露見した問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:04 UTC 版)
この海戦で那智・羽黒・妙高・足柄・神通・那珂が秘密兵器と言われた九三式魚雷(酸素魚雷)を発射したが、殆どが発射直後に水面から飛び出したりしてまともに進まず、さらには自爆も多発し、三月一日の昼戦では一本も命中しないという事態が発生した。この事態に対して、戦闘終了後に詳細な調査が行われた。早爆の最大要因は、爆発尖(魚雷の先端にあり、衝撃で撃針を作動させ火薬を爆発させる装置)が規格はずれの軽い力で働くよう現場(艦の水雷科兵員)で調整されており、このため敵艦に命中する以前に波浪の衝撃で爆発したのである。竹大部員は『帝国海軍軍人の「大和魂」が自爆を起こした主な要因であった。泣いてよいのやら感激してよいのやら、自分にはいまだ分らない』と述べている。九三式魚雷の権威・大八木静雄技術少将も、『爆発尖の感度調整器を各艦に供給したのは、千載の痛恨事である』と回想した。その他の原因として、開発実験から訓練にいたるまで今まで、艦の速度が30ノットを超える速度での発射を行ったことが無かったため、想定外の34ノットでの魚雷発射を行った結果、水中突入時の蛇行が大きくなりすぎて正常に機能しなかったためであった。もう一つの原因として深度調定(深度設定)を駆逐艦への命中に備えて4メートルと浅くしたことが上げられている。 また、酸素魚雷の自爆は1942年11月14日の第三次ソロモン海戦(夜戦)でも繰り返された。高雄型重巡洋艦愛宕、高雄が発射した酸素魚雷がノースカロライナ級戦艦のワシントンの艦首波で自爆したのである。サウスダコタ級戦艦のサウスダコタも雷撃されたが、こちらも1本も命中していない。
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