さいたま新都心医療拠点整備
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「さいたま新都心」の記事における「さいたま新都心医療拠点整備」の解説
2011年(平成23年)より、埼玉県とさいたま市は、8-1A街区において、同市中央区のさいたま赤十字病院(605床)と岩槻区の埼玉県立小児医療センター(300床)の移転を行い、2016年度に開院した。 目的 当時、両病院とも2015年度までの老朽更新・耐震化が必要とされていること、県南部の高度医療(3次救急)を担う赤十字病院と、小児医療専門病院を隣接して設置することで地域医療の充実を図ること、東日本大震災を受け、防災基地機能を持ち、大規模避難施設となる「さいたまスーパーアリーナ」や、国の官公庁が入る合同庁舎が並ぶ地域に災害拠点病院の赤十字病院などを置くことで、被災者への迅速な救急救命医療を実施するなど、広域防災拠点の強化につなげることを目的として、統合移転に近い形で、さいたま新都心に移転設置することとした。 建物概要 敷地の北側(1.4 ha)に赤十字病院(地上14階地下1階、高さ78 m)、南側(1 ha)に小児医療センター(地上13階地下2階、高さ70 m)が置かれている。両病院は別の建物であるが、地下1階から地上2階、4階から6階が渡り廊下で連結されている。 1階には救急車搬送に対応した救急救命設備を別個に置いている。外来受付は2階に別個に置くが、外来用エントランスは、他の街区や駅に接続するペデストリアンデッキに面した、両病院の間に置いて共用している。また2階には、新都心の賑わい創出に貢献するため、デッキに面して店舗を併設する一方、デッキ自体は災害時のトリアージの実施スペースとするため、広く確保されている。両病院共に4階に手術室、6階等に会議室や図書室、研修施設を合わせて設置して、双方の医師やスタッフの連携を行う。院内保育所、職員の食堂やラウンジは共同利用とし、地下1階のサービス車両動線も共用している。 それぞれの上層階に置かれる一般病室は、赤十字病院が632床、小児医療センターが316床にそれぞれ拡充された。また一部屋あたりを拡大し、バルコニーやテラスを緑化、屋上庭園の設置などを行い、居住性が改善された。小児医療センターでは、患者の家族用宿泊室を「ドナルド・マクドナルド・ハウス さいたま」として7室に増加、外来用待合室やラウンジも拡大した。 赤十字病院の屋上にはヘリポートを設置し、救急・防災ヘリコプターで運ばれるような特殊な患者に対応し、救命集中治療室 (ICU) を増強して、高度救命センターを目指す。また一般病室の個室化の拡大、がん治療能力の拡大が行われる。 小児医療センターには、埼玉県施設として以下の施設が併設される。 埼玉県立けやき特別支援学校(埼玉県立岩槻特別支援学校の移転) 埼玉県発達障害総合支援センター 埼玉県総合医局機構 地域医療教育センター 埼玉県立大学大学院サテライトキャンパス 埼玉県消防学校 救急救命士養成過程 災害時の被災者支援機能(被災者救済のための情報収集・関係各署との事務調整) 経過 2011年(平成23年)5月20日 - 埼玉県が8-1A街区に、さいたま赤十字病院と県立小児医療センターの移転を検討していることが新聞各紙で報道された。 6月2日 - 埼玉県知事公館において、上田清司埼玉県知事と清水勇人さいたま市長が共同で記者会見、土地を所有するUR都市再生機構・県・市と日赤本部(県支部長は上田知事)が基本計画に合意し、正式決定したと発表した。 12月 - 赤十字病院の基本設計に着手。 2012年(平成24年)7月 - 小児医療センターの基本設計に着手。 11月 - 8-1A街区の都市再生機構所有分(約1.46 ha)を県と市が取得(県1.23 ha、市0.23 ha)し、県が小児医療センター用地全部と赤十字病院用地の一部、市が赤十字病院用地の一部を所有することとした。 2013年(平成25年)1月 - 両病院の実施設計に着手。 2014年(平成26年)2月16日 - 両病院の建設着手。 2016年(平成28年)8月31日 - 両病院が竣工。 12月27日 - 小児医療センターが移転開院。 2017年(平成29年)1月1日 - さいたま赤十字病院が移転開院。 その他 さいたま市は、清水市長主導で「MNDさいたま計画」(後述)で設置する予定だった「こども・多世代ふれあい広場」(サッカープラザ計画撤回時に代替として示した案)に代わる機能を持つ施設(病院との整合性を持つもので、保育・子育て支援・子ども図書館・ボランティア活動支援の4案を検討)を、小児医療センター内に設置する予定としていたが、小児医療センターに入院している子供達への感染症の影響を鑑みて、施設内には置かず、外部に建設することとした。 赤十字病院の用地は県と市が赤十字に貸与し、赤十字は旧病院の土地を賃貸して費用を捻出する方針をとり、2016年に島忠との間で40年間の賃貸契約を結んだ。建物移転・建設費用は県と赤十字病院がそれぞれ負担する。島忠は2019年、跡地に本社併設の店舗を開店した。 小児医療センターは地元の移転反対運動に応え、一部機能を現在地に縮小して残し、「小児医療センター附属岩槻診療所」として2018年3月31日まで運営された。4月1日から、センターおよび特別支援学校の跡地に、県が設置して社会福祉法人が運営する公設民営方式の医療型障害児入所施設「カリヨンの杜」が開設された。
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