ダムの効果
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ダム事業には反対意見も未だ根強く問題は解決していないが、徳山ダムはすでに完成している。下流受益自治体の名古屋市や愛知県・岐阜県は、議会の一部から巨額の事業負担に対する反発もあったため、国土交通省に事業費圧縮を要望するなどした。しかし長期的な揖斐川の治水と東海地方の利水という観点から、ダム建設については早期の完成を要望した。特に大垣市・海津市をはじめ揖斐川流域の市町村は一日も早い完成を熱望していた。その理由は長年悩まされていた揖斐川流域の水害軽減である。 1976年(昭和51年)の通称「9.12水害」では、ダムの無い長良川が決壊したほか揖斐川流域でも被害があり1万9,000戸が浸水。1991年(平成3年)の水害でも大垣市が浸水被害に遭っている。さらに2002年(平成14年)7月の水害では揖斐川の計画高水流量(計画された限界の洪水流量で、治水の基準となる)を上回る洪水が記録され、揖斐川は堤防越水まで残り数10cmまで出水。かろうじて本流の堤防決壊こそ免れたが、川を逆流した水で大垣市内西部を中心に浸水被害を出した。 支流である根尾川・牧田川・杭瀬川などでのダム建設は建設可能な地点こそあるものの、現在のダム建設長期化の状況下では実現不可能に等しく、引堤や浚渫は大規模な住居移転や名神高速道路を含む道路、東海道新幹線を含む鉄道の移転が予想され、代替対策は困難が予想される。このため2002年の水害被災者などをはじめ徳山ダムへの期待を持つ関係者や住民も多い。その一方で反対派からは、2002年の水害は中小河川の氾濫であり徳山ダムで防げる水害ではないとの主張もある。 利水については、1994年(平成6年)や2005年(平成17年)の渇水で木曽川水系ダム群の貯水率減少により給水制限が深刻化した。揖斐川でも2000年(平成12年)の渇水により、中流部の揖斐郡大野町・平野庄橋付近において揖斐川の水流が途絶。上水道・農業用水・工業用水に深刻な影響を与えた。横山ダムだけでは完全な水需要確保が不可能であり[要出典]、横山ダム再開発に加えて徳山ダムの重要性が周辺自治体から指摘されている。 ダム完成後の2008年(平成20年)9月2日から3日にかけての大雨では、ダム貯水による洪水調整効果が見られた。また同年7月下旬から8月下旬の期間においても、ダム貯留水を利用して揖斐川沿川の既得用水における取水の安定が図れたほか、2000年(平成12年)9月と2009年(平成21年)9月を比較すると平野庄橋付近における水流の途絶が解消しており、揖斐川の流量が安定したことによりアユが生息出来る環境となっている。 最も効果が顕著であったのは2014年(平成26年)8月の台風11号で、横山ダムと連携した洪水調節を行い、ダムの管理が開始された2008年(平成20年)5月以降で最大となる毎秒約1,210m3の流入量全量を貯留し、揖斐川では大垣市万石(河口から40.6km地点)でおおよそ2mの水位低下効果があった。
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