不正入札に関する調査の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/08 09:00 UTC 版)
「鳥羽港防波堤工事公文書改ざん問題」の記事における「不正入札に関する調査の問題点」の解説
当初、副知事をトップとする全庁的な内部調査チームを立ち上げて調査すると発表し、報告書でも『「文書調査グループ」と「工事関係調査グループ」を設け、部を越えた全庁的な調査体制のもとで、全容の解明に向けて取り組む』としていた。しかしながら、文書調査グループによる聞き取りは全庁的な体制で行われたものの、工事関係調査グループによる聞き取りは県土整備部のみで行われた。調査報告書では上記の改ざん部分の記述について、調査事項の決定にのみ採用し、ヒアリング時の証言で文書の内容を否定している。しかしながら証言は矛盾や不審な点を数多く含んでいる。 調査内容の矛盾・問題点証言・書類内容矛盾・問題点(書類調査)同種工事の工期、積算基準にある作業効率(平均作業日数)及び今回工事の施工実績を参考に作業期間を算出した結果、最短では184日間の工期とすることができた。 調査報告書資料によると積算基準では算出できない鋼殻製作部分の施工日数について過去の施工実績を用いて算出した工期は240日から265日、鋼殻製作に要する日数を同規模重量の箱桁橋を参考として試算した結果が184日としている。184日は試算したもののうち最も都合のいい数字を採用したものである。積算基準は適用範囲が定められており、一般的に適用範囲外の工事に関する費用や歩掛(単位数量を施工するのに必要な資機材や人工)は見積やヒアリングを採用し、安易に他工種の基準を準用することは御法度とされている。そもそも検証対象である実行不可能な工期でなかったかどうかは入札が適正であったかどうかの基準としては不適切であり、標準的な施工業者が参加可能な工期であったかどうかで検証するのが適切である。物証として残っている7者のヒアリング結果から判断して1回目入札の212日でも不足していると考えるのが妥当である。 (関係職員)厳しい工期であると認識していたが、中部地方整備局から6か月で完成した事例があることを聞いていたので、この工期で契約できれば受注者の努力により、年度内に完成できると思っていた。 『「必要な事務手続きの完了後工期を変更する」ことを明記しないと再度参加者が0になる可能性が高い。』と認識しており、契約以前に入札公告に踏み切るのが非常に困難な状況であった。実際、入札前に日立造船は「年度内完成は絶対に不可能である」と伝えており、入札後に申し出た工期の延長期間は3ヶ月と非常に長い。 (受注業者)(平成22年)3月末までに完成させる認識で契約したが、当社にとっての最適工期ではないため、その事実関係を説明し、当社が適切と考える工程を提案し、初回の打合せで協議した。この際の工事打合簿が県に受理されたことから、(平成22年)5月末までの工期が認められたと判断して、5月末を目標とする実施工程を組んだ。あくまで協議であるので、理解いただけない場合は、3月末の契約工期をもって工事を完成させなければならないと思っていた。 製作工事における契約直後の工期変更は、入札をやり直さなければならないレベルの条件変更であり、このような申し出は通常まず行わない。一般的に請負者にとって工期が短いことは工期延長の理由になり得ない。 (関係職員)日立造船と工期延長の約束はしていない。予算措置がないこと、事故繰越の難しさから、そのような約束ができるはずがない。一方、志摩建設事務所の担当者から、日立造船と工期延長の約束があったと感じられる連絡があったとの証言もある。 事故繰越の難しさも予算措置も契約前後で何も変化がなかったにも関わらず、「そのような約束ができるはずがない」と思っていた年度を跨ぐ工期延長の約束を契約直後にあっさり行っており事実と矛盾している。また、日立造船と工期延長の約束があったと感じられる連絡は証言ではなく改ざんされた文書に記載がある。 (受注業者)県から、1者入札となる可能性が高いとか、予定価格に近い入札額でも大丈夫という情報は受けていないし、工期延長の約束もない。契約工期が(平成22年)3月末であることを認識しており、リスクはあるが、最短で3月末でやりきれるとの判断のもと入札し、契約した。2回目の公告から技術提案書提出までの間に、志摩建設事務所とのやりとりはなかった。 やりとりは公告から技術提案書提出までの間ではなく公告前に行われており、期間を限定して否定することに意味がない。
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