《嬉しい》の敬語
「嬉しい」の敬語表現
「嬉しい」の敬語表現は、使用する文脈によって変わります。まず、「嬉しい出来事」のように、名詞を形容するときには「喜ばしい」とするのが一般的です。次に、「嬉しく思う」「嬉しく感じる」など、感想を述べる際の敬語は「嬉しく存じます」です。「嬉しい」の敬語の最上級の表現
「嬉しい」の敬語表現を最上級にするときは、「たいへん」「心より」などの言葉を付け足します。すなわち、「たいへん喜ばしい」「心よりうれしく存じます」などの形が使われてきました。より強い感想を表現したいのであれば、「たいへん喜ばしい限りです」という言い回しもあります。「嬉しい」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
名詞を形容する際の「喜ばしい」は、ビジネスメールや手紙でも使われています。以下、例文です。「お客様は先日のプレゼンテーションにて、御社の商品に強い興味を示されていました。これはわが社にとっても喜ばしい状況だと捉えております」「おかげさまで、喜ばしい結果となりました。今後ともよろしくお願いいたします」
また、「嬉しく存じます」もビジネスシーンで用いられている敬語の一種です。以下、例文を挙げていきます。
「お褒めにあずかり、たいへん嬉しく存じます。引き続き、ご期待に沿えるよう尽力してまいります」「ご昇進の件、心より嬉しく存じます。弊社でお力になれることがございましたら、なんなりとお申し付けくださいませ」
ちなみに、ビジネスのメールや手紙では未来の事象について「嬉しく存じます」を用いることで、遠回しに願望を伝えることもあります。例文としては、
「このたびは、ご開店おめでとうございます。今後ともわが社をご贔屓にしていただければ嬉しく存じます」「お忙しいとは思うのですが、来週以降でお時間をいただければ嬉しく存じます」
などです。
「嬉しい」を上司に伝える際の敬語表現
上司への敬語でも「喜ばしい~」や「嬉しく存じます」などの形は使われています。ただし、「存じます」という言葉がややおおげさになってしまうケースも珍しくありません。身近な上司に対する敬語であれば、「嬉しく思います」「嬉しく感じております」などの言い回しでも通用します。そのかわり、役職がかなり高い上司とのやりとりでは、「嬉しく存じます」としておくのが無難でしょう。「嬉しい」の敬語での誤用表現・注意事項
「嬉しく存じます」はビジネスシーンで頻繁に使われている一方で、「喜ばしく存じます」という表現はあまり登場しません。なぜなら、個人の感想を述べる際に「喜ばしい」という言葉が堅苦しい印象を与えかねないからです。感想を誇張しているようにも解釈できる言い回しであり、受け手の気分を害する恐れもゼロではありません。そのため、ビジネスシーンでは「嬉しく存じます」という表現の方が好ましいとされてきました。「喜ばしく存じます」は誤用ではないものの、ビジネスでは避けるのが無難です。また、「嬉しく存じます」と同じ意味で使われやすい言葉に「嬉しいです」があります。ただし、この言葉は正しい敬語とはいえません。なぜなら、「です」という丁寧語は本来、名詞の後に続かなければならないからです。「嬉しい」は形容詞なので、そのままの形では「です」とつなげられません。すなわち、「嬉しいです」は文法的には間違っている、くだけた日本語だといえます。親しい間柄でのみ許される言葉づかいであり、ビジネスシーンや公の場などでは避けるようにしましょう。
「嬉しく存じます」と同じ意味の敬語には、「嬉しゅうございます」もあります。これは「大和言葉」と呼ばれる日本語独特の表現です。とても丁寧な敬語の一種ではあるものの、使うシチュエーションには注意しましょう。大和言葉は古風な言い回しなので、場合によってはおおげさなニュアンスになりかねません。「嬉しゅうございます」はその典型であり、ビジネスシーンでは使われなくなりました。ビジネスメールや手紙では、「嬉しく存じます」としておくのが理想です。
「嬉しい」の敬語での言い換え表現
まず、「喜ばしい~」の類語としては、「晴れ晴れしい~」「理想的な~」「好ましい~」などが挙げられます。これらのフレーズは、厳密な意味での敬語にはなりません。ただ、日本語にはあえて難しい語句を使うことで、特別な敬意を伝える方法があります。日常生活で使う機会が少ないこれらの言葉は「喜ばしい~」と同じく、「嬉しい~」に敬意を含めた表現です。次に、「嬉しく存じます」の類語には、「恐縮です」「光栄です」などが挙げられます。いずれも細かい意味は異なるものの、相手の行為や言葉を好意的に受け止めたと示すためのフレーズです。ビジネスシーンで使うことも多く、「嬉しく存じます」の言い換え表現だといえるでしょう。あるいは、「ありがたく存じます」「感謝いたします」といった言葉で、嬉しい気持ちを伝えることも少なくありません。
なお、「たいへん嬉しく存じます」の言い換え表現には「恐縮至極に存じます」「たいへん畏れ多いことでございます」などがあります。これらの言葉はかなり堅苦しい表現なので、頻繁には使われていません。ただ、社会的地位の高い相手や大切なお客様相手なら通用する言い回しです。
《嬉しい》の敬語
嬉しいの敬語表現
「嬉しい」の謙譲語である「嬉しく存じます」は、「嬉しく」「存じ」「ます」の3要素に品詞分解できます。「嬉しく」は形容詞「嬉しい」の連用形であり、「喜ばしい、愉快で楽しい、ありがたい」といった意味を持っています。「存じ」は動詞「存じる、存ずる」の連用形です。「思う」の謙譲語として用いられます。助動詞「ます」は丁寧な表現であり、相手または聞き手に対する敬意を表しています。感情を謙譲語で表現する場合に用いられるのが、「存じます」です。また、「嬉しく存じます」以外の「嬉しい」の謙譲語として、「嬉しい限りです」も挙げられます。「限り」の意味は「限界」です。よって、「嬉しい気持ちで満たされている」という意味で用いられます。「嬉しく存じます」は目上の相手から感謝の言葉をかけられた場合の定型句として、「お役に立てて嬉しい限りです」のような形で使用されています。嬉しいの敬語での誤用表現・注意事項
「嬉しいです」も「嬉しい」の敬語の1つとして使用されています。しかし、厳密に言うと「嬉しいです」という表現は文法上不適切です。「です」は助動詞「だ」の丁寧語であり、「です」の前には名詞のような体言が付けられます。「嬉しい」は感情を表す形容詞であるため、助動詞「だ」や「です」は付けられません。よって、「嬉しいです」は親しい相手に対して用いる場合には問題ないものの、ビジネスシーンにはふさわしくない表現であると言えます。稚拙で幼い印象を与えてしまう可能性があるため、注意が必要です。嬉しいの敬語での言い換え表現
「嬉しい」を敬語で言い換えたものが、「喜ばしい」です。「喜ばしい」は形容詞であり、「喜びたい状態、快く満足な気分」という意味を持っています。具体的には、相手の成功や昇進を祝うような場合に「喜ばしい限りです」という形で用いられます。また、「喜ばしい」以外で「嬉しい」の言い換え表現として挙げられるのは、「光栄に存じます」や「幸いに存じます」です。「光栄」には「行動を褒められて名誉に思うこと」と、相手を立てるようなニュアンスがあります。「光栄に存じます」は嬉しさや誇らしさを伝える表現として、目上の相手から仕事を認められた場合などに用います。「幸い」は「幸せ」の言い換え表現です。「幸いに存じます」は「嬉しい、ありがたい、助かる」という意味で使用されます。ビジネスメールで「~していただけると幸いに存じます」という形で用いられることが多いですが、目上の相手から感謝された場合にも用いられています。- 《嬉しい》の敬語のページへのリンク