キリスト教神秘主義の実践とは? わかりやすく解説

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キリスト教神秘主義の実践

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 05:40 UTC 版)

キリスト教神秘主義」の記事における「キリスト教神秘主義の実践」の解説

このような神秘現象はしばしば、(キリスト教神秘主義を含む)神秘主義一般に見られるのであるが、キリスト教徒にとっては、強調点が別の所にある。つまり、キリスト教神秘主義強調するのは、主に、人間の霊変容である。人間の霊変容とは、時として強調されるように、人間は「神の似姿造られている」ので、より完全な人間になる、あるいは人間性をより実現するということである。キリスト教徒にとって、この「人間潜在性を完全に実現すること」は、イエスにおいて最も完全に果たされており、また他の人においても、イエスとの結びつき通じて実現される。この場合キリスト教神秘家場合は、イエスとの結びつき意識しており、またガンジーのような、他の伝統宗教信奉する者の場合は、イエスとの結びつき意識していないという違いはあるけれども。東方キリスト教界では伝統的にこの人間の変容について「神化」(theosis)という術語表現している。この教理は、「神が人間となったのは、我々を神とするためである」という、一般にアレクサンドリアのアタナシオス帰される古い金言に最もよく表されている。 時代をさかのぼると、少なくともすでに、黒海南岸ポントスのエヴァグリオスや、偽ディオニュシオスなどのキリスト教神秘家は、聖なるもの三つ位階求め実践道を探究していた。教派により、様相や用語は異なるが、この実践道は、「浄化」、「照明」、「合一」という段階を経ると説明され、これらは、肉体心魂、霊という人間の「人性」の三形態認識することに対応する。 第1の「浄化」実践は、神秘家修行の始まるところである。この段階の焦点は、訓練とりわけ人間肉体制御にあり、神秘家は、独りで、または仲間とともに一定の回数一定の姿勢で(しばしば立ったまま、あるいは跪いて祈りを行うことに重点を置く断食施しという別の修行重視される。特に施しには、飢えている人に食べ物与えたり身寄りのない者に住まい与えたりするなど、「慈しみの業」と言われる霊的、かつ物質的な活動含まれるキリスト教神秘主義一般基礎となるこの浄化実践は、パウロ言葉借りれば、「霊によって体の仕業絶つならば、あなたがた生きます」、(「ローマの信徒への手紙 8:13」)ということである。「肉体のしわざ」とは、外面的な振る舞いのみならずキリスト者として生きるのを妨げ習慣態度貪欲さ耽溺など(いわゆる情欲」)をも指す。これはもちろん、外面的なものだけではなく内面的なものも指すのである肉体上の制御を行うため、浄化実践はしばしば、キリスト教神秘主義の実践全体同じく、「禁欲主義苦行」と呼ばれる。ここで追い求められるのは、本来の意味における「救済」であり、「永遠の命」を得るというよりも、霊的な精神的な感情的な、また肉体的な癒やし」を得ることを言う。 第2の「照明」の実践は、聖霊が人の心を照らし聖書キリスト教伝承明示されている真理のみならず自然界明示されている真理を悟る知恵与えてくれるという働き関わるのであるここで言う自然界真理」とは、科学的な意味ではなく経験するあらゆる事物中に神の働き感じるというような、森羅万象の「深み」を照らす働きを指す。 第3の「合一」の実践は、西洋世界で普通、「瞑想」と呼ばれ何らかの形で、神と一体になる経験関わる。この一体化経験は様々であり、記述するのが難しい。しかし、先ず第一に神の愛」に関連けられる。「ヨハネの手紙一 4:16」に「神は愛です。愛にとどまる人は、神の内とどまり、神もその人の内にとどまってくださいます」とあるように、知性による以前に、心によって、至高なる存在を知るのであるという根本テーマである。 この3段階について、第1、第2は、第3へと至る凖備的なものである説く古典的神秘主義教えもあり、一方、この3つ相互に重なり合っているものだと説くものもある。 キリスト教神秘主義別の特徴は、集団生活関係するものである。世を捨てた隠者にとってさえ、キリスト者の生活は常に、教会信徒交わりとともにあった。すなわち、とくに「聖餐式」(典礼ミサ聖体礼儀)などの集団儀礼参加することは、キリスト教神秘主義にとって不可欠要素である。これにより、霊的指導者や告悔師(聴罪司祭)、また「魂の友」と交わることができ、霊的な修道過程について論じ合うことができる(霊的な師は、聖職者である場合在俗信徒である場合もある)。

※この「キリスト教神秘主義の実践」の解説は、「キリスト教神秘主義」の解説の一部です。
「キリスト教神秘主義の実践」を含む「キリスト教神秘主義」の記事については、「キリスト教神秘主義」の概要を参照ください。

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