音楽的嗜好と影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 13:47 UTC 版)
元々ザ・ベンチャーズ、寺内タケシとブルージーンズ等のインストナンバーを好んで聴いており、“歌入り”の音楽に興味を持っていなかった。ザ・ビートルズの日本公演に足を運んでいるが、これは、同グループのアルバム『Rubber Soul』にこれまでのバンドとは異なる魅力を感じた来生えつこが、そのことを弟にも気付かせたいと思い、都合で同行できなくなった友人の代わりに誘ったものだった。やがて来生自身も、特にポール・マッカートニーの作品を敬愛するようになる。 一方、たまたまジャケットが気に入って買ったギルバート・オサリヴァンのシングル「さよならがいえない」(原題:No Matter How I Try)や、続く「アローン・アゲイン」や「クレア」等に、探し求めていたものに出会えたという意味で大きな衝撃を受け、“大明神”と称する程に崇めることになり、その楽曲(特に「クレア」)をモチーフに作った曲も多く、またその初期のスタイルを模した衣装でアルバムのジャケットを飾ったり、同様の衣装で「アローン・アゲイン」「クレア」をカヴァーしたこともあり、ビジュアル的にも多大な影響が窺えるが、これには“四畳半フォーク”に馴染めず、弟の作るお洒落なポップスのイメージを強く支持していた来生えつこの、“長髪にジーンズというスタイルだけは避けたかった”という意向も反映されていると思われる。 他にも好きなアーチストや楽曲として、フランシス・レイ(映画『白い恋人たち』のメインテーマ)、ヘンリー・マンシーニ(「Moon River」)、バート・バカラック(「Raindrops Keep Fallin' On My Head」)、エミット・ローズ、マイケル・ジョンソン等を挙げている。“無人島に持って行く1曲”を問われた時は、映画『太陽がいっぱい』のメインテーマ(作曲:ニーノ・ロータ)を選び、古今東西の楽曲の中で一番好きだと語っているが、別の番組では「Moon River」を一番好きな楽曲としている。 また、近年のコンサートでは昭和の流行歌を披露するようになり、2008年には、小学生時代の愛唱歌である「雨に咲く花」(歌唱:井上ひろし)や平岡精二作品等のカヴァーを収録したオリジナルアルバム『余韻』をリリースし、前述の海外アーチスト以前に昭和歌謡の影響もあることを公表している。 他作家の楽曲には音楽理論的な見地から関心を寄せることが多い。小林亜星作曲の「ギターをひこう」(歌唱:加藤登紀子)、加山雄三(弾厚作・名義)作曲・歌唱の「君のスープを」等では、その転調の面白さを語り、1999年にエルヴィス・コステロが歌った「She」には“好きな1曲で、最初のメロディーは良いが、後半はちょっと残念”という感想を述べ、また、当初は全く新しい曲だと思っていたが、カヴァー(シャルル・アズナヴールによる1974年の作品)だと分かり、がっかりしたという。これは往年のようなシンプルで良い曲が近年に現れたと感激していたからである。 ギルバート・オサリヴァンに関しては、コード・メロディー・構成が意外な展開を見せる点、ジャズのコードを用いながらポップ調に仕上げる点、1曲の中に多様なエッセンスを贅沢に入れている点等をその魅力として挙げており、自らの声質に合う美しいながらもシンプルなコード進行やメロディーであるポール・マッカートニー作品より凝っていて、専門的な音楽的教養から生み出されるバート・バカラック作品より面白いと分析している。さらに、ヴォーカルフィーリングや、2拍・4拍を強調するリズミックなピアノ演奏にも言及し、独創的なセンスを持った“最後のシンガーソングライター”とも評している。
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