ダムの摩耗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 09:46 UTC 版)
ダム本体は完成から75年経過しているが、天端付近に並ぶ赤いゲートから下の越流部は完成時のようにコンクリートが白い。これは放流する際に水とともにダム表面のコンクリートを削り取ってゆくためであり、土砂流出の多さ・激しさを物語っている。三六水害後は土砂の粒の大きさが大きくなり、摩耗の進行に拍車が掛かっていた。1968年(昭和43年)の調査において、摩耗した厚みは平均して20センチメートル、局部的ながら2.6メートルにも達する箇所があった。中部電力はコンクリートの摩耗がダムの安定性に影響するか計算したところ、現状よりもさらに1メートル摩耗しても安全上問題ないとの結論に至った。しかし、この事実を朝日新聞が大々的に報道したことがきっかけで波紋が広がり、国会の建設委員会で問題視されるようになった。 中部電力は建設省(現・国土交通省)や電力中央研究所と「泰阜ダム補修対策調査団」を編成。現地調査結果や下流住民の安全を考慮し、1億5,700万円を投じて泰阜ダムの補修作業を実施することにした。補修工事の内容は摩耗したダム表面に新たなコンクリートを打設するというものであり、1969年(昭和44年)に着工、1970年(昭和45年)に完工した。
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