開発推移とは? わかりやすく解説

開発推移

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 22:42 UTC 版)

飛鳥 (航空機)」の記事における「開発推移」の解説

1962年昭和37年)末頃から、航空宇宙技術研究所では今後取り上げるべき重点課題について議論なされたこの中でV/STOL機研究開発が最重点課題として取り上げられ実験機研究開発を含む具体的な研究開始した1963年昭和38年)からVTOL垂直離着陸)機用超軽量リフトジェットエンジン(JR100)の研究開発着手し推力制御による高度制御試験VTOL機離着陸想定したFTB試験ホバリング試験)、着陸前に航空機の脚に替わるリフトジェットエンジンを空中起動させるエンジン再起動試験まで進められたが、当時空港周辺騒音社会問題となっており、VTOL機研究開発断念された。 1975年昭和50年)に航空技術審議会(現科学技術・学術審議会)の建議我が国適したSTOL輸送システム具体推進方策について」を受けて具体的にSTOL技術検討なされた昭和60年代以降民間機主力となると考えられ低騒音ファンジェット使用したSTOL旅客機開発必要な技術研究することを目的として、それまで進めていた空力構造エンジン等の要素技術研究成果を基にSTOL機詳細な検討がなされ、航空自衛隊C-1輸送機ベースに、当時開発中だったFJR710エンジンを4基搭載したSTOL実験機研究開発することが決定された。 1977年昭和52年)には、航空宇宙技術研究所内に横断的組織として「STOLプロジェクト推進本部」が設置された。また、C-1輸送機開発メーカである川崎重工業に関係機体メーカ横断的に組織するSTOL実験機開発チーム(NASTADT)」が発足しSTOL実験機研究開発実施体制整った1978年昭和53年)度からC-1機体製造5社による開発開始され1979年昭和54年)に川崎主契約企業三菱富士新明和工業・日飛を協力企業として、機体試作始まったまた、このSTOL実験機国民から広く親しみ持ってもらうことを期待し、その愛称日本全国小中学生から募集したところ、4,563通の応募があり、その中から「飛鳥」が採用された。 「飛鳥」は1985年昭和60年10月28日初飛行し、1989年平成元年3月まで、3年半の間に97回、計167時間10分の飛行実験行なったこの間、同じUSB方式高揚力装置を持つQSRA(関連PDF)の研究開発行っていたNASA国際共同研究行い相互実験機飛行性の評価行った。この実験機HUDやSCASなど、当時最新技術採用された。 研究成果踏まえて量産化との期待もあったが、地方空港にも長い滑走路整備されるようになったため、国策としてSTOL旅客機開発必然性薄れたことや、STOL機は、開発技術力はあったとしても、個別機体開発ごとに多額の費用掛かることが判明したため、実用化見送られた(在来機は着陸時機首を下げると高度が下がり速度上がるSTOL機首下げると高度速度とも上る高揚時の揚心の後方移動など、特性異なりSCASやFBWなど電子的補正が必要で開発費掛かる)。※ 飛鳥飛行特性資料 ちなみにアメリカ空軍においても、同形式のSTOL輸送機としてYC-14が、いささか方法異なるが同じくSTOL輸送機としてYC-15競争試作されているが、いずれも高コスト理由不採用終わっている。現時点において同様の形式STOL機として実用化されているのはアントノフ設計局 An-72/74のみである。 プロジェクト終了後、「飛鳥」は岐阜県各務原市岐阜かかみがはら航空宇宙博物館展示されている。

※この「開発推移」の解説は、「飛鳥 (航空機)」の解説の一部です。
「開発推移」を含む「飛鳥 (航空機)」の記事については、「飛鳥 (航空機)」の概要を参照ください。

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