UFO研究と学術的な仕事
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「ジャック・ヴァレ」の記事における「UFO研究と学術的な仕事」の解説
1955年3月、ヴァレはポントワーズの自宅で初めて未確認飛行物体を目撃した。6年後の1961年、フランスの天文台でスタッフとして働いていた時に、ヴァレは、地球を周回している未知の物体の航跡を記録したテープが廃棄されるのを目撃した。その異常な物体は逆行衛星――つまり、地球の自転とは逆の方向に周回する衛星だった。彼がこれを観察した当時、そのような衛星を打ち上げるに足るだけのパワーをもったロケットは存在しなかった。それ故に観測チームの面々はひどく興奮し、地球の重力が自然界の衛星(つまり小惑星である)を捉まえたのではないかと考えた。が、そこにやってきた上司はそのテープを消去してしまった。この出来事は、ヴァレがその後長くUFO現象に興味を抱き続けるようになるきっかけとなった。 他の多くのUFO研究者同様、1960年代半ばのヴァレは、当初、地球外起源仮説(すなわちET仮説である)の裏付けを取ろうと試みていた。斯界をリードする研究者であるジェローム・クラーク は、彼が最初に出した2冊のUFO本は、それまでにET仮説を擁護すべく書かれたものの中で、最も科学的に洗練されたものだったと評している。 しかし、1969年までに彼はその結論を変えてしまい、公然とこう述べるに至った――ET仮説はあまりに偏狭で、あまりにも多くのデータを無視しさっている、と。ヴァレは、UFOと他のもの、つまりカルト・宗教運動・デーモン・天使・ゴースト・未確認生物の目撃・サイキック現象といったものの共通性を探究しはじめたのだ。こうしたものの間の潜在的な連関についてめぐらせた考察は、まず、彼の3番目の書物『マゴニアへのパスポート:フォークロアから空飛ぶ円盤へ』で詳述されることとなった。 地球外から訪問者が来ているという仮説に代わるものとして、ヴァレは多次元訪問仮説というものを示唆した。この仮説はET仮説を拡張したもので、つまり、いわゆる地球外存在というものは潜在的には「どこから来ていたとしてもおかしくない」というものである。その存在は時空を超えた多次元的なものであるかもしれず、従って人間と共存しながらその存在を知られぬままでいる可能性がある、ということをそれは意味している。 ポピュラーなET仮説に対するヴァレの批判は主だったアメリカのUFO研究者たちには受けが悪く、従って当時の彼はさながらその世界から追放された者のようであった。実際、彼は自らのことを「異端者の中の異端者」と称している。 ヴァレのET仮説に対する異論をまとめた論文としては、「未確認飛行物体の地球外起源説に抗する5つの議論」(ジャーナル・オブ・サイエンティフィック・エクスプロレーション、1990年)がある。 科学界の意見というのは、総じて世論の後追いをしてきたようだ。つまり「未確認飛行物体は実在しない」(自然現象仮説)とするか、もしそれが存在するのならば「それは我々が宇宙を旅行してきた進んだ種族の訪問を受けていることの証拠であるに違いない」(地球外仮説、すなわちET仮説)とするか、のいずれかである。が、UFOの調査というのはこの二方向のいずれかを追究せねばならぬわけではない、というのが著者の見解である。集積されてきた情報のデータベースは幾つかのパターンを示しており、それらはおおむね「UFOは現に存在しており、これまで認識されたことのない現象のあらわれであるが、諸々の事実は<宇宙からの訪問者>といった、皆が共有している概念を支持しているわけではない」ということを明かしている。以下に明示する5つの議論は、ET仮説と矛盾をきたすものである。 説明不能な接近遭遇事例は、地球の物理的探査のために必要なものとして行われていると考えた場合、あまりにも数が多すぎる いわゆる「エイリアン」のヒューマノイド型の身体構造は、他の惑星に発したものとは考えがたく、生物学的にいって宇宙旅行に適合したものではない 何千ものアブダクション事例で報告された振る舞いは、「そこでは進んだ種族によって遺伝的ないしは科学的な検査が行われた」とする仮説と矛盾する 有史以来の人類史を通じてこの現象がみてとれるということは、UFOが現代に特有の現象ではないことを示している UFOは明らかに時間と空間を操作できる能力を持っており、そのことは従来のものとは全く異なった、より多彩な別の解釈があることを示唆している ヴァレは、ファティマの奇蹟と聖母マリアの出現の探究にも功績を挙げている。彼の仕事は、ファティマ=UFO仮説を支持するために用いられてきた。ヴァレは、ファティマで見られた「太陽のダンス」がUFOであった可能性を最も早く論じた人物の一人である。UFOという概念はむろん(注:ファティマの奇蹟があった)1917年の時点では知られていなかったのであるが、ファティマの顕現の現場にいた人々のほとんどは、そこで起きたとされる事象を「UFOのせいだ」などとは思いもしなかったであろう(むろん「地球外のものだ」などということは尚更ありえない)。ヴァレはまた、その他の宗教的顕現譚がUFOの活動の結果であった可能性についても考察をめぐらせている。ルルドの聖母や、ジョセフ・スミスへの啓示といったものである。ヴァレは他の研究者たちとともに、アカデミズムの中でも超常現象はもっと研究されるべきであると唱えてきた。彼らは、こうした問題を神学者たちだけに任せておいてはならない、と考えているのである。
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