・佐伯日菜子、最近作でも優香・上戸彩・藤原竜也らを起用。その演出手腕にも定評がある。 オタク歴を公言している世代としては映画監督デビュー第1号である。それもロマンポルノという特殊な分野においてアニメパロディを織り込んで注目を集め、その後も『ゴジラvsモスラ』の監督立候補など、怪獣映画を作ることに関心を寄せ、『ウルトラQ』映画化の頓挫を経験した後、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の成功で怪獣映画というジャンルに新風を吹き込んだ。自らの嗜好と趣味を絶え間なくアピールし続けることによって撮りたい映画を撮れる環境を作り上げていった努力の軌跡である。 「ゴジラ」「ガメラ」という、怪獣映画の2大シリーズで作品を撮ったただ1人の監督でもある。さらにテレビドラマにおいては『ウルトラマンマックス』も演出。その劇中でソフトビニール人形を使った子供の遊びとして「ゴジラ対ガメラ」を意図的に構成してみせた。このシーンは金子が直接東宝プロデューサーの富山省吾や角川映画へ許可をとっており、権利関係からDVDソフトには収録されていない。 物語を観客に信じさせるための強固な理屈作りを重視しており、原作ものでも原作にない設定を加えている。怪獣映画では、観客は2体以上の怪獣を観たいと分析しているが、2体以上では理屈付けが難しく、ガメラやゴジラでは対戦相手に古代からの因縁を設けている。 『ガメラ』の撮影では、自衛隊の全面協力を受けたことが『朝日新聞』と『読売新聞』に興味本位で取り上げられて、『しんぶん赤旗』同紙日曜版には自衛隊を賛美するものと同作の完成前から批判する読者投稿が掲載された。 しかし自身は「日本の自衛の為には憲法九条の二項の戦力の保持は改正して軍隊として認めるべきだが、集団的自衛権を否定して軍事同盟も破棄すべき」とする持論があり、自衛隊のメディア戦略なども理解している。そして映画の完成前から批判意見を載せた『しんぶん赤旗』に反論する自らの意見を掲載させている。ただし、『ガメラ』3作全てで戦闘機が撃墜されるシーンが自衛隊から協力をもらうために不採用になった件に関しては、後に『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』で実在しない防衛軍を設定し、その戦闘機が住宅地へ墜落、火災発生というシーンを映像化してみせた。同作品については、日米安全保障条約がなく、戦争放棄のために兵器の所有を認めている世界観であるとしている。 1993年の作品『卒業旅行 ニホンから来ました』の撮影時、主演の織田裕二との間でトラブルが発生し、その顛末を公開直後の『シナリオ』誌に寄稿。製作裏話とともに、織田への批判を述べている。また『卒業旅行』の撮影に関しては、『ガメラ監督日記』の中で「本が3冊書けるぐらい」の経験をした、と綴っている。
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