《娘さん》の敬語
「娘さん」の敬語表現
他人の娘の呼び方の一つに「娘さん」というものがありますが、実際敬語として使うには多少カジュアルな表現となります。上司など目上の相手に対しても、親しい間柄であれば「娘さんはお元気ですか?」のように使うことができますが、オフィシャルな場面ではより丁寧な敬語表現が求められることがあります。「娘さん」は、より敬意を払った表現に置き換えると「お嬢さん」「お嬢様」「お子さん」「お子様」「ご息女」となります。尊敬の意味の接頭辞「お」と、接尾辞「さん」「様」が付くことで丁寧な印象を与えます。ただし「お子さん」や「お子様」は成人した子供に対して使うのは不適切とされることが多く、相手の娘が生まれてすぐ~小・中学生くらいまでの場合に使いやすい表現であるといえます。「お嬢さん」や「お嬢様」に関しても、「嬢」には未婚の女性という意味が含まれているため、若い未婚の娘がいる場合に使うのが適切です。
対して「ご息女」は年齢に関係なく使えます。「息女」は「娘」という意味を持つ言葉で、「他人の娘を敬っていう語」や「特に、身分ある人の娘」として使うとされていますが、現在は身分の高い相手に限らず、他者の娘への敬意を払った呼び方として最適な言葉となっています。かしこまった印象になるため、親しい同僚や友人に対して使うと堅苦しく感じられるかもしれません。ビジネスシーンであれば上司や取引先の相手、そのほかにもお世話になった自分の恩師などに対して使うことができます。
「娘さん」の敬語の最上級の表現
「娘さん」の敬語として最上級の表現は「ご令嬢」です。「令嬢」には「貴人の娘」や「良家の娘」といった意味があります。「令嬢」の「令」は「相手に関係ある人を尊敬して言う語」で、ほかにも「令息」「令兄」「令夫人」などの言葉があります。「ご令嬢」は「ご息女」よりもさらに敬意を高めた表現で、格式が高い家の娘を指して使われることが多いです。一般的に広く使われている呼称ではありませんが、「社長令嬢」という言葉があるように、社長の娘を敬って「ご令嬢」と呼ぶことは珍しくありません。そこまで身分が高いわけではない相手の娘に対して「ご令嬢」と言ってしまうと、嫌味として受け取られることもあるので気軽に使うのは避けましょう。また「お嬢様」などと同じく、若い娘に対して使う言葉であることも知っておく必要があります。
「娘さん」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「娘さん」の敬語表現を取り入れた、ビジネスメールや手紙で使える例文を紹介します。・部長のお嬢さんは元気にされていらっしゃいますか。
・いつもお嬢さんにうちの娘がお世話になっております。
・課長のお嬢様は今年おいくつになられますでしょうか。
・可愛いお嬢様のご誕生おめでとうございます。
・お子様から目を離されないようお願いいたします。
・ご出産おめでとうございます。ご息女の健やかな成長心よりお祈り申し上げます。
・ご息女○○様のご入学誠におめでとうございます。希望に満ちた新生活が、実り多きものとなりますよう願っております。
・この度のご息女様のご結婚を心よりお慶び申し上げます。
・ご令嬢様のご結婚を心よりお祝い申し上げます。
・社長のご令嬢も今回パーティーにご列席いただけるとのことです。
「娘さん」を上司に伝える際の敬語表現
「娘さん」と上司に伝える際にも、「お嬢様」「お子さん」「ご息女」などが使えます。上司との関係性によってどの呼称を選ぶべきかは変わってきます。フランクに話せる親しい上司であれば、「ご息女」のようなかしこまった表現よりも「お嬢さん」「お子さん」などを使うのが適しているといえます。普段あまり話さない相手やかなり上の立場の上司に対しては、なるべく丁寧な表現を心がけるべきです。「娘さん」の敬語での誤用表現・注意事項
「娘さん」の敬語表現を使う際に気を付けたい誤用や注意事項があります。「娘さん」の「さん」を「様」に変えて「娘様」という呼び方をするケースが見受けられますが、これは適切な表現ではありません。「様」を付けたい場合は、「お嬢様」や「お子様」といった一般的な言葉を使用しましょう。「ご息女」に「様」を付けた「ご息女様」は二重敬称で間違いとされる場合もありますが、現在は慣例的に広く受け入れられています。手紙や電話応対において丁重な表現として使われることが多くなっています。また「お嬢さん」等の敬語表現はすべて他人の娘を敬う尊敬語であり、自分の娘に対しては使えません。自分の娘に言及する場合、「うちの娘が」「今年五歳になる長女が」のように「娘」「長女(次女)」といった言葉を使いましょう。
「娘さん」の敬語での言い換え表現
「娘さん」を敬語で言い換える際に、本人の名前が分かれば「○○さん」「○○様」のように呼ぶこともできます。相手と家族ぐるみでの付き合いがある場合などに、親しみを込めて本名で呼ぶケースなどが見られます。一般的に使われることは少ないですが、「かわいがっている大切な娘」という意味で他人に対して使われる「愛嬢」という言葉もあります。古典文学などにおいてみられる表現で、現在ではほとんど使われていません。
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