Intellectual Ventures Lab
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「インテレクチュアル・ベンチャーズ」の記事における「Intellectual Ventures Lab」の解説
2009年、同社は"Intellectual Ventures Lab"というプロトタイプ開発及び研究用ラボラトリを立ち上げた。のちに発明開発のために著名な科学者を雇用しており、MITのロバート・ランガー、Institute for Systems Biology(英語版)のリロイ・フッド、ハーバード大学医学部のエド・ハーロウ(Ed Harlow)[要出典]、Applied Minds(英語版)のダニー・ヒルズ(英語版)、インペリアル・カレッジのサー・ジョン・ペンドリー(Sir John Pendry)、及びLLNLのミュリエル・Y・イシカワらが同ラボに所属している。サンデー・タイムズが報じたところによると、同社はワクチン研究分野や光コンピューティング分野など幅広い研究分野に渡り年間約450件の特許出願を行っており、2010年5月時点でうち91件の特許権が認められた。自社開発の発明も保持しており、例を挙げると、ウラン廃棄物、または、自然界に豊富に存在し放射線リスクが比較的小さいトリウムを核燃料として利用可能な、従来より安全な原子炉の設計(これは進行波原子炉(traveling wave reactor)と呼ばれる)、「SDI・スター・ウォーズ・テクノロジー」を利用し蚊を死滅させるレーザー、及びモンテカルロ・シミュレーションを応用したコンピュータ・モデリングによるマラリアの感染地域及び時期の予想などである。 社会における様々な現象や環境問題などについて経済学的視点による鋭い指摘を加えた書籍、スーパーフリーコノミクス(英語版)(日本語翻訳版 『超ヤバい経済学』)が2009年に刊行された。同書は同ラボの特許取得済みのテクノロジーを用いたいくつかの問題解決策を取り上げており、例えば、火山噴火直後の噴煙を利用して光を遮り、気候を人工的に作り変えることで、気候変動がもたらす全世界規模での問題を解決する、または低減するための彼らの技術開発の取り組みを紹介している。のちに同書を通じてメディアも頻繁に彼らの活動を報じるようになった。同書の第5章に書かれているもう一つの地球温暖化対策は、ネイサンの企業による特許取得済みの技術を基に、成層圏硫酸塩エアロゾル(英語版)(stratospheric sulfate aerosols)を用いた地球工学技術により気候変動の世界規模での制御を可能にする取り組みである。仕組みを平たく述べると、成層圏に大量の亜硫酸ガスを放出して、「ストレイトーシールド」(stratoshield)という気体層を作り、太陽光線の一部を反射させることで人工的に地球薄暮化を起こさせる、というものである。とはいえ亜硫酸ガスは呼吸器への悪影響をもたらすため、このことが物議を醸した。CO2排出削減の代替案として採り上げるこれら地球工学技術に関する説明を含め、一部の経済学者や気候科学の専門家は、この第5章には誤解を招く記述や疑わしい論拠が多数見受けられると述べ非難している。ポール・クルーグマン、ブラッド・デロング(英語版)といった経済学者や、ザ・ガーディアン、ジ・エコノミストといったメディアがその代表的な例である。ザ・ニューヨーカー誌の科学記事担当記者で地球温暖化に関する記事を多数手掛けたエリザベス・コルバート(英語版)は、「地球温暖化問題をテーマに彼ら(著者のレヴィットとダブナー)が述べたことは、実のところ正しくない」と強く主張している。これに対し、レヴィット(Levitt)とダブナー(Dubner)は彼らの前著フリーコノミクス(英語版)[要リンク修正](日本語翻訳版 『ヤバい経済学』)を特集するブログにて、そもそも地球温暖化の原因は人類によるもの(英語版)であり、これは重大な問題なのだ、と主張する。彼らは、(この環境問題が)避けられない終末を迎える、という誇張された主張に対し警鐘を鳴らす。そのような主張をする代わりに、彼らは地球温暖化の潜在的問題に正面から取り組むためのより新しい、または注目される他の解決策に関心を寄せようと期待する。 2009年3月、IVは発明創出、並びに発明及び特許がもたらす市場開拓を推進するために、アジア地域における著名な科学者及び学会との提携を見据え、中華人民共和国、インド、日本、大韓民国、及びシンガポールに事業を拡大する旨の発表を行った。
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