企画運営
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基本的に参加者ひとりひとりが自ら企画し、商品の開発・販売も個人の責任において行われる。組織運営は参加者の会費制により、会員は共同で宇川アクティブライフハウスの厨房を利用する権利を持つ。各製品は京丹後市内の道の駅や宇川温泉吉野の里の土産物コーナーや、ふるさと納税の返礼品などとして、様々な手段により販売されている。多くが個人商品であるが、宇川加工所として会員が協同する場合もある。加工品製造の他に以下のような企画を主に実施する。 ランチバイキング 2015年頃から毎年春秋に実施されている。2015年春には、地元食材を多く使った料理が40種類ほど出された。来場者は2日間で約300人。2017年秋の回では、いのしし肉を使ったしし汁、海藻をつかった白和え、丹後町の特産品であるへしこのパスタ、サザエご飯など、宇川地域の初冬の味覚を提供した。 経ヶ岬灯台の名物弁当の開発、特産品販売 近畿最北端の経ヶ岬灯台は、大型観光バスも立ち寄る人気の観光地で、かつては食堂があったが、10年以上前に閉鎖された。2018年(平成30年)から宇川住民の間で経ヶ岬灯台の荒廃した遊歩道を整備したり、「灯台まつり」を開始するなど灯台を観光資源としての活用しようとする動きがあり、宇川加工所もその動きに賛同した。灯台名物にしようと「岬べんとう」を開発し、同年4月末から月2回、週末に経ヶ岬灯台での販売を開始した。弁当は、地元の食材にこだわり、アゴ(トビウオ)のフライ、ジンバ(海藻)など旬の食材を味わえ、地域の賑わい創出の一助となっている。あわせて、京都府立海洋高等学校が開発したサバ缶詰などの丹後地方の特産品も販売した。 宇川金曜市 宇川地域では、食料品を扱う唯一のスーパーマーケットであった「にしがき」が2019年(平成31年)1月に撤退し、2020年(令和2年)2月には宇川温泉にあったマルシェも改装工事のために休業したため、別のスーパーが運営する週1回の移動販売車が住民生活を支えている。住民が買い物をしたり商品を卸したりする場がほぼ失われたため、宇川加工所は連合区などと結成する「宇川スマート定住協議会」に買い物弱者対策を提案し、2020年(令和2年)3月から毎週金曜日に宇川アクティブライフハウスで「金曜市」を開催した。宇川加工所の他に農家や海産物加工グループなど25以上の個人やグループが出品し、イカやサバなどの干物や旬の野菜、総菜、弁当など70種類以上が販売されている。 当初は買い物弱者対策としてはじめられた「金曜市」だが、市の立つ日には、会場である宇川アクティブライフハウスの喫茶室に集う住民の交流が始まり、地域住民の交流機会としても歓迎されている。 龍谷大学政策学部ゼミと共同開発 宇川地域では2016年(平成28年)から龍谷大学政策学部の今里佳奈子ゼミが地域活性化の研究のために休耕田で米を育てるなどの活動をしている。宇川加工所は2018年(平成30年)から、その米を使った商品開発に協力し、具材の工夫や調理法の助言や、経ヶ岬灯台の一般公開での販売を支援している。 伝統料理の復活 地域食材の活用を視野に商品を開発するなかで、21世紀には失われていた郷土の伝統食の復活につながった商品のひとつに「アユのかす漬け」がある。2018年(平成30年)に「里の公共員」としても活動する増田昌代が、3年間の試行錯誤の末に再現に成功した。江戸時代中期から昭和期にかけて農閑期の冬に伏見の酒蔵に出稼ぎに出向いた丹後杜氏(宇川杜氏)が持ち帰った酒粕に、宇川の鮎を漬け込み、次の冬に酒蔵への土産にもしたものであるが、高齢化による杜氏の減少と河川環境の変化による鮎の遡上数減により、途絶えていた宇川の食文化である。
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