各務支考とは? わかりやすく解説

かがみ‐しこう〔‐シカウ〕【各務支考】

読み方:かがみしこう

[1665〜1731]江戸中期俳人美濃の人。別号獅子庵・東坊など。蕉門の十哲一人。師の没後美濃派一流開いた。著「笈日記」「(くず)の松原」など。


各務支考

読み方かがみ しこう

江戸前中期俳人美濃生。別号に東坊・西華坊・獅子庵等。蕉門十哲一人美濃派始祖として、蕉風全国普及させた。『笈日記』『葛の松原』『俳諧十論』等多く著作がある。享保16年(1731)歿、67才。

各務支考

かがみしこう

寛文5年享保16年(1731.2.7))

各務支考

(『芭蕉歌仙図』より)

美濃の国山県郡北野村(現岐阜市出身各務は、姉の婚家の姓でここに入籍したため。はじめ、僧侶志すが禅にあきたらず下山して、乞食となって諸国行脚するこの間神学儒学修めたといわれている。後に伊勢山田 からはじめて美濃蕉門俳諧広めて蕉門美濃派創始するなど政治的手腕並々ならぬものがあったようである。
芭蕉との出会い元禄3年芭蕉幻住庵入った頃と、蕉門では許六並んで遅い入門であったが、芭蕉臨終看取るなど、密度の濃い付き合いがあった。
蕉門随一理論家といわれる反面正徳1年(1711)8月15日には、自分葬儀主催するなど風狂の風があり、毀誉褒貶もまた激しい。芭蕉も、其角去来のような信頼支考寄せことはなかったが、気の置けない弟子として許していたようであることは、書簡などに見える。 死の床における支考活躍獅子奮迅のそれであって芭蕉遺書代筆するなど、その師弟関係見事に有終の美飾ったのである上の図のように、生涯坊主姿でとおした
盤子<ばんし>、隠いんけい>は支考別号

支考宛書簡(元禄7年閏5月23日)

支考の代表作


各務支考

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 02:35 UTC 版)

各務支考
ヒト
以下の一部分 蕉門十哲 
性別 男性 
国籍 日本 
母語表記 各務支考 
各務 
読み仮名 かがみ しこう 
生年月日 1665 
出生地 山県郡 
死亡年月日 14 3 1731 
死没地 大智寺 
埋葬地 大智寺 
使用可能言語 日本語 
職業 俳人著作家 
弟子 彭城百川 
師匠 松尾芭蕉 
宗教 仏教 
ムーブメント 美濃派 

各務 支考(かがみ しこう、寛文5年(1665年) - 享保16年2月7日(1731年3月14日))は、江戸時代前期の俳諧師蕉門十哲の一人。村瀬吉三郎の子。別号に東華房西華房獅子庵などがある。美濃国山県郡北野村西山(現在の岐阜市)出身。

幼少より俳才を発揮し、元禄のころに松尾芭蕉の門下に入る。森川許六とともに論客と知られたが、性格は利己主義的だとして悪評もあった。後年、美濃派の育成に努めた。著書は『笈日記』・『俳諧十論』・『葛の松原』など多数。

生涯

幼少の頃父を失い、禅刹大智寺に入るが、19歳頃に下山して還俗し、次姉の嫁ぎ先の各務宗三郎方に入籍する[1]。以後、京都伊勢山田にいたか。元禄3年(1690年)3月、近江で松尾芭蕉に対面入門し、翌年芭蕉に従って江戸に下向する[1]。元禄5年(1692年)陸奥行脚を行い、処女作の俳論書『葛の松原』を発表する[1]。元禄7年(1694年)、伊賀から大坂へ向かう芭蕉の旅に同行し、芭蕉の臨終を看取る[1]。このとき芭蕉の遺書を代筆している。

芭蕉没後、伊賀伊勢近江江戸などを巡り、諸国行脚と追善興行を繰り返した[1]。この間、芭蕉の遺吟・遺文を集めて『笈日記』を著している。正徳元年(1711年)に佯死し、以後自らを先師と呼び、蓮二坊・渡辺ノ狂などの変名を名乗る[1]。この頃、伊勢山田に草庵(十一庵)を結び拠点としている。『伊勢新百韻』を刊行したころから支考独自の作風が確立された。その後、九州中国四国北陸など各地を精力的に旅し、句集や俳論などを盛んに出版。また多くの弟子を育成していく。享保4年(1719年)に加賀千代女を訪問し、美婦で「あたまからふしぎの名人」と喧伝した[2]

享保9年(1724年)以降、郷里の美濃山県に定住し、蘆元坊里紅に道統を譲り、獅子庵で没した[1]享年67。死の直前まで執筆を続けており、『論語先後鈔』が絶筆となる。大智寺に生前、自ら建てた墓に葬られた。墓碑銘は「梅花佛」。蘆元坊によって支考の追善集『文星観』が刊行されている。

各務支考から蘆元坊に伝えられた道統は美濃派、または獅子門と称する[1]。獅子門は、現在第四十一世道統に引き継がれ綿々と活動が続けられている(獅子門 (https://shishimon-web8.webnode.jp))。晩年の住まいだった獅子庵は岐阜県の史跡に指定されている[3]

別号一覧

  • 盤子
  • 野盤子
  • 見龍
  • 東華坊
  • 西華坊
  • 蓮二
  • 蓮二坊
  • 十一庵
  • 獅子庵
  • 獅子房
  • 獅子老人
  • 渡辺ノ狂
  • 白狂
  • 羚羊子
  • 是仏房
  • 瑟々庵
  • 万寸
  • 饅丁
  • 華表人
  • 羶乙子
  • 表蝶子
  • 博望士
  • 烏有仙
  • 黄山老人
  • 坊主仁平
  • 佐渡入道
  • 霊乙
  • 橘尼子
  • 桃花仙
  • 松尊者竹羅漢
  • 卉名連

編著

  • 『葛の松原』(処女作)
  • 『芭蕉翁追善之日記』
  • 『笈日記』
  • 『梟日記』
  • 『続五論』
  • 『西華集』
  • 『東華集』
  • 『帰花』
  • 『そこの花』
  • 『東西夜話』(元禄14年)
  • 『玉まつり』
  • 『草刈笛』牧童と共編
  • 『霜のひかり』編
  • 『夜話くるひ』
  • 『白陀羅尼』
  • 『三疋猿』
  • 『俳諧一巻伝』
  • 『国の花』
  • 『すの字』
  • 『三日歌仙』
  • 『東山万句』
  • 『家見舞』
  • 『南無俳諧』
  • 『越の名残』
  • 『夏衣』
  • 『白扇集』
  • 『東山墨なをし』
  • 『山中三笑』
  • 『阿誰話』
  • 『つれづれの讃』
  • 『碑銘秘註』
  • 『発願文』
  • 『本朝文鑑』
  • 『俳諧十論』
  • 『新撰大和詞』
  • 『伊勢新百韻』[注釈 1]
  • 『三千化』
  • 『蓮の葉風』
  • 『桃の首途』
  • 『芭蕉庵三日月日記』
  • 『野盤子考』
  • 『梅十論』
  • 『和漢文操』
  • 『俳諧金花伝』
  • 『灌頂伝』
  • 『三鳥伝』
  • 『白馬伝』
  • 『茶話禅』
  • 『一字録』
  • 『六一経』
  • 『和漢百花賦』
  • 『俳諧古今抄』
  • 『難陳二百韻』
  • 『口状(露川責)』
  • 『十論為弁抄』
  • 『削りかけの返事』
  • 『論語先後鈔』
  • 『芭蕉翁廿五箇条』
  • 『古今集俳諧歌解』
  • 『仮名遣捷径』
  • 『俳諧廿五箇条注解』

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e f g h 岡本勝雲英末雄編『新版近世文学研究事典』おうふう、2006年2月、354頁。 
  2. ^ 岡本勝雲英末雄編『新版近世文学研究事典』おうふう、2006年2月、363頁。 
  3. ^ 三輪の歴史文化散策ガイド 岐阜市。2021年9月11日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク




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