ウイグル統治
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:00 UTC 版)
「en:Xinjiang papers」および「en:China Cables」も参照 この事件では、ウイグル人住民が漢族住民及び武装警察と衝突し、中国当局の発表(2009年7月19日現在)では、死者197名、負傷者1,721名に上る犠牲者が出たとしている。一方、亡命ウイグル人組織の世界ウイグル会議の発表(2009年7月10日現在)で、中国当局や漢族の攻撃により殺されたウイグル人は最大3,000人と発表している。しかし、習は当時解放軍の指揮権を有する中央軍事委員会おろか武装警察の指揮権を有する中央政法委員会ともポストを持っておらず、軍事行動の指揮は取れないため、江沢民時代から新疆を統治していた当時の自治区党委員会書記兼新疆生産建設兵団第一政治委員の王楽泉が一般的に責任者とされている。 2013年4月には警官とウイグル人住民の衝突が発生し、21人が死亡する事件があった。世界ウイグル会議のラビア・カーディル主席は2013年6月20日、東京で会見を開き、習の最高指導者就任後、「中国政府の民族政策は以前より厳しくなった」と批判した。 2014年に習が初めて新疆を視察した際はウルムチ駅爆発事件が起き、ニューヨーク・タイムズの報じた政府の内部文書によれば、これを受けて習は新疆工作座談会での秘密演説で一部の強硬派が主張するイスラム教の規制や根絶は否定しつつソビエト連邦の崩壊やアメリカ同時多発テロ事件も挙げて経済発展を優先した胡錦濤前指導部と安全保障より人権を優先した欧米はテロ対策に失敗したとして「人民民主独裁の武器を躊躇無く行使せよ。情け容赦は無用だ」と述べてテクノロジーの活用を指示し、「対テロ人民戦争」「厳打暴恐活動専項行動」を掲げ、同年12月には新疆ウイグル自治区人民政府主席だったヌル・ベクリを国家発展改革委員会副主任兼国家エネルギー局(中国語版)局長に抜擢しており、ウイグル族高官が中央の要職に就くのは異例なためにウイグル重視の姿勢をアピールする習の狙いがあったとされる。 2016年に習が陳全国を新疆ウイグル自治区の朱海侖(中国語版)党委員会書記を党委員会副書記兼政法委員会書記にそれぞれ抜擢して翌2017年2月に武装警察・公安部・民兵を集めた決起大会で朱海侖が「人民民主独裁の強力な拳で、全ての分離主義者とテロリストは粉砕する」と演説して以降新疆ウイグル自治区では、再教育キャンプへの大規模な強制収容と洗脳が始まり、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の入手した政府の内部文書によれば監視カメラや携帯電話などから個人情報を収集してアルゴリズム解析する「一体化統合作戦プラットフォーム」(IJOP)のAIと機械学習に基づくプレディクティブ・ポリシング(英語版)で選別されたウイグル人が2017年6月時点で約1万5千人も予防拘禁され、数十から数百メートルごとに便民警務站(派出所)や武装警察を配置し、ウイグル人住民はQRコードで管理され、自動車の全車両やメッカへのハッジの際には追跡装置が装着され、モスクなどに張り巡らしたAI監視カメラによって人種プロファイリングで識別され、様々なハイテクで顔認証・虹彩・指紋・DNA・声紋・歩容解析など一挙手一投足を監視される「世界でも類のない警察国家」「完全監視社会」の実験場となったと欧米メディアや人権団体は批判した。この徹底的な社会統制は他の中国の地域でも行われるようになってきている。
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