各務原鉄道K1-BE形電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 10:27 UTC 版)
仕様
車体長12,166 mm・車体幅2,490 mmの木造車体を備え、床下には構体補強用のトラス棒を設置する[7]。前後妻面はいずれも大きな円弧を描く丸妻形状で、5枚の前面窓を均等配置し、妻面下部より鋼製の台枠端梁が露出した構造とした[7]。側面には838 mm幅の片開客用扉を片側2箇所配し、客用扉間には楕円形状(丸窓)の戸袋窓[7][注釈 2]と、711 mm幅の一段落とし窓構造の側窓を計8枚それぞれ配した[7]。側窓は57 mm幅の窓間柱によって区切られた2枚の窓を305 mm間隔で計4組設け[7]、側面窓配置はD e 2 2 2 2 e D(D:客用扉、e:丸窓、各数値は側窓の枚数)である[4]。車内はロングシート仕様で、車内天井部には白熱灯式の車内照明機器とつり革を設けた[7]。
制御装置はイングリッシュ・エレクトリックM-15-C自動加速制御器[注釈 3]を採用し[3]、主電動機は同じくイングリッシュ・エレクトリック製のDK-30-C直流直巻電動機(定格出力60 PS)を採用[3]、吊り掛け駆動方式・歯車比4.60 (69:15) [2]で1両あたり4基搭載した[3]。台車はボールドウィン・ロコモティブ・ワークス (BLW) 社開発のボールドウィンA形台車を原設計として、日本車輌製造が模倣製造した「日車ボールドウィン形」あるいは「日車BW」と呼称される形鋼組立形釣り合い梁台車(固定軸間距離1,981 mm、車輪径864 mm[7])を装着した[3]。制動装置は連結運転を考慮してSME非常直通空気ブレーキを採用[3]、前後妻面には並形自動連結器を装着した[7]。また、集電装置として当初トロリーポールを前後各1基ずつ搭載したが[7]、後年菱形パンタグラフへ換装された[8]。
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注釈
- ^ 例えば後述する美濃電BD505形の「BD」は、「2軸ボギー構造」を意味するBと、「イングリッシュ・エレクトリック製のデッカー (Dick, Kerr) 系電装品を搭載する車両」を意味するDを組み合わせた記号である[5]。
- ^ 後年、他の側窓と形状を合わせた一般的な形状に改造され[8]、側面窓配置はD 3 2 2 3 Dとなった[4]。
- ^ M-15-Cは、イングリッシュ・エレクトリック (EE) 社の前身事業者の一つであるディック・カー・アンド・カンパニーが開発した、「デッカーシステム」と通称される電動カム軸式制御装置の一機種である[9]。同機種は本形式のほか、美濃電および各務原鉄道と同じく美濃電の傘下事業者である谷汲鉄道(後の名鉄谷汲線を敷設・運営した事業者)の両事業者が導入した間接制御仕様の4輪単車各形式においても採用された[9]。
- ^ 後年、配属された山形交通三山線の廃線に伴って蒲原鉄道へ再譲渡され、同社モハ91形91となった[11]。
出典
- ^ a b c d e f 「私鉄車両めぐり(27) 名古屋鉄道 3」(1956) p.35
- ^ a b c d e f g h 『最新電動客車明細表及型式図集』 p.1
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 「名古屋鉄道の車両前史 現在の名鉄を構成した各社の車両」 (1986) pp.170 - 171
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 「私鉄車両めぐり(87) 名古屋鉄道 終」 (1971) p.56
- ^ a b 「名古屋鉄道の車両前史 現在の名鉄を構成した各社の車両」 (1986) pp.169 - 170
- ^ a b c 『RM LIBRARY130 名鉄岐阜線の電車 -美濃電の終焉(下)』 p.7
- ^ a b c d e f g h i 『最新電動客車明細表及型式図集』 p.15
- ^ a b c d e 『RM LIBRARY130 名鉄岐阜線の電車 -美濃電の終焉(下)』 p.6
- ^ a b 鉄道技術史 - 岡崎南公園に保存中の名鉄401号電車 - 白井昭電子博物館(2007年5月9日) 2013年10月20日閲覧
- ^ a b c 『日本の私鉄4 名鉄』 p.117
- ^ a b 『RM LIBRARY78 山形交通三山線』 pp.38 - 39
- ^ 『名古屋鉄道社史』 p.277
- ^ a b 『名古屋鉄道社史』 pp.280 - 281
- ^ 「名鉄 モ800系レポート (2)」 (1973) p.72
- ^ a b c 「『モ』四五〇型電動客車共通運転許可申請並ニ車号変更届」
- ^ a b c 『RM LIBRARY130 名鉄岐阜線の電車 -美濃電の終焉(下)』 p.5
- ^ a b c d 「特集 白井昭の一口メモ」 (PDF) - 名古屋レールアーカイブス NRA NEWS No.13(2012年8月) 2013年10月20日閲覧
- ^ a b c 「電車をたずねて8 ローカルカラー豊かな名古屋鉄道揖斐・谷汲線」 (1973) p.41
- ^ a b 『私鉄の車両11 名古屋鉄道』 p.179
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