日本赤十字社
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事業
47の各都道府県支部の下に病院[注釈 7]や診療所、血液センター、献血ルーム(献血ルームは血液センター出張所の位置付け)、福祉施設などがあり、また看護師養成の日本赤十字看護大学(設置者は学校法人日本赤十字学園)や専門学校を持っている。
また、赤十字の思想目的に賛同するボランティアで構成される「奉仕団」を持ち、通常時は事業の支援活動(主として催事での手伝い)を、災害時には無給で救援活動を行なう。主として地域組織に原点を持つ“地域”、学校単位で学生により構成される“青年”、アマチュア無線家や応急処置技術指導者、自家用操縦士、スキーヤーなど特殊技能の保持者で構成される“特殊”の3種がある。
血液事業
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血液事業では、日本で唯一、献血の受け付けや、献血を原料とする血液製剤を製造し、医療機関への供給を行っている。また、1991年(平成3年)以降は有償採血が事実上廃止となったため、血漿分画製剤の原料として献血に基づく血液を製薬会社へ供給している。ただし、献血のみでは国内での血液需要を満たせない現状がある。2012年(平成24年)、血漿分画事業部門が、田辺三菱製薬の血液製剤部門である株式会社ベネシスと分離統合し、一般社団法人日本血液製剤機構となった。
血液製剤の供給のための体制としては、日本赤十字社が国内各地に設置する各血液センターにおいて、管内で災害が発生し、血液製剤が必要になった場合に備え、一定量の血液製剤を備蓄している。備蓄量を上回る需要に対しては、全国の血液センター間で相互に融通し合う体制を整備している。
さらに、日本赤十字社では、1978年(昭和53年)よりアジア・太平洋地域の姉妹赤十字・赤新月社から血液事業研修生を受け入れ、血液事業の幹部職員を育成し、研修生の母国での活動促進に貢献している。2002年(平成14年)までの受け入れ実績としては、17ヶ国・279名の研修生を受け入れ研修を実施している。また、日本赤十字社はアジア地域赤十字・赤新月血液事業シンポジウムを開催している。このシンポジウムでは血液事業に関する各国の代表者が情報の交換を通して、輸血感染症の予防、血液型検査と試薬の製造、献血者募集、品質管理などの技術的側面に焦点をあてながら、それぞれの事業に基づき培った経験の分かち合い、アジア地域における血液事業の発展と協力関係の強化を図っている。
血液事業の採算は厳しく、血液の採取、運搬、保存などに経費が掛かるため多額の赤字を出していた時期もある。1969年度には1億3000万円の赤字が出た[29]。ため、1970年以降、断続的に輸血用血液の値上げが行われた。
赤十字病院
赤十字病院は第3次医療機関に指定されている。
2023年(令和5年)4月1日現在[8]
- 病院91箇所(うち分院(岡山赤十字玉野病院)1箇所、地域周産期母子医療センター(東京かつしか赤十字母子医療センター)1箇所)
- 日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区広尾)
- 診療所5箇所(うち健康管理センター2箇所)
広尾の医療センターのみが本社の直属で、各地の赤十字病院(○○赤十字病院など)の病院施設は、都道府県支部に所属し、下記を除く各県に設置されている。
災害救護活動
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日本赤十字社においては、地震や台風などの自然災害や航空機・列車事故等の交通災害などが発生すると、被災者を救護するため、直ちに医療救護班を被災地に派遣し災害救護活動を実施している。災害救護活動は、主に医療救護、救援物資の配分、義援金の受付・配分、血液製剤の供給、その他のボランティア活動からなる。
災害時の医療救護の体制としては、日本赤十字社では自然災害や事故など人的災害に備えて、各地の赤十字病院の医師、看護師、主事(事務職)で編成される救護班を、全国に470班編成しており、災害が発生すると、被災地にただちに救護班を派遣し、救護所の開設、避難所の巡回診療等の医療救護を実施している。
災害時の救援物資の配分の体制としては、日本赤十字社が全国に備蓄している毛布、緊急セット、安眠セットなどの救援物資を整備している他、同社の各都道府県支部が地域性を考慮し、独自に必要と思われる物資について備蓄している。
チャリティ活動
日赤への寄付金に関しては、特定公益増進法人(公益の増進に著しく寄与する特定の法人)への寄付金として、税制上の優遇措置(寄附金控除)を受けることが可能である。毎年12月にはNHKと連携し「海外たすけあい」募金を実施している。
災害発生時には国内の義援金(海外の場合は「救援金」)をとりまとめる機能も果たしている。近年では、災害時においてインターネット上でクレジットカードなどを通じて義援金(海外は救援金)を行えるウェブサイトが増加しているが、これらの募金の受付先も日本赤十字社であることが多いが、国内災害の場合は、被災都道府県の設置する「義援金募集委員会」に集められ、都道府県の義援金配分委員会によって、被災された方々に交付される。海外救援金の場合は、現地ニーズに応じる形で、必要な支援物資等が購入される。例として、Yahoo! JAPANが壁紙データを購入する形で、Amazon.co.jpが“募金”という商品を購入する形で募金を行った。平時においても「赤十字オリコカード」によって利用額の0.5%が、「赤十字DCカード」によって利用額の1%がカード会社から寄付される。
義援金の配分のための体制としては、義援金は日本赤十字社だけでなくマスメディアなどを通じて、多くの団体で受付けられることから、被災者に配分するために1ヶ所にとりまとめる必要がある。そのため、義援金を取り扱う第三者機関として、被災自治体、日本赤十字社、報道機関などで構成される義援金配分委員会が設置されることとなり、義援金配分委員会により、各機関で受付けた義援金をとりまとめられて、配分基準が作成され、被災者への配分が決定される。
その他の活動としては、日本赤十字社に加入するボランティア「奉仕団」などによる支援活動がある。奉仕団員に対しても、10人以上が被災する事故が発生した事を知った場合には、積極的に支部に通報し(災害通報)、出動の一助となる事が推奨されている(現場を管轄する都道府県支部に着信する全国共通のナビダイヤルが2006年(平成18年)から導入された)。設立後、最初の災害救護活動を実施した1888年(明治21年)の福島県磐梯山噴火、1923年(大正12年)の関東大震災、1985年(昭和60年)の日航ジャンボ機墜落事故、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災、2004年(平成16年)の新潟県中越地震などが大災害の例として挙げられる。
赤十字奉仕団員の信条
- 全ての人々の幸せを願い、陰の力となって人々に奉仕する。
- 常に工夫して、人々の為により良い奉仕が出来るよう努める。
- 身近な奉仕を広げ、全ての人々と手をつないで、世界の平和に尽くす。
日本国外の大災害へは、資金・物資の援助を行うことが多いが、スマトラ島沖地震(2004年(平成16年))、パキスタン北部地震(2005年(平成17年))では、医師・看護師を含む人員を派遣し、各国の赤十字と連携して被災者の救援や復興の支援にあたっている。 → #国際活動を参照。
東日本大震災等への義援金
上述のように、寄せられた義援金は全額被災者に分配される。また日本赤十字社の運営は「社員」(=会員)からの寄付金や、「日本赤十字社の運営のための」寄付金で賄われており、義援金が日本赤十字社のスタッフの給与や事業活動(災害支援活動や被災者の救護活動など)、被災地の復旧事業などに使われることはない。全額被災者に分配される[30][31]。
「義援金」は国内の災害に対して寄せられるもので、海外での災害や紛争に対して寄せられるものは「救援金」と呼ぶ。救援金は被災国の赤十字(赤新月)社に寄せられて、現地での救援活動や復興支援活動等に使われ、被災者には直接分配されない[31][32]。
国際活動
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日本赤十字社は日本国外の災害などにおいても救援事業を実施しており、これを「国際活動」という。
日本赤十字社の国際活動は、国際赤十字赤新月社連盟、その他、当事国や援助国の赤十字・赤新月社との協力関係の下に実施される。
援助の方針としては、紛争や災害の被災者、とりわけ高齢者、女性、子供などや開発途上国などにおいて深刻な健康問題に苦しむ人々を支援することとされている。主な救援活動としては災害救援、災害対策、保健衛生・医療・福祉増進などの事業について実施している。
その他、国際赤十字運動の強化に向けた貢献をなすこと、 さらに同社の国際活動をより強化していくため、人道問題について広く日本国民の理解と義援金・支援を呼びかけることとされている。 これまで日本赤十字社では48億7千万円もの義援金を国際活動に投じ、67ヶ国もの国々において救援を実施してきている。
災害対策、保健衛生医療などの活動としては、飲料水供給・衛生環境改善などの開発協力が大きな意義を果たし、こうした支援を通じて不衛生な環境のために苦しむ人々や伝染病の拡大防止を図ることなどがされている。
また、日本赤十字社が手がける事業に、安否調査がある。これは、戦争や紛争が発生すると、被害(被災)者が家族や友人と離散する事態が多数発生することから、家族や友人との間の通信手段がない場合に際して、赤十字通信という手紙を使用して、連絡手段を確保するなどのことがされている。なお、平時国際活動発祥の地は、和歌山県東牟婁郡串本町の潮岬で、エルトゥールル号遭難事件に際し、地元住民等の献身的な活動に由来する[33]。
事業の成果
機関紙「赤十字新聞」を発行。また、支部レベルでの広報紙を発行するところもある(東京都支部の「日赤とうきょう」、埼玉県支部の「日赤さいたま」)。
日本における事業の成果
- 近年では、1995年(平成7年)阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)、2004年(平成16年)新潟県中越地震、2011年(平成23年)東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)への奉仕団・災害救護ボランティア・医療チームの派遣や、献血の供給。
- 北朝鮮による日本人拉致問題として、曽我ひとみさんら拉致被害者を日本に帰国する際の朝鮮赤十字会(北朝鮮の赤十字組織)との折衝。
日本国外における事業の成果
- 近年では、2004年(平成16年)末のスマトラ島沖地震(津波)、2005年(平成17年)のパキスタン地震の際には資金援助のほか医療チームが派遣された。
- 2005年(平成17年)のハリケーン・カトリーナや2006年(平成18年)のフィリピンの地すべりなどでは、資金援助を行った。フィリピンには救援物資の拠出も計画。
青少年赤十字
青少年赤十字(Junior Red Cross)の事業は、主に小学校・中学校・高等学校の学校教育の中で行われ、日常生活において社会貢献、国際親善を実践していこうという事業である。学校単位での加盟となり、その加盟対象には、「JRC部」などの名称によるクラブ活動と、「全校加盟」と呼ばれる生徒会による活動とがあり、加盟時点で区別される。原則、年度末までの加盟となる。
毎年、新年度には、都道府県ごとに加盟校の代表生徒が集合して加盟式を行う例が多い。
- 『トレーニングセンター』『スタディセンター』について
毎年、8月頃に各県支部の細かい地区主催で地区ごとの参加者で行うトレーニングセンター、12月に県支部主催で県内参加者が一つの会場に集い行うスタディセンターという研修会が開催されている。(各支部によって異なる。)
各会の意義としては赤十字の歴史、活動内容、リーダーとして、又は求められる素質など青少年赤十字の一員として、もしくは人生を歩むにあたって重要な事などを青少年赤十字の態度目標にも有るように「気づき、考え、実行する」にある行動目標に合致するような内容を学ぶ。
なお、スタディセンターはトレーニングセンター修了者のみ参加可能。
- 「mt・fuji」国際交流会について
基本的に、2年に一度11月に静岡県御殿場市にある「YMCA東山荘」にて、日本赤十字社が主催するアジア圏内の約22ヶ国2地域の青少年赤十字や赤新月社の青少年メンバーが集まる「mt・fuji」と呼ばれる交流会がある。目的として各国の郷土文化や地域の赤十字・赤新月の活動を報告したり各国メンバーとの交流を目的とする国際交流会がある。
- 青少年赤十字の態度目標
「気づき」「考え」「実行する」
- 誓いの言葉
「わたくしは、青少年赤十字の一員として、心身を強健にし、人のためと郷土社会のため、国家と世界のためにつくすことをちかいます。」
- 青少年赤十字の歌のレコード
- 「空は世界へ」(指揮:貫見進一郎、斉唱・独唱:天保山中学校合唱隊、ピアノ伴奏:浦上洋子)十字屋DMー3165(DSXー428)
- 「青少年赤十字の歌」(指揮:貫見進一郎、斉唱:天保山中学校合唱隊、ピアノ伴奏:浦上洋子)十字屋DMー3165(DSXー429)
注釈
- ^ 2019年(令和元年)5月1日以降(皇太子妃不在のため)。
- ^ 名誉副総裁は、秋篠宮皇嗣妃・常陸宮・常陸宮妃・三笠宮妃・寬仁親王妃・高円宮妃の6人[10][2]。名誉副総裁の節を参照。
- ^ 北海道では市民が務めていたが、2024年6月1日付けで北海道知事が新支部長に就任した。
- ^ のちに、この「幇助することができる」との規定は、1910年(明治43年)の変更により「日本赤十字社は救護員を養成し救護材料を準備し陸軍大臣海軍大臣の定むる所に依り陸海軍の戦時衛生勤務を幇助す」と改められ、つまり「陸海軍の戦時衛生勤務を幇助する義務を負う」趣旨のものとなった[14]。
- ^ 獨逸学協会(Verein für deutsche Wissenschaften)を参照。
- ^ ポーランド第二共和国、元首ユゼフ・ピウスツキを参照。
- ^ 東京都渋谷区広尾の医療センターは本社直轄。
出典
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