グルーミング 社会的グルーミング

グルーミング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/17 09:11 UTC 版)

社会的グルーミング

アヌビスヒヒの成体による子供ヒヒのグルーミング(ンゴロンゴロ保全地域)
アヌビスヒヒの成体による子供ヒヒのグルーミング(ンゴロンゴロ保全地域
グルーミングしあう3頭のマカク(インド・ロナヴラ(英語版)近郊)
グルーミングしあう3頭のマカクインドロナヴラ英語版近郊)
グルーミングしあうポニー
グルーミングしあうポニー
ネコの社会的グルーミング
ネコの社会的グルーミング
スミレコンゴウインコの社会的グルーミング
スミレコンゴウインコの社会的グルーミング

社会的グルーミングまたはソーシャル・グルーミング: social grooming or allogrooming)とは、ヒトを含む社会的動物の個体同士が群の中で互いの体や外観をきれいにしたり整えたりする活動である。これは重要な社会活動であり、近接して生活している動物たちが社会構造、家族の絆を築き補強し、人間同士が人間関係を構築する手段となっている。また社会的グルーミングは一部の種では和解の方法や紛争解決英語版の手段としても用いられる。

他の個体が体の手入れをするのを助ける個体はまた社会的な絆と信頼を形成するのにも寄与するという点で、これは衛生健康のために行われる通常のグルーミング行動の再利用なのである。

人間以外の動物

社会的グルーミングで除去されるもの(昆虫、寄生虫、木の葉、泥、小枝など)は自分だけで行うグルーミング(セルフグルーミング)と同じである。また、撫でる、掻く、マッサージするなどの形を取ることもある。

この活動の最も良い例となるのは霊長類であろう。霊長類学者はグルーミングを霊長類世界の社会的な接着剤と呼んできた。グルーミングが築く信頼と絆は群の協調に決定的に重要である。社会的グルーミングは、協力関係と順位制を確立・維持し、協調関係を構築し、紛争後の和解を行う上で重要な役割を果たし、また食料や交尾のような他の資源と交換されるリソースともなる[12][13][14][15]。退屈な時間にも社会的グルーミングは行われ、この行為が緊張とストレスを緩和することが示されている[16]。リラックスした行動が観察される時期に付随することが多く、グルーミングを受けている間に眠りに落ちてしまうことが知られている[17]

オスのカニクイザル交尾にありつくためにメスにグルーミングを行うことが研究により示されている。オスが最近メスにグルーミングを行っていた場合、行っていないオスと比べそのメスが性行為に及ぶ可能性が高かった[18]

霊長類以外でも、昆虫[19]魚類[20]鳥類[21]有蹄類[22]コウモリ[23] などもまた社会的なグルーミングを行う。霊長類の社会的グルーミングは非常に良く研究されているが、これら他の動物のものについてはあまり知られていない。

哺乳類はしばしば社会的グルーミングを行う。家畜、特にネコイヌは、信頼できる人間に愛情の印としてグルーミングをする。

人間同士のグルーミング

メアリー・カサット画『子の髪を梳く母』(1879)

人間の社会的グルーミングの実証的研究も若干数が存在している[24][25]。これらの研究は主にアメリカ合衆国とその他の西洋文明圏に住む大人を対象にした、自己申告による調査と実験方法に依存している。人々は、家族や友人や他人といった他の種類の関係にある人に対してよりも、恋人に対してのグルーミングを多く報告している。人間関係の満足の増大、信頼、成長時の家族の愛情の経験にグルーミングは関係付けられる。グルーミングを行う人々は、グルーミングを行わずに触れ合う人々に比して、より良い将来的な親であり、グルーミングした相手に対しより愛が熱く、思いやりがあり熱心であると受け止められている。女性は、互いにグルーミングを行いあう人達は恋愛関係にあると考える傾向にあるが、男性はそうではない。また、互いにグルーミングを行いあう人達が恋愛関係にある場合、その人達は恋愛し始めたばかりではなく長い付き合いをしているのだと人々は考える傾向もある。人間の相互グルーミングはつがい形成の上で役割を果たしているのである。

グルーミングの内分泌効果

グルーミングはβ-エンドルフィンの放出を促進し、これがグルーミングに緊張緩和の効果があるように見える生理学的な理由の1つである[26]。さらに、1997年に発表された論文では、母親によるグルーミングが増加すると、それに比例して新生ラットの標識組織のグルココルチコイド受容体が増加すると結論づけられている。セロトニン甲状腺刺激ホルモンの双方の濃度が変化することによって受容体数が変わるのであるということも発見された。受容体数の増加は、副腎皮質ステロイドの分泌への負のフィードバックに影響し、異常な生理学的ストレス反応の望ましくない副作用を防ぐものと考えられる[27]


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  1. ^ 中村美知夫「霊長類の文化 (PDF) 」 、『霊長類研究』第24号、日本霊長類学会、2009年、 pp. 229-240、 doi:10.2354/psj.24.229ISSN 1880-2117
  2. ^ Stout, Sam D.; Agarwal, Sabrina C.; Stout, Samuel D. (2003). Bone loss and osteoporosis: an anthropological perspective. New York: Kluwer Academic/Plenum Publishers. ISBN 0-306-47767-X. 
  3. ^ Leschnik, Michael; Joachim Weikel, Karin Möstl, Sandra Revilla-Fernández, Eveline Wodak, Zoltan Bagó, Elisabeth Vanek, Viviane Benetka, Michael Hess, Johann G. Thalhammer (2 2007). “Subclinical Infection with Avian Influenza A H5N1 Virus in Cats”. Emerging Infectious Diseases 13 (2): pp. 243-247. doi:10.3201/eid1302.060608. pmc: PMC2725870. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2725870/. "Therefore, the most likely route of transmission for these cats is contagious fecal contamination of the hair and oral uptake during grooming." 
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