ラテンジャズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/05 08:46 UTC 版)
ラテン・ジャズ Latin Jazz |
|
---|---|
様式的起源 | ジャズ、マンボ、ルンバ、チャチャチャ |
文化的起源 | 20世紀前半![]() |
使用楽器 | サックス、トロンボーン、トランペット、コンガ、ボンゴ、ベース、ピアノ、ボーカルなど |
融合ジャンル | |
アフロ・キューバン・ジャズ | |
関連項目 | |
本文参照 |
ラテン・ジャズ (Latin Jazz) は、ラテンリズムで演奏するジャズのことである。
一般的な4ビート・ジャズの3連スウィング・リズムではなく、あくまでも8分音符や16分音符を中心としたスクエア・ビートで演奏する。強力なシンコペーションと複合リズムで展開されるのが特徴である。楽器編成も一般のジャズとは異なり、コンガやボンゴ、ティンバレスなどのラテン・パーカッションが入る場合が多い。
ラテン・ジャズの種類
広義の上では、主に中米の音楽を中心に発展したアフロ・キューバン・ジャズとブラジルの音楽を中心に発展したブラジリアン・ジャズに分けられる。狭義ではアフロ・キューバン系のものを指すことが多い。
アフロ・キューバン・ジャズ
アフロ・キューバン・ジャズは、キューバを中心に発展した中米のリズムを基調とし、1940年代から1950年代頃の、よりキューバ色の強いジャズという意味合いがある[1]。ルンバ[注 1]、ソン、マンボ[2]、サルサ、メレンゲ、カリプソ、チャチャチャ[注 2]、ボレロの要素を含むものを指す。
ニューヨークに渡ってきたキューバからの移民は、西アフリカなどのリズムが体に染みついており、彼らを通じてアフロ・キューバン(afro-cuban)と呼ばれるラテン音楽のジャンルが形成されるに至った。このアフロ・キューバン音楽から、後にマンボ、ルンバ、チャチャチャ、サルサ等が派生し、またお互いに影響しあって発展していった。
1941年に、キューバ人でコンガ奏者のマチートがマンボのバンドを始めた時、義理の兄弟であり、ビ・バップのトランペット奏者で編曲家のマリオ・バウサがマンボをジャズに取り入れた。これがアフロ・キューバン・ジャズの始まりとされる。ビバップ奏者でトランペッターのディジー・ガレスピー[注 3]もラテン音楽に着目し、コンガ奏者のチャノ・ポソを迎え、ラテン・ジャズを発展させた。この中で、「マンテカ」「ティン・ティン・デオ」が誕生した。ケニー・ドーハムの "Minor's Holiday", "Basheer's Dream"[3]や、ハンク・モブレーの "Recado Bossa Nova"、サブーのジャズ作品などはアフロ・キューバン・ジャズを発展させた jazz tune developed Afro-Cuban jazz from 50s to 60s.[4]
ブラジリアン・ジャズ
日本ではラテンとブラジルを分けて考えることが多いが、国際的にはブラジル音楽も、ラテン音楽に含まれる。ブラジル音楽が直接の源流に当たり、音楽の形態が変わってくるためキューバ系とは分けて見られることが多い。ブラジリアン・リズムのサンバ、ボサノヴァ[注 4]の要素を含んでいる。またボサノヴァはサンバよりも、ブラジルの裕福な階級が成立させたジャンルである。サンバとボサは密接な関わり合いを持っている。
1962年に、アメリカのジャズ・サックス奏者スタン・ゲッツがジョアン・ジルベルトと共演したボサ・ジャズ・アルバム『ゲッツ/ジルベルト』がアメリカで大ヒットした。特にこの中でジョアンの当時の妻アストラッド・ジルベルトが英語詞で歌った「イパネマの娘」は大きな売り上げを記録し、アメリカの一部の音楽ファンにボサノヴァを浸透させた。このアルバムに参加していたピアニストのアントニオ・カルロス・ジョビンも、コマーシャルなジャズを得意とするクリード・テイラーをプロデューサーに迎え、"Wave"等のアルバムを残した。ただ、彼らの音楽は「ボサ・ジャズ」であって、ラテン・ジャズの主流とは言えない。アメリカのジャズの分野では、グルーブ感のあふれるハンク・モブレー[5]の「リカード・ボサノヴァ」が知られている。
サンバ、ボサノヴァなどのブラジリアン・リズムを取り入れたミュージシャンの代表格としては、セルジオ・メンデス&ブラジル66が上げられる。彼らのヒット曲「マシュケナダ」は、ボサノヴァではなく「ボサ・ロック」であったが、世界のいくつかの国でヒットを記録した。
代表的な人物、グループ
- ウィリー・ボボ
- モンゴ・サンタマリア Mongo Santamaria
- ティト・プエンテ Tito Puente
- エディ・パルミエリ Eddie Palmieri
- ディジー・ガレスピー
- イラケレ Irakere
- ミッシェル・カミロ Michel Camilo
- 熱帯JAZZ楽団
代表的な曲
- 「リカード・ボサノヴァ」 - ハンク・モブレー
- 「ウォーターメロン・マン」 - モンゴ・サンタマリア
- 「イヴィル・ウェイズ」 - ウィリー・ボボ
- 「アフロデイジア」 - ケニー・ドーハム
- 「キャラバン」 - デューク・エリントン
- 「マンテカ」 - ディジー・ガレスピー
脚注
注釈
出典
関連項目
ラテンジャズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 09:17 UTC 版)
初期のジャズピアニスト・作曲家であったジェリー・ロール・モートンは、自分の曲や他のミュージシャンの曲における、主にタンゴとハバネラからの影響に基づく「スペイン風味」(Spanish Tinge)に言及した。しかし同時に、キューバ出身のミュージシャンたちもまた、ラグタイムや初期のジャズといったアメリカのスタイルを耳にしていた。1940-50年代は合衆国全土でのマンボダンス(と、同名の伴奏音楽)の大流行を受けてこの新しいサブジャンルの発達が頂点に達した時期であった。バンドリーダーのディジー・ガレスピーもまたアフロ・キューバンのリズムをビッグバンドに導入することで重要な寄与をした。 他のジャズジャンルの大部分で一般的な「スウィング」した音符とは対照的に、ラテンジャズは概して均等な音符の組み合わせを使用することが特徴である。またクラーベの影響を強く受けており、作曲者はアフロ・キューバン音楽の打楽器の働きについても理解する必要がある――各打楽器は論理的に互いと組み合わされねばならないのである。アフロ・キューバン・ジャズという特定のジャンルは、カリブ海諸島全体や他の地域からというよりも、特にキューバの伝統的なリズムから影響を受けたものである。
※この「ラテンジャズ」の解説は、「ジャズドラム」の解説の一部です。
「ラテンジャズ」を含む「ジャズドラム」の記事については、「ジャズドラム」の概要を参照ください。
ラテン・ジャズと同じ種類の言葉
- ラテン・ジャズのページへのリンク