《教える》の敬語
「教える」の敬語表現
「教える」を敬語にする場合は、教える主体が誰なのかによって表現のしかたを変える必要があります。教えるのが自分ではなく相手であれば、尊敬語を用いて相手を立て「お教えになる」などと敬意を表した表現にします。また自分が相手に教えるのであれば、謙譲語を用いて自分を低め「お教えする」などとして相手への敬意を示すかたちにします。これらの表現に丁寧語の「です・ます」を加えて、「お教えになります」「お教えします」などとすれば、話の聞き手や文章の読み手に対しても丁寧さが伝わり、よりいっそう敬意が増した敬語表現になります。「教える」の敬語の最上級の表現
そもそも「教える」は、知っている人が知らない人に知識などを与えるという、上下の関係性のうえに成立している動詞です。そのため「教える」の敬語の最上級表現は、行為の主体を相手方に設定し、自分が教えてもらうという構図の中で考えるのが適当です。この場合「教えていただけませんでしょうか」という気持ちをこめて「ご教示たまわりたく存じます」などとするのが最も強い敬語表現となるでしょう。「ご教示たまわりたく存じます」の構成は次のようになります。まず「教示」は教え示すという意味で、教えるという相手の行為をより丁寧に表現した言葉です。そして教えてもらう主体は自分ですので、謙譲語を使って自分を低め相手への敬意を示します。この場合、謙譲語の一般形「ご…いただく」を使い「ご教示いただきたいと思います」などとすることもできますが、最上級の敬語表現にするためには、「いただく」「思う」を、それぞれより敬意度の高い謙譲語「たまわる」「存ずる」に言い換えます。これに丁寧語の「ます」を加えることで、「教える」の敬語の表現として最も敬意のこもった言い方とすることができます。
「教える」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「教える」をビジネスシーンで使う場合は、大きく分けて「相手が自分に教えるケース」「自分が相手に教えるケース」の二通りが考えられます。そのため、それぞれの場合でビジネスメールや手紙での表現方法を使い分けなくてはなりません。まず、「相手が自分に教えるケース」では、自分を低めて相手を立て、教えてほしいという依頼の気持ちをこめた謙譲表現を使います。具体的には「前回ご指摘いただきました企画書の件ですが、詳しくご教示いただけませんでしょうか」「お時間がおありの際にでも、ご指導いただければ幸いです」などとします。また「自分が相手に教えるケース」でも、自分がへりくだる謙譲表現を用いますが、「教える」という行為が上下関係を意識させる動詞であるため、通常の謙譲語の一般形である「お教えします」のような言い方では気持ちが十分に伝わらない恐れもあります。「教えてやる」という高飛車な態度に受け止められないよう、表現に注意しながら、たとえば「新機種の使用法について、お伝えするお時間をいただければ幸いです」「会議室の新たな使用ルールにつきまして、ご案内いたします」などと表します。
「教える」を上司に伝える際の敬語表現
目上の存在である上司に「教える」の意味を伝える際は、基本的にメールや手紙での言葉遣いを用いますが、直接顔を合わせてコミュニケーションをとる場合であれば、堅苦しくなり過ぎないよう自然な口語表現を使うのが適当です。相手の教えを請う場合であれば「お教えいただけませんか」「お教えくださいませんか」あるいは「ご指導いただけませんか」などとします。また自分が相手に教える場合でも、対面することで真意が伝わりやすいというメリットを生かして、「お教えしましょうか」「よろしければお教えしましょうか」などと「教える」をストレートに使うことも可能です。ただし、相手が相当目上の人であれば、「僭越ですが、ご案内申し上げます」などとへりくだった表現に言い換えて伝えるほうがベターでしょう。「教える」の敬語での誤用表現・注意事項
「教える」という動詞が上下の関係の上に成り立っている言葉だけに、自分が相手に教える場合は伝え方に特に注意が必要です。正式な謙譲表現だからといって「お教えします」とストレートに言い放てば、相手が不快に感じる場面も出てくるでしょう。このような場合では、「教える」の意味を汲んで別の表現に言い換えるのが適当です。たとえば何かの事実関係を教える場合であれば「お伝えする」、やり方や方法を教えるのであれば「ご案内する」などのように、教えるべき内容に沿った言葉を選ぶと、誤解なく伝わります。ほかにも、言葉を補って誤解を避ける方法もあります。たとえば「恐縮ですが」「僭越ですが」などを付け加えることによって「自分のようなものがこんなことを言っては非常に恐れ多いのですが」というへりくだった気持ちが伝わりやすくなります。そのため「お教えしましょうか」を「僭越ですが、お教えいたしましょうか」と言い換えることで、相手が受ける印象もかなり違ってきます。
「教える」の敬語での言い換え表現
「教える」を敬語で言い換える場合、教える行為者が相手なら、敬語表現は「お教えになる」などの尊敬語となるため、別の表現として「ご教授なさる」「ご指導なさる」などと言い換えることができます。また教える行為者が自分の場合の敬語表現は「お教えする」などの謙譲語となるため、これを別の敬語表現に言い換えるとすれば「ご説明する」「お伝えする」「ご案内する」などをあげることができます。《教える》の敬語
教えるの敬語表現
教えるの敬語は「お教えする」「お教えいたす」になります。自分が他人に物事を教えるときは敬語のなかでも謙譲語を用いるのが基本です。少し古めかしい言い方に感じる人もいるかもしれませんが、「お教えします」や「お教えいたします」のように活用できます。そのため、実際に使用する場面ではそれほど違和感を覚えることはありません。たとえば、「私がパソコンの使い方をお教えいたします」のように使います。教えるという言葉は日常からビジネスシーンまで幅広く使われる言葉ですが、目上の人が目下の人に対して教える場合には、尊敬語の「お教えになる」が正しい表現です。たとえば、「先輩のAさんが、後輩のBさんに仕事の仕方をお教えになった」といった具合に使います。教えるの敬語での誤用表現・注意事項
「教える」という語句には、そもそも「立場が上の人が下の人に教える」というニュアンスがあります。「お教えする」や「お教えいたす」という言い方は謙譲語であり、伝える相手に対して十分な敬意を払った言い方なのですが、使用するシーンによっては上から目線の印象を与えるかもしれません。そのようなときは、後述する「教えるの敬語での言い換え表現」を使用したほうが無難な場合もあります。また、教えるの敬語表現として「させていただきます」を用いる人もいますが、これは有名な誤用表現です。「させていただきます」は主に相手から何らかの恩恵を受けたり、こちらがすることに対して相手の許可を得たりするシーンで使う言葉です。「教えさせていただきます」のように間違って使わないように気を付けましょう。教えるの敬語での言い換え表現
敬語には謙譲語以外にも尊敬語や丁寧語があり、自分が他人に教える場合には丁寧語を使うのも問題ありません。教えるを丁寧語にする場合は、「教えます」となります。「お教えする」や「お教えいたす」は、相手にとても敬意を払った言い方である反面、少し大げさに聞こえてしまう場合もあるでしょう。そのようなときは、「私が掃除の仕方を教えます」のような言い方をしたほうがスムーズな会話につながることがあります。特に、ビジネスシーンで社内の人を相手にするときは、丁寧語を使用したほうがよいケースも多いです。また、教えるとは別の言葉の敬語を使って言い換える表現もあります。たとえば、「ご説明いたします」や「ご案内します」です。物事に対する知識や手順などを教える場合には前者、場所などを教える場合には後者を使用するとよいでしょう。教えるという言葉は使う状況によって、相手に上から目線と受け止められてしまうことがあるので、必要に応じて言葉自体を使い分けることが大切です。- 《教える》の敬語のページへのリンク