こうづしまのかつおつりぎょうじとは? わかりやすく解説

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神津島のかつお釣り行事

名称: 神津島のかつお釣り行事
ふりがな こうづしまのかつおつりぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 物忌奈命神社かつお釣り保存会
指定年月日 1999.12.21(平成11.12.21)
都道府県(列記): 東京都
市区町村(列記): 神津島村
代表都道府県 東京都
備考 8月2日
解説文: 神津島は、伊豆諸島のほぼ中間位置し東京から一七キロメートル海上に浮かぶ一島一村火山島である。島では近世から明治前半にかけてかつおの一本釣り盛んに行われかつお節加工され江戸へ運ばれていた。このかつお節は他島のものに比べ高値取り引きされていたことが『伊豆海島風土記』(天明二年〈一七八二〉ころ)などから知られている。
 このかつお釣り行事は、島の暮らし支えてきたかつお漁を背景として、神津島村鎮守である物忌奈命【ものいみなのみこと】神社例大祭奉納される行事で、漁師若衆たちが神社境内漁場みたててかつおの一本釣り所作演じ、その年の豊漁祈願するのである青竹作られ舟形擬似用いて出船、かつお釣り帰港など一連のかつお漁や入札模様模擬的再現される
 物忌奈命神社例大祭は、七月三十一日宵宮八月一日二日本祭りが行われる。かつお釣り行事は、二日午後神社境内南側半分漁場みたてて行われる行事準備や漁の演技は、島の船主組合三つ網組属す漁師たちが主体となって行う。行事用いられる舟は、全長約四メートルほどで、先端だけを残して払った青竹二本で舟の輪郭作り内側短く切った竹を横に渡して仕切をした比較簡単なのである船尾にはやはり青竹製の舵が取り付けられる。舟は三隻作られ鉢巻法被素足若衆一隻につき七、八乗り込む。各舟には、セノリと呼ばれる大船頭(表船頭)が一人乗子【のりこ】あるいは水夫【かこ】などと称される船員五、六人、トモトリ呼ばれる舵取り一人ずつ乗りそれぞれに役割分担決められている。
 かつお釣り行事は、まず若衆乗り込んだ三隻の舟が神社の門をくぐって境内勇壮登場することから始まる。舟は境内を三周とり舵(左回り)に駆け巡って拝殿前に集合する。そこで神職からお祓いを受け、各舟の大船頭に網に入った菓子お捻り撒き餌として手渡される。三隻とも撒き餌受け取ると、先頭行く船の大船頭が出船合図となるかけ声をかけると、乗子たちは漁場向かって豪快に舟を進ませる船団は再び境内を三周左回り巡った後、三方分かれて止まり乗子一人が餌を撒き始める。境内にある木々の上からも、舟からの撒き餌合わせて餌がばら撒かれる見物人御菓子お捻り拾おう競って舟の周囲群がり子どもたち歓声上げながら三隻の舟の間を走り回る。舟に駆け寄る大勢の人たちは、いわしなどの餌に集まるかつおの大群であるといわれ、これをめがけて乗子若衆たちは作り物のかつおを結びつけた釣竿をかまえ、かつおを釣り込む所作演じる。
 かつおは、かつては木やなどを主材料として作られていたが、現在はスポンジと布で作られていて実物様に彩色もされている。
 かつお釣りが終わると、三隻の舟は再び船団組んで港へと帰る。各舟は大漁旗かかげて境内一周駆けまわった後、港へ入ったかのように銀杏の木前に勢揃いする。そして、入札となる。横一列並んだ船団前に黒板と木用意され仲買人たちが手鐘を振り鳴らしながら現れ入札が始まる。威勢のよい文句飛び交い漁師釣り上げたかつおをできるだけ高値売ろう仲買人たちに競り合いをさせるなど駆け引き演技が行われる。黒板には「○億○千万」などと景気のよい金額次々書き込まれていく。
 競り合いの末、落札者が決まると、島娘に扮し若衆登場し、かつおを山盛り入れた頭上にのせて、境内北側にある御丁屋の方へ運び出す。舟は最後に境内をもう一周して御丁屋へと退き行事終了となる。その後境内ではオキアガリといって大漁を祝う宴が開かれる
 伊豆諸島から伊豆半島沿岸部では、正月乗り初め予祝儀礼として魚釣り模倣する儀礼が行われてきた。神津島では、正月二日行われる乗り初めのときに、餅や蜜柑御菓子などを集まったの人たちに撒きみたててかつおの一本釣り真似をする儀礼が現在も続けられている。神津島のかつお釣り行事は、こうした儀礼物忌奈命神社例大祭取り込まれものといわれており、全国的に貴重な行事である。本行事は、かつおの一本釣り漁に従事した漁師たちが自らの生活と密着させながら伝承してきたものであり、わが国基盤的生活文化特色有するとともにわが国漁撈民俗考えるうえでも重要である。

神津島のかつお釣り行事

名称: 神津島のかつお釣り行事
ふりがな こうづしまのかつおつりぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 物忌奈命神社,かつお釣り保存会
選択年月日 1991.02.02(平成3.02.02)
都道府県(列記): 東京都
市区町村(列記): 神津島村
代表都道府県 東京都
備考 所在地同一都道府県内のもの(このデータ種別1から移行しています)
解説文: 神津島伝承されているかつお釣り行事は、島の暮らし支えてきたかつお漁を背景として、神津島村鎮守である物忌奈命【ものいみなのみこと】神社例大祭奉納される行事であり、漁師若衆たちが神社境内漁場みたててかつおの一本釣り所作演じ、その年の豊漁祈願するのである青竹作られ舟形擬似用いて出船、かつお釣り帰港など一連のかつお漁や入札模様模擬的再現される
 物忌奈命神社例大祭は、七月三十一日宵宮八月一日二日本祭りである。かつお釣り行事は、二日午後祭り最後締めくくる行事として、神社境内南側半分漁場みたてて行われる行事準備や漁の演技は、島の船主組合三つ網組属す漁師たちが主体となって行う。行事用いられる舟は、全長約四メートルほどで、先端だけを残して払った青竹二本で舟の輪郭作り内側短く切った竹を横に渡して仕切をし形を整えた比較簡単なのである船尾にはやはり青竹製の舵が取り付けられる。舟は三隻作られ鉢巻法被素足若衆一隻につき七、八乗り込む。各舟には、セノリと呼ばれる大船頭(表船頭)が一人乗子【のりこ】あるいは水夫【かこ】などと称される船員五、六人、トモトリ呼ばれる舵取り一人ずつ乗りそれぞれに役割分担決められている。
 かつお釣り行事は、まず若衆乗り込んだ三隻の舟が神社の門をくぐって境内入り銀杏大木中心に境内を三周とり舵(左回り)に駆け巡って拝殿前に集合する拝殿前では三隻が横一列並んで神職からお祓いを受け、各舟の大船頭に網に入った撒き餌手渡される。これは御菓子お捻りなどで、かつお釣りの際に撒かれる。三隻とも撒き餌受け取ると、先頭行く船の大船頭が出船合図となるかけ声をかける。船団は再び境内を三周左回り巡った後、三方分かれて止まり乗子一人が餌を撒き始める。境内にある木々の上からも餌がばら撒かれると、見物人競って舟の周囲群がりこの人達をかつおに見立てて乗子若衆たちは釣竿をかまえ、かつおを釣り込む所作演じる。
 かつお釣りが終わると、三隻の舟は大漁旗かかげて境内一周駆けまわった後、港へ入ったかのように銀杏の木前に勢揃いする。そして、入札となる。横一列並んだ船団前に黒板と木用意され乗子たちは釣り上げたかつおを糸から外して網に入れる。仲買人たちが手鐘を振り鳴らしながら現れ入札が始まる。
 競り合いの末落札者が決まると、島娘に扮し若衆登場しかつおを山盛り入れた頭上にのせて運び出す。舟は最後に境内をもう一周して御丁屋へと退き行事終了となる。その後境内ではオキアガリといって大漁を祝う宴が開かれる



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