ウミタナゴ科とは? わかりやすく解説

ウミタナゴ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 08:32 UTC 版)

ウミタナゴ科
Brachyistius frenatus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: ウミタナゴ科 Embiotocidae
タイプ属
Embiotoca
英名
Surf perch
下位分類
本文参照

ウミタナゴ科学名Embiotocidae)は、スズキ目ベラ亜目に所属する魚類の分類群の1つ。ウミタナゴ・オキタナゴなど、卵胎生の魚類を中心に13属24種が記載される[1]

分布・生態

シャイナーサーフパーチ(Cymatogaster aggregata)。本科は卵胎生のグループとして知られ、仔稚魚は雌の体内で成長してから産み落とされる

ウミタナゴ科の魚類はほとんどが海水魚で、主に北太平洋の沿岸域に分布する[1]。所属する24種のうち、18種は北アメリカ北西部の太平洋岸に、4種は日本・朝鮮半島など太平洋北東部の沿岸に生息する[1]淡水産種として1種(Hysterocarpus traskii)のみが、カリフォルニア州の水系から知られている。また1種は北アメリカの汽水から知られる[1]

本科の仲間は藻場岩礁潮間帯タイドプールなど、沿岸の浅い海に多くみられる[2]海底底生生物、あるいは海藻に付着した無脊椎動物を捕食する食性が一般的だが、動物プランクトン食に特化した種類も知られている[2]

ウミタナゴ類は卵胎生の繁殖様式をもつことで知られている[1]。雄は厚く発達した臀鰭の先端部を用いて雌と交尾し、体内受精を行う[1]孵化した仔魚は雌の体内である程度成長してから産出され、一部の種類の雄ではすでに性成熟に達していることさえある[2]

形態

ウミタナゴ科の仲間は左右に平たく側扁した、いわゆる型の体型をもつ[3]。多くは全長20-30cm程度に成長する小・中型の魚類で、最大種Rubberlip seaperch(Rhacochilus toxotes)では45cmに達する[4]側線は体側の高い位置を走行し、よく発達するが尾鰭には達しない[1]は円鱗で、側線鱗は35-75枚[1]

背鰭は1つで、通常は6-11本の棘条と9-28本の軟条で構成されるが、Hysterocarpus 属のみ15-19本の棘条をもつ[1]。臀鰭は3棘15-35軟条で、尾鰭は二又に分かれる[1]

分類

シャイナーサーフパーチ(Cymatogaster aggregata)。大きな群れを形成し、淡水汽水域にも進出する[4]
ブラックパーチ(Embiotoca jacksoni)。通常は浅場で暮らすが、水深40mを超えるやや深い海域からも知られている[4]
ストライプトシーパーチ(Embiotoca lateralis)。釣魚・食用魚として広く利用される[4]
レインボーシーパーチ(Hypsurus caryi)。カリフォルニア沿岸の岩礁や藻場に生息する

ウミタナゴ科にはNelson(2016)の体系において13属24種が認められている[1]。本稿では主にFishBaseに記載される13属24種についてリストする[4]

日本や朝鮮半島の沿岸に広く分布するウミタナゴ Ditrema temmincki には体色の異なる亜型が存在し、従来は一つのの中での色彩変異と考えられていた[3]形態学的研究に基づく再検討の結果、「ウミタナゴ」には実際には複数種が含まれることが明らかとなり、赤味がかったタイプはアカタナゴ D. jordani に同定され、銀色タイプは新亜種マタナゴ D. t. pacificum として記載された[5]。しかしFishBaseではウミタナゴに亜種を認めていない。

出典・脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k 『Fishes of the World Fifth Edition』 p.335
  2. ^ a b c 『The Diversity of the Fishes Second Edition』 p.307
  3. ^ a b 『日本の海水魚』 p.433
  4. ^ a b c d e Embiotocidae”. FishBase. 2025年4月3日閲覧。
  5. ^ Ichthyological Research 54巻4号掲載論文和文要旨”. 日本魚類学会. 2011年8月21日閲覧。
  6. ^ a b 日本産魚類の追加種リスト”. 日本魚類学会. 2011年8月21日閲覧。

参考文献

外部リンク


ウミタナゴ科

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ベラ亜目」の記事における「ウミタナゴ科」の解説

ウミタナゴ科 Embiotocidaeはウミタナゴ・オキタナゴなど1323からなる北太平洋沿岸域分布し、まれに淡水域進出する胎生魚類として知られ、卵は雌の体内孵化し、数cm程度成長した仔魚産出されるベラ亜目他科比べ地味な体色種類多く、体は小さな円鱗覆われる尾鰭二又分かれる側線連続的で、体の上部を走行するウミタナゴ属 Ditrema オキタナゴ属 Neoditrema 他11

※この「ウミタナゴ科」の解説は、「ベラ亜目」の解説の一部です。
「ウミタナゴ科」を含む「ベラ亜目」の記事については、「ベラ亜目」の概要を参照ください。

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