露鵬と白露山の大麻吸引・所持疑惑
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「大相撲力士大麻問題」の記事における「露鵬と白露山の大麻吸引・所持疑惑」の解説
2008年9月2日、日本相撲協会の再発防止検討委員会は、日本アンチ・ドーピング機構の大西祥平専門委員の指導のもと、力士会の定例会の冒頭で抜き打ちで簡易検査による尿検査を行った。その中で露鵬と白露山の2名の尿のサンプルから陽性反応が出た。協会は警視庁に報告を行い、これを受けて、警視庁組織犯罪対策第五課は大麻取締法違反(所持)容疑で、2人の所属する大嶽部屋と北の湖部屋を家宅捜索したが、大麻の所持を裏付けるものは発見されなかった。露鵬と白露山は警察の取調べでも大麻の所持を否定した。 その後も露鵬と白露山は大麻の所持を否定し潔白を主張し続けた。しかし、6日になって精密検査でも露鵬と白露山の尿から陽性反応が出た事が明らかになった。白露山の師匠でもある北の湖理事長は、再検査で陽性となった場合も、警察の捜査結果が出るまで処分を下さない方針を示唆しており、14日から始まる予定の9月場所にも出場させる考えを示していた。 9月8日、日本相撲協会は再発防止検討委員会、臨時理事会、評議員会を開いた。再発防止検討委員会では、精密検査の結果が委員と露鵬と白露山本人に報告し、2人から弁明も聞いた。その上で、精密検査の結果は副流煙のものとは考えられないほど高い数値を示していることと検査の信頼性などから、大麻の使用を否定するのは難しいと結論付け、午後の理事会の冒頭で報告した。理事会では北の湖理事長は理事長を辞任し、大嶽親方は委員から年寄へ降格、露鵬と白露山は解雇処分とすることを決定した。任期の途中で理事長が交代される例は2例目(1957年に出羽海理事長 (元横綱常ノ花)が自殺未遂の末に辞任)で、引責辞任による交代は初めてであった。 2008年9月場所の番付が発表された後だったが、一部の新聞では場所中の星取表に、「露鵬 解雇」「白露山 解雇」と表記されず、2人の名前が削除されたものがあった。 露鵬と白露山の両名は、2008年10月27日、解雇処分に対し、日本相撲協会を相手にこれを無効とし力士としての地位確認を求める訴訟を東京地方裁判所に提起し、同年12月1日に初回口頭弁論が行われた。また、力士としての地位保全を求めた仮処分の申請も同時に東京地裁に対して行ったが、2009年3月16日に東京地裁は申請を却下。両名はこれを不服として東京高裁に即時抗告を行ったが、同年7月上旬にこれも却下された。 2009年6月29日に開かれた口頭弁論での本人尋問においては、原告両名がともに髷を結い羽織をまとって力士としての姿で出廷し、無実と角界への復帰を訴えた。同年8月31日の口頭弁論では、露鵬の師匠であった大嶽親方が原告側証人として出廷し、簡易検査において相撲協会から「解雇はしないから検体を出すように」と言われて露鵬を説得したが、直後に警察に通報されたことを「はめられたと思った」と証言した。また、この口頭弁論では、この事件後に大麻所持によって有罪判決を受け相撲協会を解雇された元若麒麟による陳述書が提出され、2008年9月の検査で若麒麟に陽性反応があったにもかかわらず、処分なしとされた内容が含まれていたと原告側訴訟代理人が明らかにした。同年12月21日の口頭弁論では、事件当時の理事長で白露山の師匠であった北の湖親方が原告側の証人として出廷し、尿検査を行った段階では仮に陽性反応が出た場合にどのような処分を行うかは決めていなかったこと、解雇に際しては陽性反応のほか、両力士が2008年6月のロサンゼルス巡業でも大麻を吸引したとされること、検査結果が大麻の常用を疑われる数値を示したことなどを考慮したと証言した。これに対し原告側は、検査前に処分を決めておかなかったこと、ロザンゼルスでの大麻吸引に関しては根拠が薄弱なことを理由に、解雇処分の無効を主張した。 2010年4月19日に第一審の判決が言い渡され、露鵬と白露山の請求は棄却された。東京地裁は、争点となった「大麻検査および解雇手続の適正性」については問題なしとし、「他のスポーツと比較しての処分の重さ」については「薬物使用に対する協会の姿勢および社会情勢から重いとはいえず」、「国技たる相撲は他のスポーツと比較できない」と結論した。露鵬と白露山はこれを不服として4月26日に東京高等裁判所へ控訴したが、11月18日に東京高裁は控訴を棄却した。露鵬と白露山はこれを不服として上告したが、日本相撲協会の第三者機関の委員を務めていた弁護士の望月浩一郎によれば、2011年4月1日までに露鵬と白露山の敗訴が確定したという。 また、露鵬と白露山は、11代伊勢ノ海(元関脇藤ノ川)ら、露鵬らの解雇の原因となったドーピング検査を実施した再発防止検討委員会の元メンバー4名を相手に、薬物検査や解雇手続きに問題があったとして1億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。2010年12月10日、東京地裁は「検査の手続きが公正さや適正さを欠いたとはいえない」として露鵬と白露山の請求を棄却した。露鵬と白露山は判決を不服として控訴したが、2011年6月29日に東京高裁は両名の控訴を棄却した。
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