SPC700とは? わかりやすく解説

SPU

(SPC700 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/30 04:37 UTC 版)

SPU (: Sound Processing Unit) は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)によって設計・製造され、同社ゲーム機に搭載されたPCM音源につけられた名称である。PlayStationに搭載されたSPU、PlayStation 2に搭載されたSPU2がある。スーパーファミコンの音源に使用されたSPC700に由来している。

SPC700

スーパーファミコン S-DSP A
スーパーファミコン S-SMP

任天堂のスーパーファミコンに搭載された音源は、DSPと、制御用チップS-SMP(SPC700コア)から構成される。SPC700は6502を拡張した命令セットを持ち(オブジェクトの互換性はない)、本体のCPUとは別に動作する。

当時ソニーのハードウェアエンジニアであった久夛良木健が設計を手がけた。当初スーパーファミコンでは別の音源が採用される予定であったが、任天堂の担当者の前で久夛良木がSPC700のデモンストレーションを行いその性能をアピールし、その能力が認められたため、スーパーファミコンに採用されることとなった[1]

スーパーファミコンの音源の性能は以下の通り。

スペック

スーパーファミコンの仕様が正式発表された1988年当時のスペックとしては非常に高性能なものであった。特に、音楽業界でPCM音源が普及する以前の時代に、エフェクター付きで32kHzのサンプリングレートのデータを扱えるポリフォニックPCM音源をゲーム機に搭載しようとする事自体が異例であり、SPC700を用いたスーパーファミコンならではのゲーム音楽が誕生することとなった(例として、同時期の競合ゲーム機であるPCエンジンやメガドライブの音源は、外付けCDドライブからのPCMデータストリームを除けば波形メモリ音源FM音源である)。

しかしながら、メモリの容量や同時発音数、データサイズの制限、初期のライブラリの音源ドライバー(かんきちくん)の使い辛さや、スーパーファミコンの標準の開発機材だったソニーのNEWSUNIX環境に製作側が慣れていないなど、初期は製作ノウハウ面でハードルが高かったこともあり、SPC700の能力を発揮するためには、ドライバの自作や改造ができる高度な技術を持ったプログラマーや、それに対応できるサウンドコンポーザーの腕が必要であった。そのため、スーパーファミコンのゲームサウンドはソフトによって音質が異なる。

SPC700の性能を生かした作品例にサテラビューのゲーム「Rの書斎」がある。これはサテラビューから受信したデータをメモリーパックへ一時蓄積しつつSPC700によって再生するという手法を用い、CD-ROM機以外では不可能と思われていた音声の分岐を実現したものである。なお、後発のPlayStationシリーズのSPUとSPU2はこのSPC700を改良させたものである。

SPU

SPU CXD2938Q SCPH-9000に実装

SPUはPlayStationに搭載されたPCM音源である。性能は以下の通り。

スペック
  • メモリ: 512KB
  • サンプリング周波数: 44.1kHz (CD-DAと同じ)
  • 同時発音数: ステレオ、24チャンネル

SPC700に比べ、性能が大幅に強化されている。また、メディアにCD-ROMが用いられるためファイルサイズの制限がSPC700よりも緩くなったことから、様々な音色を用いるゲーム音楽が誕生した。

SPU2

SPU2はPlayStation 2に搭載されたPCM音源である。性能は以下の通り。

スペック
  • メモリ: 2MB
  • サンプリング周波数: 48kHz (DVD-Videoと同じ) または44.1kHz
  • 同時発音数: ステレオ、48チャンネル

脚注

  1. ^ 麻倉怜士 (1998). ソニーの革命児たち—「プレイステーション」世界制覇を仕掛けた男たちの発想と行動. IDGコミュニケーションズ. 4872803507 

関連項目


SPC700

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 17:20 UTC 版)

SPU」の記事における「SPC700」の解説

任天堂スーパーファミコン搭載され音源は、DSPと、制御チップS-SMP(SPC700コア)から構成される。SPC700は6502拡張した命令セット持ちオブジェクト互換性はない)、本体CPUとは別に動作する当時ソニーのハードウェアエンジニアであった久夛良木健設計を手がけた。当初スーパーファミコンでは別の音源採用される予定であったが、任天堂担当者の前で久夛良木がSPC700のデモンストレーション行いその性能アピールし、その能力認められたため、スーパーファミコン採用されることとなったスーパーファミコン音源性能以下の通りスペック SRAM: 64KB サンプリング周波数: 32kHz 同時発音数: 8チャンネル 16bit PCM ステレオADPCM) SPC700クロック周波数: 2.048MHz DSPエフェクター)の機能:BRR英語版圧縮され波形データ復元 ADSR ガウス分布補間 エコー ディレイ最大240ms) リバーブ次数8のFIRフィルタ付) ピッチモジュレーション(1チャンネルのみ不可ノイズ発生周波数: 0〜32kHz) ピッチベンド スーパーファミコン仕様が正式発表され1988年当時スペックとしては非常に高性能なものであった。特に、音楽業界PCM音源普及する以前時代に、エフェクター付きで32kHzのサンプリングレートデータ扱えるポリフォニックPCM音源ゲーム機搭載しようとする自体異例であった1990年スーパーファミコン発売後には、SPC700の性能生かしてスーパーファミコンでは数々良質なゲーム音楽誕生することとなったスーパーファミコン発売当時競合16ビットゲーム機外付けCDドライブからのPCMデータストリーム除けばFM音源波形メモリ音源搭載に留まっている。 しかしながらメモリ容量同時発音数データサイズの制限初期ライブラリ音源ドライバーかんきちくん)の使い辛さや、スーパーファミコン標準開発機材だったソニーNEWSUNIX環境に製作側が慣れていないなど、初期は製作ノウハウ面でハードル高かったこともあり、SPC700の能力発揮するためには、ドライバ自作改造ができる高度な技術持ったプログラマーや、それに対応できるサウンドコンポーザーの腕が必要であった。そのためスーパーファミコンゲームサウンドは製作側の能力いかんによって大きく音質異なる。 SPC700の性能生かした究極作品サテラビューゲーム「Rの書斎」がある。これはサテラビューから受信したデータをメモリーパックへ一時蓄積しつつSPC700によって再生するという手法用いCD-ROM機以外では不可能と思われていた音声分岐実現したのである後発プレイステーションシリーズSPUSPU2はこのSPC700を発展・改良させたものである

※この「SPC700」の解説は、「SPU」の解説の一部です。
「SPC700」を含む「SPU」の記事については、「SPU」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「SPC700」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「SPC700」の関連用語

SPC700のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



SPC700のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのSPU (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、WikipediaのSPU (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS