大横綱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 02:36 UTC 版)
幕内最高優勝回数や連勝記録、勝率が際立って高い横綱は大横綱(だいよこづな)、特に元号が昭和・平成の頃に活躍した横綱はそれぞれ、昭和の大横綱、平成の大横綱と呼ばれている。 江戸時代の大横綱は谷風、明治時代の大横綱は初代梅ヶ谷。大正時代の大横綱は太刀山、栃木山を指すことが多い。 谷風の横綱在位場所数は年6場所制定着後の大横綱と比べ少ないが、谷風が実質的な初代横綱であり現役中に横綱制度ができたことや、当時本場所が年2場所制だったことを考えると少ないとはいえない。また、現在の年6場所制で大横綱とよばれる貴乃花(優勝22回)、北の湖(優勝24回)等の優勝回数に比肩する優勝回数(谷風の優勝相当成績:21回)を、現在の3分の1しかない年2場所制で達成したことを考えると、谷風の優勝回数は極めて多いといえる。 現に150年以上の年2場所制の時代で20回以上の優勝・優勝相当成績を達成したのは谷風と雷電(優勝相当成績:28回)だけである。さらに、優勝20回以上、50連勝以上、通算勝率9割以上を達成したのは大相撲の長い歴史の中で谷風だけである。以上のように、谷風は天下無敵とよばれるのにふさわしい成績を収めている。そのため谷風は歴代横綱の第一人者とされ、実質的な初代横綱として横綱の模範とされる大横綱である。 太刀山の優勝回数・横綱在位場所数は、昭和の大横綱と言われる双葉山の成績と比較しても遜色ない。両者は谷風、雷電と比較すると優勝回数が少ないが、谷風を除けば年2場所制下の横綱中で優勝回数が多い。年2場所制下では双葉山は歴代4位、太刀山は歴代5位の優勝回数である。年6場所制での大横綱である大鵬、千代の富士、北の湖、貴乃花と比べれば優勝回数・横綱在位場所数が少ないが、年2場所制下での成績であることや連勝・勝率からして大横綱と呼ばれるのにふさわしいと考えられている。 昭和の大横綱は、一般的には双葉山、大鵬、北の湖、千代の富士の4人を指すのが妥当と考えられる。なお千代の富士は、平成初期(元年〜3年)にかけても活躍しているが、昭和末期(56年〜63年)の頃の活躍が主であり、「平成の大横綱」と呼ばれる事はほとんどなく、「昭和最後の大横綱」と呼ばれる事が多い。 平成の大横綱は、第65代横綱・貴乃花が活躍し始めたころ、昭和の大横綱と比較する形で生まれた。第68代横綱・朝青龍も、優勝25回・7場所連続優勝・年6場所完全制覇などの大記録を誇る。 第69代横綱・白鵬は2009年と2010年に年間最多の86勝を達成し、さらに2010年には年6場所制以降で史上初の4場所連続15戦全勝優勝や、平成最多の63連勝を成し遂げた。年6場所制では概して幕内優勝回数が20回を超えると大横綱と呼ばれる傾向があるが、2011年9月場所で白鵬も優勝回数を20回の大台に乗せ、2015年1月場所には大鵬を超える33回目、2017年11月場所には40回目の優勝を記録。記録上では「大横綱」と呼ばれるが、実際には多くの記録を更新したことから「第一人者」と呼ばれることが多い。 特に上述の横綱の中で、谷風と双葉山は力量だけでなく品格抜群と評され、歴代横綱中別格の存在として他の力士の模範となっている。
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