タナゴとは? わかりやすく解説

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たなご【×鱮】

読み方:たなご

コイ科タナゴ亜科淡水魚全長10センチ。体は細長く一対口ひげ短く背部暗褐色、他は銀白色産卵期の雄は背部から腹部にかけ青緑色から淡桃色黒色に変わる婚姻色を示す。関東東北地方平野部の川や沼にすむ。食用

コイ目コイ科タナゴ亜科淡水魚総称産卵管二枚貝排水管挿入し内部のえらに卵を産みつけ、稚魚孵化(ふか)後しばらく貝の中で成長したのちに外へ出る。産卵期の雄には美し婚姻色を示すものが多い。アジア・ヨーロッパの温帯広く分布し日本にはタナゴ・ヤリタナゴ・ゼニタナゴ・バラタナゴなど15種が知られ、イタセンパラ・ミヤコタナゴは天然記念物

ウミタナゴの別名。

タナゴの画像
タナゴの焼き干し

ウミタナゴ

学名Ditrema temmincki 英名:Japanese surfperch
地方名:タナゴ、コモチダイ 
脊椎動物門硬骨魚綱スズキ目ウミタナゴ科
色 形 長崎・日本・世界 住みか 3D

※出典:長崎県水産部ホームページ
著作権尼岡 邦夫

特徴
本種には2つ型があり、マタナゴと呼ばれ背方が黒青色で腹方が銀色帯びるものと、アカタナゴと呼ばれる背方が赤褐色体側多数褐色の縦の帯があるものとがある。前者の方が深みにすみ、この2型別種かどうか問題となっている。浅海岩礁域にすみ、甲殻類などの小型底生動物主食とする。仔魚生むとして有名で、雄の腹びれ前部には交尾用の突起がある。山陰地方には逆子を産むことから妊婦には食べさせないという迷信がある

分布:北海道中部九州日本各地朝鮮半島南部 大きさ:〜30cm
漁法:定置網磯釣り 食べ方:つけ焼き唐揚げ煮付け

クロサギ

学名Gerres oyena 英名:Black-tipped
地方名:タナゴ、ムギメシ 
脊椎動物門硬骨魚綱スズキ目クロサギ科
色 形 住みか 3D

※出典:長崎県水産部ホームページ

特徴
クロサギは砂地の多い内湾生息している。汽水域に入ることもたまにある。幼魚夏から秋にかけて河口域及び沿岸域砂地多く生息する。眼と同じ高さについている口は下方突きだすことができ、ゴカイ類藻類食べる。楕円形平らな体である。沿岸域での投げ釣り堤防釣りでよくかかる。漁獲量が多いのは房総半島以南及び九州北西岸である。

分布:本州以南奄美大島以南にはいない) 大きさ:30cm
漁法:釣り 食べ方: 

読み方:タナゴ(tanago)

コイ科淡水魚

学名 Acheilognathus limbatum


タナゴ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/08 13:09 UTC 版)

タナゴ
霞ヶ浦で採集された個体
婚姻色を呈するタナゴのオス(福島県)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
上目 : 骨鰾上目 Ostariophysi
: コイ目 Cypriniformes
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : タナゴ亜科
Acheilognathinae
: タナゴ属 Acheilognathus
: タナゴ A. melanogaster
学名
Acheilognathus melanogaster
Bleeker, 1860
和名
タナゴ

タナゴ(鰱、鱮、Acheilognathus melanogaster)は、コイ目コイ科タナゴ亜科タナゴ属に分類される淡水魚の一種。

名称

「タナゴ」の呼称は本種の標準和名であるとともにタナゴ亜科魚類の総称としても用いられるので、厳密に本種だけを指すかタナゴ亜科全般を指すか、用法に注意する必要がある。各種フィールド調査においても、タナゴ亜科のどの種なのかを明確に個体識別せずに「タナゴ」とし、後刻混乱するケースが間々見受けられる。専門の研究者は「モリオカエ」(moriokae:本種のシノニム)と呼称して混同を防いでいる。

関東地方の釣り人の間では、ヤリタナゴアカヒレタビラとの混称でマタナゴという別名が用いられることもある。また、海水魚 Ditrema temmincki の和名は「ウミタナゴ」で、本種と姿形が似ることからその名が付けられたが、分類上はスズキ目ベラ亜目ウミタナゴ科に属するまったく別の魚である。

分布

日本固有種で、本州関東地方と東北地方の太平洋側に自然分布する。分布南限は神奈川県鶴見川水系(川崎市、横浜市)、北限は青森県鷹架沼(上北郡六ヶ所村)とされ、生息地はこの間に散在する。各地で個体数が激減しており、絶滅が危惧されている(後述)。

初夏の繁殖期、産卵管が伸長したタナゴのメス。福島県。

形態

体長6-12cm。背鰭不分岐軟条は3本と分岐軟条は8-9本、臀鰭不分岐軟条は3本と臀鰭の分岐何条は8本。側線鱗数は37-39枚で、側線上方横列鱗数は6枚、側線下方横列鱗数は4-5枚。日本産タナゴ類16種・亜種の中でも体高は低めの部類に入る。体色は普段は銀色で、肩部には不鮮明な青緑色の斑紋が入る場合もあり、体側面に長い青緑色と桃色の縦帯、背鰭の鰭条に2本の白い点線が入る。口角に1対の口髭がある。

繁殖期になるとオスは胸は薄いピンク色、背中側は濃紺色〜青紫色、背鰭と腹鰭、腹面は黒くなり、尻鰭の縁は白く染まる。種小名 melanogaster は「黒い腹」の意で、オスの婚姻色に由来する。メスには明らかな婚姻色は発現せず、基部が褐色で先端は灰色の産卵管が現れる。

生態

小規模な池湖沼のような止水域から、ヤマメカワシンジュガイが同所的に生息する山間部の渓流まで幅広い環境に生息する。本種の棲む池や河川では、アカヒレタビラゼニタナゴと共存している場合がある。食性は植物性の強い雑食性で、小型の水生昆虫甲殻類藻類等を食べる。

繁殖期は3-6月である。産卵基質となる二枚貝は大型の貝種を選択する傾向がみられ、カラスガイドブガイカワシンジュガイに卵を産みつける。卵は水温15℃前後では50時間ほどで孵化し、仔魚は母貝内で卵黄を吸収して成長する。母貝から稚魚が浮出するまでには1ヶ月ほどかかる。しかしこれらの二枚貝類は減少傾向にあり、本種の個体数減少に拍車をかけている。

保全状態評価

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

VULNERABLE (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))

昭和40年頃から個体数の急激な減少が報告されており、その要因として、水質汚染河川改修圃場整備による産卵母貝・生息地の消失などが挙げられる。また、近年では外来魚による影響も個体数の減少要因となっており、ブラックバスブルーギルによる食害や、タイリクバラタナゴとの競合が報告されている。加えて、一部の業者や愛好家による乱獲も本種の個体数減少を助長するものと懸念される。

関東地方の生息地は近年特に減少している。分布南限の神奈川県ではすでに絶滅し、東京都埼玉県でも同様とみられ、千葉県においても近年は確実な記録はない。現在のまとまった生息地は茨城県栃木県内の一部水域のみである。かつて多産した霞ヶ浦周辺では、産卵母貝の減少や外来魚による食害の影響などで個体数の減少が続いており、現在では一部の水域にのみ分布が限定されている。2000年以降はオオタナゴの移植による本種への影響も懸念される。

ブラックバスの食害が問題となっている伊豆沼宮城県栗原市北上川水系)では、かつてゼニタナゴとともに本種が多数生息しタナゴ類優占種であったが、2000年代になってからはほとんど確認できない状況が続いている。岩手県の一部水域では移入されたイチモンジタナゴとの競合により減少し、青森県東部の湖沼群でもブラックバスの侵入が顕著であり、予断を許さない状況である。

2007年版の環境省レッドデータブックはこれらの状況を反映し、従来の準絶滅危惧から2段階ランクを上げ、近い将来に野生絶滅の危険性が高い絶滅危惧IB類となった。各都道府県版レッドリストへの記載状況は下表の通り。

カテゴリ 都道府県
絶滅 神奈川県埼玉県東京都群馬県
絶滅危惧I類 千葉県栃木県宮城県福島県青森県
絶滅危惧II類 茨城県
その他 岩手県(Dランク - 準絶滅危惧の下位)

利用

茨城県千葉県では、タナゴを使った佃煮や雀焼き、唐揚げなどが古くから続く伝統料理として親しまれている。肝吸虫などの寄生虫を保持する可能性があり、生食には危険をともなう。

江戸時代から釣りの対象として親しまれ、女性の髪に金の針をつけて釣るなどの釣法もあった。エサはタマムシ(イラガの幼虫)や赤虫、イトミミズ等を用いる。観賞魚として飼育されることもある。

参考文献

  • 『原色ワイド図鑑5 魚・貝』 学習研究社、1984年、11頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 魚』 小学館、2003年、12頁。
  • 赤井裕ほか『タナゴのすべて』 マリン企画、2004年、29頁。
  • 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』 山と溪谷社、2001年。 ISBN 4-635-09021-3

外部リンク


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