ダムの工法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 09:13 UTC 版)
ダムサイト(ダムを建設する地点)は砂岩や頁岩を主体とする堆積岩であった。このため特に基礎地盤が軟弱であるため膨大な掘削量が予測された。このため工期を短縮し施工を合理化して事業費を圧縮する対策が必要となった。大川ダムでは、基礎地盤対策としてダム本体や減勢工(放流時に水の力を殺ぐために設ける放水路などの構造物)を含む広範囲の基礎部分を掘削後にコンクリートで全て固めた。これはあたかもダム堤体下にマットの様にコンクリートを敷き詰めることからマット式重力ダムと呼ばれる。マット式を採用するとコンクリートの量が膨大となるため、マット部についてはRCD工法を採用した。 RCDとはRollen Compacted Dam Concreteの略である。これはセメントの含有量を極力少なくした超硬練りコンクリートをダンプカーやベルトコンベアで運搬し、振動ローラーやブルドーザーで薄く層状に固めていくコンクリートの打設工法である。従来の柱状工法に比べ工期を短縮させる他コンクリートの硬化熱によって起こるひび割れ(クラック)も起こりにくいため、最終的に工期の短縮と原材料費圧縮を図ることができ総事業費を節約できる利点を持っている。日本では1972年(昭和47年)より建設が始まった山口県の島地川ダム(島地川・国土交通省)において世界で初めてダム本体工事に導入され、現在は主に大規模ダムを中心に施工されている。大川ダムは、このRCD工法の初期例である。 さらに右岸部の弱い地盤をカバーする為に、右岸部をロックフィルダムにすることで対処した。それ故大川ダムはコンバインダムという訳であるが、コンバインダムの中では熊本県の竜門ダム(迫間川・国土交通省)、北海道の忠別ダム(忠別川・国土交通省)に次いで全国で三番目に堤高が高い。
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