メディアの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 14:44 UTC 版)
マスメディアの表現、と一口に言ってもニュースからエンターテインメントまで幅広いが、いずれにしても、特定の問題に関して、「一般人がそれをどのように経験するか」という日々の現実と、彼らとは遠く離れた科学的・政治的・公的な主体者の間で議論されている「対策」とをつなぐ、重要なリンクとなる。様々な研究が指し示すところによると、一般市民は科学について、例えば具体的な問題としては気候変動などについて、マスメディアを通じて頻繁に学習している。 マスメディアにおいては、「事実をありのままにレポートする」という伝統的な役割よりも、事実の「解釈」を伝えることに報道範囲を集中させ、白か黒かをハッキリ表明する態度はあっぱれだが、報道の信頼性は低い、と言うような報道形式に取って代わられている。世界中の多くのメディアにおいて、このような傾向があると考えられている。 このいわゆる「スピン」は、商業的圧力と政治的圧力の組み合わせの下で起こる物であり、世界中のマスコミによって報告されている。これは、知識が欠如し、疑う気持ちを持たないピュアな大衆の頭の中を、信頼できない政策宣伝情報で「充満させる」危険性がしばしばある。 「人為的な地球温暖化」と「気候変動」と言う議題は、この問題の最前線にある。しかし、様々な状況において、「事実に基づく根拠ある報道」と、「作り話に基づく筋書き通りのスピン」とを分け隔てることは、ますます難しくなっている。 マスメディアは、世界中の膨大な数の人々が利用でき、娯楽メディアからニュースメディア、さらには書籍、映画、テレビ、新聞、ラジオ、ゲーム、インターネットに至るまで幅広く存在する。コミュニケーションと情報の受信における、ますます現代的な形態は、その形態自体が大衆が知識を得るのにますます適したものとなっており、ますます広域でアクセスしやすいものとなっている。 専門家から大衆に対する、情報伝達と情報宣伝の背後にある実際のプロセスは、欠如モデルが示唆するよりもはるかに複雑で奥深い物である可能性がある。 「知識不足モデルとは何か」を知ることは、サイエンス・コミュニケーターにとって重要である。情報を伝達する際のフレーミング(人の考え方を枠にはめて、特定の考え方に誘導するような方法)と言う概念について考えることは特に重要である。フレーミングは、問題の複雑さを軽減したり、聴衆を説得したりするために用いられるが、人間の心に潜む宗教的信念、道徳的価値感、先入観を増幅し、さらには(科学そのものではなく)科学者あるいは政治家という個人に対する信任を助長する役目さえ果たす。 さらに言えば、一般に広く受容されている「2段階の流れ仮説(少数のオピニオンリーダーがマスメディアと大衆の橋渡し役になるという、ポール・ラザースフェルドが唱えた理論)と照らし合わせた場合、科学的なアイデアおよび技術の採用が大衆に伝達される際には、インフルエンサーの影響を受けやすいタイプの個人を介した情報の伝達経路が強く関連している可能性がある。 知識の欠如を減らすことは複雑な仕事だが、一般大衆がどのように考え、あるいはどのように新しい情報の学習・解釈に取り組むかを知っていれば、我々は可能な限り最も公平で客観的な方法でメッセージを伝えることができる。
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