2010年 -63連勝-
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 09:42 UTC 版)
1月場所初日は、横綱土俵入りの所作に於いて、四股を自分の足元を見て踏む形に変更したことに気を取られたため、せり上がりを忘れるハプニングがあった。この日は2007年以来の天覧相撲となったが、土俵入りは天皇・皇后の到着前だったため、大きな問題とはならなかった。 7日目に把瑠都に敗れて連勝が30で止まり、12日目に日馬富士に敗れて2008年11月場所以来となる2敗目を喫した。翌13日目も2006年5月場所以降、本割で17連勝中だった魁皇に敗れ、久々の連敗で3敗となった。14日目は結び前の一番で琴欧洲に勝ったものの、朝青龍がその後結びの一番で日馬富士に勝利し、朝青龍に25回目の優勝を決められた。翌千秋楽の結びの一番、白鵬は朝青龍を寄り倒し朝青龍戦7連勝としたが、この一番が横綱朝青龍と本場所での最後の対戦となった。 1月場所後の2月4日に朝青龍が急遽現役引退を表明したため、3月場所からの番付は史上9人目の一人横綱となった。不知火型の横綱が番付上でも一人横綱となるのは、現在の型の元祖とされる太刀山以来、史上初のことである。その2010年3月場所は、大関昇進を目指した関脇・把瑠都との優勝争いとなったが、11日目に把瑠都との全勝対決を制し、その後も連勝を続けて15戦全勝で13回目の優勝を飾った。これによって12回優勝の双葉山と武蔵丸を抜いて、優勝回数が歴代単独6位となった。ちなみに東横綱での全勝優勝は自身初。また地方場所での2年連続全勝優勝は史上初で、場所を問わない4年連続での全勝優勝達成は、双葉山、大鵬、北の湖に並ぶ記録である。 5月場所も、把瑠都ら上位陣が星を落としていく中で連勝を続けた。そして独走の中で迎えた13日目に琴光喜を破り、輪島に並ぶ14回目の優勝を決めた。14日目からは、輪島のトレードマークだった黄金色の締め込みで出場。14日目は琴欧洲、千秋楽は日馬富士を退け、2場所連続6度目の全勝優勝を果たした。直近4場所で3度の全勝優勝は、15日制の下では初の快挙である。横綱昇進後の夏場所の優勝も初めてである(横綱の5月場所優勝自体2005年の朝青龍以来5年ぶり)。なお、横綱昇進後丸3年となるこの場所を終えた段階での横綱勝率は.900という近代の大相撲では驚異的な数字にまで達した。この14回目の優勝インタビューにおいて次の目標を聞かれ、「次は平成の大横綱、貴乃花関の記録に並びたい。その先は大鵬関の記録も追い抜きたい」と答えた。優勝回数に関しては大鵬という大きな目標を出したが連勝記録については一切触れなかった事に関して、解説の北の富士は「連勝記録について何も言わなかったのは、彼自身、優勝は重ねていけても連勝を伸ばしていくのは難しいと実感しているからじゃないですかね。」と言っていた。 2010年5月に起きた大相撲野球賭博問題に関連し、花札で金を賭けていたことを上申書で申告したが、賭け金が軽微とみなされ、処分は厳重注意にとどまった。その直後の7月場所では、14日目に日馬富士を掬い投げで下し、輪島を抜く15回目の優勝を果たした。また、46連勝を達成し、大鵬の45連勝を抜いて昭和以降では歴代3位の記録となった。千秋楽も把瑠都を上手投げで下して全勝優勝を果たし、連勝記録を47に伸ばした。1場所が15日制で定着した1949年5月場所以降初となる「3場所連続15戦全勝優勝」という快挙も成し遂げた。年間3回の全勝優勝も初である。。 9月場所は3日目で50連勝を達成。富岡八幡宮にある超五十連勝力士碑に名を刻むこととなった。7日目には稀勢の里を押し出して54連勝とし、千代の富士の53連勝を抜いて昭和以降では単独2位となった。14日目、自らの取組前に追う2敗力士が敗れたため、16回目の優勝が決定。更に千秋楽、日馬富士を下し、4場所連続8回目の全勝優勝で双葉山、大鵬に並び、連勝記録も62とした。また自身がもつ、年度にこだわらない任意の場所の連続6場所での勝ち星記録86を更に塗り替え、87とした。 11月場所は初日に栃ノ心を上手投げで下し、江戸時代の大横綱・谷風に並ぶ63連勝を達成したが、2日目に稀勢の里に右上手を許してしまい寄り切りで敗れ、連勝記録として歴代2位、昭和以降、横綱として歴代1位の記録となる63で止まった。このあと呆然とした表情で、報道陣に「これが負けか」とつぶやいている。しかしその後は白星を重ねて14勝1敗で平幕の豊ノ島との優勝決定戦を制し、5場所連続17回目の優勝を達成した。また千秋楽の白星で「2年連続年間最多86勝」を樹立した。後にこの連勝を止められた一番に関しては2019年の記事で「九州場所をもし全休して調整に専念していたら(休場を挟んだ記録という形でなら)連勝記録がもっと継続していたかもしれない」と冗談交じりに話している。
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