トンガ国内の被害と救援活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:35 UTC 版)
「2022年のフンガ・トンガ噴火」の記事における「トンガ国内の被害と救援活動」の解説
噴火後に首都ヌクアロファの建物の屋根に15 cmほどの火山灰が積もっており、多くの住民が教会に集まって避難した。16日には教会で避難した住民が家に戻り、商店やガソリンスタンドなども営業を始めたとの情報がある。また、降灰により水が汚染されているため、飲料水の確保が大きな課題になっていると教会関係者が話した。 トンガの気象当局は、噴火直後の17時30分すぎに津波警報を発令し、その後、同国の沿岸地域に津波が押し寄せた。オーストラリア政府によると、首都ヌクアロファに1.2 m (3.9 ft)の津波が襲来し、太平洋津波警報センターは、トンガでの津波を80 cmとした。トンガタプ島の付近にあるアタタ島が水没したとの情報もある。トンガ海軍によると、火山の近辺にある約8000人が住んでいるハアパイ諸島は推定5 m ~ 10 mの津波に襲われた可能性がある。トンガの首都ヌクアロファがあるトンガタプ島では西海岸の道路や住宅、商店などが津波による大きな被害を受けており、ヌクアロファの市街地は浸水し、王宮も被害を受けたため、国王トゥポウ6世は別荘に避難した。17日、津波にさらわれたヌクアロファ在住のイギリス人1人の遺体が見つかり、トンガ国内で確認される初の犠牲者となった。 この噴火の影響でトンガタプ島では全島が停電したため、国外との電話・インターネット通信が途絶し、トンガ国内のインターネット通信は午後6:40頃より完全に接続不能となった。噴煙で外国軍の偵察機も近づけないこともあり、噴火直後はトンガ国内の噴火と津波の被害状況を把握できなかった。また、近隣国ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は16日の記者会見で、現地の情報筋によると一部地域の停電が解消し、現地での携帯電話同士の通話も可能となったが、他国との通信手段が遮断され、被害状況の把握が難しいと示したほか、水道水が汚染されている可能性があると述べ、支援の必要性を訴えた。17日にニュージーランド政府は、ヌクアロファの大部分で停電が復旧したと明らかにした。ニュージーランド軍とオーストラリア軍の哨戒機は上空から、沿岸部での建物などに大きな被害があると確認したが、同日中の着陸は見送った。 18日、トンガの首相、シャオシ・ソヴァレニと同国の外交官によると、ハアパイ諸島とトンガタプ島の西海岸を襲った津波は最大15 mの高さに達した。トンガタプ島の西海岸では56戸の家屋が深刻な被害を受けたため、住民は既に避難所に移した。また、トンガタプ島付近のアタタ島、ハアパイ諸島のマンゴ島、フォノイフア島、ノムカ島も深刻な被害を受けたことが判明した。マンゴ島は村全体が壊滅状態で、フォノイフア島では2軒の家屋しか残っておらず、アタタ島でも多くの家屋が倒壊した。また、マンゴ島とノムカ島でそれぞれ1人が死亡し、多数の負傷者も報告された。 また、南太平洋の海底ケーブルを運営する会社、サザンクロスケーブルの担当者によると、トンガとフィジーのスバをつなぐ全長872 kmの海底光ケーブルが破損した。トンガと外国との通信にしばらく支障が出続け、通信会社が衛星電話などの代替手段を試していたが、2月22日、ほぼ5週間ぶりに復旧したと担当者が明らかにした。一方で、トンガの首都ヌクアロファがあるトンガタプ島と離島を結ぶ国内ケーブルは未だ復旧していない。同国で携帯通信を手がけるデジセルによると、北部の離島では通信が断絶した状態が続いている。 ファアモツ国際空港は、津波と火山灰により航空機の離発着ができない状況となった。1月17日からは滑走路に積もった火山灰の撤去が始まり、同月20日になってニュージーランドからの救援機(C-130輸送機)が噴火後初めて着陸。同日にはオーストラリアの救援機も到着した。1月22日には3トンの飲料水を載せた日本の救援機も着陸している。
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