2010年代前半 CPUのSoC化
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「CPU年表」の記事における「2010年代前半 CPUのSoC化」の解説
半導体回路の微細化が引き続き進む中、消費電力密度の上昇により、回路上で同時稼働させることのできないエリアが増え(ダークシリコン問題)、多くの処理を専用回路にオフロードすることで電力効率と処理効率の向上を狙う流れが強まった。この流れの中で、並列処理に特化したGPUなどの専用回路もCPUの一機能として取り込まれつつある。外部インターフェースを担うチップセットの機能も取り込まれ、汎用プロセッサとSoCの距離が近づいている。 スーパーコンピュータなどのハイエンド分野においてもx86の進出が進んだ。一方、2010年代に入り著しくなっているのが、組み込み用途とデスクトップの境界領域にあたる携帯デバイスの成長である。スマートフォンやタブレットコンピュータなど、モバイルオペレーティングシステムを搭載した情報機器にはパソコン並みの汎用性が強く求められ、組み込み向けプロセッサと汎用CPUの境界はあいまいとなりつつある。この分野においては多様なニーズに特化したSoCに組み込まれるARMアーキテクチャが標準の座を固め、Atomなどのx86プロセッサの進出は不調に終わった。 2010年2月9日 IBM、POWER7を発表。サーバ/メインフレーム用マルチコアCPU。POWER6の5倍の性能を持ち、8コアで最大で32スレッドを実行可能。 2010年9月9日 アーム、Cortex-A15 MPCoreを発表。32ビットCPUコア。これまでARMアーキテクチャがターゲットとしてきた組み込み向けに加え、モバイルパソコンや高密度サーバもターゲットとした。最大1TBのメモリ空間、OSの仮想化支援、ソフトエラー訂正など、サーバ用途を意識した機能を搭載し、最大16コア構成が可能。 2011年1月4日 AMD、第一世代のAMD Fusionを発表。64ビットシングルコア/デュアルコアCPUにGPUを密接に統合し、APU(Accelerated Processing Unit)と称する。部品点数と消費電力を削減できるメリットがあり、主に低価格パソコンやポータブルパソコン向け。 2011年1月5日 インテル、Sandy Bridgeマイクロアーキテクチャを採用した第二世代Coreシリーズを発表。64ビットマルチコアCPU。「Intel Core i7」・「Intel Core i5」・「Intel Core i3」・「Intel Pentium」・「Celeron」および「Xeon」ブランドで発売される。GPUコアをオンダイで統合し、新SIMD拡張命令セットIntel AVX を搭載した。 プロセスルールが前世代のNehalemマイクロアーキテクチャの45nmから32nmに変更された。 2011年1月5日 NVIDIA、Project Denverを発表。パソコン・モバイル機器・高密度サーバ用SoC。独自開発のARMマルチコアにGPUを組み合わせ、従来のx86ベース汎用プロセッサの代替を狙う。 2011年10月12日 AMD、BulldozerアーキテクチャベースのAMD FXプロセッサを発表。最大8コアのパソコン向けプロセッサ。マルチスレッドでパフォーマンスを稼ぐ設計思想で、2コアでFPUを共有する独特の構成をとる。 2011年10月18日 オラクル、SPARC T4プロセッサ搭載のサーバ製品を発表。8コア64ビットCPU。2命令同時発行やアウトオブオーダー実行、3次キャッシュなどを実装した新開発のS3コアを実装し、前世代のSPARC T3に比較して、単一スレッド当たりの処理速度が約5倍、浮動小数点演算性能が約3倍に向上。 2012年4月24日 インテル、Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャを採用した第三世代Coreシリーズを発表。64ビットマルチコアCPU。3Dトライゲートトランジスタを採用し、統合GPUを大幅に強化。乱数ジェネレータとRdRand命令などを追加した。「Intel Core i7」・「Intel Core i5」および「Xeon」ブランドで発売される。 プロセスルールが前世代のSandy Bridgeマイクロアーキテクチャの32nmから22nmに変更された。 2012年10月30日 アーム、Cortex-A57/A53を発表。前年に発表した64ビットのARMv8アーキテクチャに準拠する、初のCPUコア。 アウトオブオーダー機構を搭載し性能を重視したA57とインオーダー構造で消費電力を重視したA53を組み合わせる(big.LITTLE)仕様は、ARMの伝統的な市場であるモバイルを中心ターゲットとしているが、高密度サーバも狙う。 2013年2月18日 オラクル、SPARC T5プロセッサを発表。64ビットマルチコアCPU。コアは既存製品のSPARC T4と変わらないS3コアだが、16コアで最大128スレッドの実行が可能となった。 また同日には富士通がSPARC64 Xプロセッサを発表した。16個のCPUコアを内蔵し、最大32のスレッドを実行できる。 2013年6月2日 インテル、Haswellマイクロアーキテクチャを採用した第四世代Coreシリーズを発表。64ビットマルチコアCPU。演算処理のためのポート数が6個から8個へ拡充。4K解像度に対応した。Thunderboltテクノロジに対応。 プロセスルールは22nmから変更はない。 2014年4月 IBM、POWER8を発表。64ビットマルチコアCPU。最高クロック周波数5GHzを誇る。 2014年9月5日 インテル、Broadwellマイクロアーキテクチャを採用した第5世代Coreシリーズを発表。64ビットマルチコアCPU。ストアフォワーディングの高速化され、ギャザー命令の高速化もされた。ほとんどがHaswellと変わりない。新ブランドとして「Core m」が追加された。 プロセスルールが前世代のHaswellマイクロアーキテクチャの22nmから14nmに変更された。
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