非現住建造物等放火罪とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > > 犯罪 > > 非現住建造物等放火罪の意味・解説 

ひげんじゅうけんぞうぶつとうほうか‐ざい〔ヒゲンヂユウケンザウブツトウハウクワ‐〕【非現住建造物等放火罪】

読み方:ひげんじゅうけんぞうぶつとうほうかざい

人が住んでいない住居や、人がいない建物・船・鉱坑などに放火する罪。刑法109条が禁じ2年上の有期懲役処せられる。ただし、これらが自己所有物である場合は6か月以上7年以下の懲役となり、さらに公共の危険を生じなかったときは罰せられない


非現住建造物等放火罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/21 10:47 UTC 版)

非現住建造物等放火罪
法律・条文 刑法109条
保護法益 公共の安全
主体
客体 現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑
実行行為 放火
主観 故意犯
結果 結果犯、抽象的危険犯(2項は具体的危険犯)
実行の着手 焼損に原因を与える行為を開始した時点
既遂時期 焼損した時点(2項は公共の危険が生じた時点)
法定刑 2年以上の有期懲役(2項は6ヶ月以上7年以下の懲役)
未遂・予備 未遂罪(刑法112条)、予備罪(刑法113条)
テンプレートを表示

非現住建造物等放火罪(ひげんじゅうけんぞうぶつとうほうかざい)とは、刑法に規定された犯罪類型の一つ。放火して非現住建造物等を焼損し、よって公共の危険を生じさせた場合に成立する(刑法109条第1項)。法定刑は2年以上の有期懲役

本罪の犯罪が成立するためには公共の危険が発生したことが立証されることは不要である(抽象的危険犯)。

非現住建造物等

「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑」と定義されている。つまり「現住」建造物(等)だけでなく「現在」建造物(等)にも該当しないものが非現住建造物(等)である。なお、現代語化以前においては「現ニ人ノ住居ニ使用セス又ハ人ノ現在セサル」となっていたが、これは明らかな立法ミスであり、現行法と同じ適用範囲に解されていた。

自己の所有物への放火の特則

刑法109条1項の客体に形式的に該当する場合でも、それが行為者自身の所有物(自己の物)である場合は、6ヶ月以上7年以下の懲役に法定刑が軽減され(109条2項)、未遂罪予備罪の規定も適用されない。本罪には財産罪的な側面もあるからである。ただし、115条に該当する場合(「差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、又は保険に付したものである場合」)はこの第2項の犯罪は適用されず、第1項の犯罪が適用される。なお、この第2項の犯罪については、公共の危険が発生したことが立証されることが必要である(109条2項但書、具体的危険犯)。

公共の危険の認識の要否

2項の罪の成立に、公共の危険の認識が必要かどうかをめぐって争いがある。認識は不要とするのが判例(大判昭和6年7月2日刑集10巻303頁)であるが、学説上は、109条2項は公共の危険の発生を構成要件要素とする具体的危険犯なので、故意の内容として公共の危険の発生の認識が必要であるとするのが多数説である。

延焼罪

自己所有非現住建造物等放火罪を犯し、よって自己所有の非現住建造物等以外の建造物等に延焼させた場合、延焼罪(111条1項)が成立する。なお、結果的加重犯である延焼罪の法定刑は3月以上10年以下の懲役であり、基本犯である自己所有非建造物等放火罪の法定刑よりも下限が軽いという不均衡が生じている。

関連項目

参考文献

  • 前田雅英 『刑法各論講義-第3版』 東京大学出版会、1999年。
  • 井田良 『刑法各論』弘文堂、2002年



非現住建造物等放火罪と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「非現住建造物等放火罪」の関連用語

非現住建造物等放火罪のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



非現住建造物等放火罪のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの非現住建造物等放火罪 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS