ウェールズ文学
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「カッシウェラウヌス」の記事における「ウェールズ文学」の解説
カッシウェラウヌスは『ウェールズのトライアド』、『マピノギオン』、それにジェフリー『ブリタニア列王史』のウェールズ語版の中で、Beli Mawrの子カスワッラウン(Caswallawn)として登場する。 「マビノギ四枝」第二枝(スィールの娘)では、カスワッラウンは正統な王「祝福されたブラン(Bran the Blessed)」がアイルランドで戦っている隙に、ブリタニアの王位を奪う簒奪者である。姿を見えなくする魔法の衣を使って、カスワッラウンはブランが自分の代理に残していた7人の家令を殺す。一方、8人目であるブランの子カラドッグ・アプ・ブラン(Caradog ap Bran)は(誰も持っていない)剣が部下たちを殺していくのを見て、混乱して死ぬ。 「マピノギ四枝」第三枝(スィールの息子)では、ブランの家来たちは戦いを回避するため、カスワッラウンに服従を申し出る。 銀の腕のスィッズ(Lludd Llaw Eraint。ジェフリーの本ではルッド王)とスェヴェリス(Llefelys)兄弟を描いた「スィッズとスェヴェリス(Cyfranc Lludd a Llefelys)」の中にもカスワッラウンは言及されている。 『ウェールズのトライアド』でもカスワッラウンはさかんに言及されている。トライアド(3題詩)51は、ジェフリーが物語ったように、カスワッラウンとAfarwy(マンドゥブラキウス/アンドロゲウス)の争いが歌われている。一方、トライアド95は『マピノギオン』で語られたのと同じ、ブランの子カラドッグの死についての詩である。しかし、他のトライアド(35、36、38、59、67、71)はローマのものからも、現存する中世のものからも引いていない、独自のカスワッラウン伝説である。トライアド38は「3つの贈られた馬」の3題詩だが、その1つが「Meinlas(スレンダーなグレイ)」という名前のカスワッラウンの馬である。トライアド59はそれを繰り返していて、「3つの不運な助言」の1つが、Meinlasと交換にブリテン島に上陸することを許した決定である。トライアド35では、カスワッラウンが21,000人の部下を引き連れてカエサルを追跡するが、そのまま戻ってこなかったと歌っている 。 トライアド67と71はカスワッラウンを美しい「Fflur」をカエサルと争った偉大な恋人として描いている。恋人を求めてローマに旅するくだりはブリテン島の「3つの黄金の靴屋」の1つである。文脈から推測するに、カスワッラウンは靴屋に変装したのだろう。ウェールズ出身で18世紀の古代文学の研究家であったヨロ・モルガヌグが編纂したトライアドには、この伝説の拡張版がある。カスワッラウンはガリアでカエサルからFflurを誘拐するが、この時6000人のローマ兵を殺し、その報復にカエサルはブリテン島を侵略する。ヨロのトライアドは偽作の疑いが強いが、12世紀の詩人Cynddelw Brydydd MawrはFflurの話の中に、カエサルのFflurへの愛は値段が高くついたといういくつかのヴァージョンを知っていた。 ウェールズの学者レイチェル・ブロムウィッチ(Rachel Bromwich)は、トライアドの中のカスワラウンへの断片的なほのめかしは、失われたキャラクターの物語に関するものかも知れないと示唆している。それは王の冒険に関するロマンスの形式で書かれていたかも知れないが、古い文献によって大きな影響を受けることはなかったのだろう。
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ウェールズ文学
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12世紀以前、初期のウェールズの詩では、マルジンはカレドニアの森で暮らす狂人であるとする伝説が多い。ここで、マルジンは、自身がバード(en:bard、ケルトの吟遊詩人)として仕えた、グウェンゾレイ・アプ・ケイディオ(Gwenddoleu ap Ceidio)の死などの災害について、思索にふけった。これらの詩はアルヴデラズの戦い(en:Battle of Arfderydd)の悲惨さについて記述しているが、これによればマーリンの主君のグウェンゾレイは虐殺され、マルジンはこの敗北を見て精神に異常をきたしたと言う。なお、『カンブリア年代記』によれば、アルヴデラズの戦いは573年であるとされており、グウェンゾレイの助言者の名前はエリヴェル(Eliffer)の息子、とされているのでペレディル(en:Peredur)あたりではないかと考えられている。 この伝説は、「Lailoken and kentigem」と呼ばれており、15世紀後半の写本にも残されている。この伝説で、聖ムンゴ(en:Saint Mungo、Saint Kentigernとも)は荒野でライロケン(en:Lailoken)と呼ばれる狂人と出会う。この狂人はメルリュヌム(Merlynum)あるいはマーリン(Merlin)などとも呼ばれており、宗教における罪によって獣の社会を放浪させられているというのである。さらに、狂人は王の抗争によって死んだ多くの全ての者の死を引き起こしたことも告げる。聖ムンゴにこれらを語り終えると、狂人は荒野に姿を消すのだった。さらに、狂人は聖ケンティガーン(Kentigern)に秘蹟を求めるまで幾度か登場し、自身が3つの方法で死ぬことを予言する。ややためらったあと、聖ケンティガーンは狂人の頼みを聞き入れる。やがて、狂人は羊飼いたちの王に捕らえられ、「棍棒で殴られ」、「ツイード川に投げ込まれ」、川では「杭に体を貫かれる」ということによって予言は成就されたのである。
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