作風とその変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/20 07:48 UTC 版)
90年代初頭に活動を開始する。1993年から1996年にかけて、FAXレーベルでピート・ナムルックとの共演、あるいはソロ名義で深い内面性・叙情性が感じられる静謐で美しいアンビエントを相次いで発表したが、次第に作品にノイズを用いるようになり、FAXからのソロとしての最終作『Slow and Low』ではホワイトノイズを大々的に用いた。これは、同じくFAXレーベル初期に重要な役割を果たした"ドクター・アトモ"によって盗作されたことも特徴的な作品である。その後『Psycho-Acoustic』で耳あたりのよいハーモニーを排し、DSPを駆使した電子的なノイズによって緻密に構成された実験的なエレクトロニカへと移行した。その一方で、細野晴臣・アトム・ハートとのユニットHATでは、モンド・ミュージックや、トロピカル風な楽曲を制作するなど、多様なスタイルを試みている。前述の"データサイド"は最初期から使われていた名義であるが、アルバムごとに発表されるレーベルが変わり、それぞれハードコア・テクノ、アンビエント・テクノ、ドローン、モンドと激しく作風が変化した。2000年には同じニューヨークの12kレーベルからテイラー・デュプリーとの共演作『Active/Freeze』を発表、かつての面影を微塵も感じさせないプチ、プチというノイズが全編を覆う作品であった。しかし2005年にイギリスのDiNレーベルから発表したソロ作品『Yolo』以降はかつての作風へ回帰しはじめ、2007年1月にはナムルックと11年ぶりの共演となる壮大なアンビエント作品『2350Broadway』シリーズの新作を、そして5月には引き続きFAXからソロアルバム『Inland』がリリースされた。
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