運動性
運動性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/22 21:34 UTC 版)
運動性(うんどうせい、英: motility)は、多義的な用語である。生物学と航空機に関して以下で説明する。
生物学
生物が独自に自発的に動ける能力を意味する生物学用語である。単細胞生物、多細胞生物の両方に用いる。細胞生物学や医用生体工学においては、生体高分子内に形成された種々の勾配に対する、方向性のある細胞運動のことを指す。例としては以下のようなものがある。
- 化学物質の濃度勾配に沿った運動(化学走性、chemotaxis)
- 基質や培地の固さの勾配に沿った運動(走機械性、mechanotaxis)
- 細胞が接着している部位の性質の勾配に沿った運動(走触性、haptotaxis)
他にも「運動性」は、蠕動運動による腸内の便の動きや、精液中の精子の動きなどを指す場合もある。
航空機
航空機における運動性とは機体強度のことであり、例えば曲芸飛行を行う軽量のプロペラ機と軍事用のジェット戦闘機を比べれば、曲芸飛行用の飛行機は操縦性は高くとも機体強度はそれほど高くないため、重量物を搭載しての飛行は不得手であり、運動性はそれほど高くはない。ジェット戦闘機は操縦性も良好でありながら航空兵装を多数搭載してもその重量を支えて自在に飛行できるだけの機体強度も備えているため、運動性は高いといえる[注釈 1][1]。
脚注
注釈
- ^ 英語の "Maneuverability" を運動性と訳してしまい、機体を操る能力である操縦性 (Maneuverability) と混同されることがあるが、本来、異なる性能を指している。
出典
- ^ 高木雄一ほか『トコトンやさしい航空工学の本』日刊工業新聞社〈B&Tブックス. 今日からモノ知りシリーズ〉、2010年。ISBN 978-4-526-06423-4。
関連項目
運動性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:34 UTC 版)
細菌の走化性とは対照的に、真核細胞が移動するメカニズムは解明が不十分である。外部からの走化性濃度勾配を感知する機構が存在するらしく、それが細胞内のホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)という物質の濃度勾配となり、シグナル伝達によって最終的にアクチンフィラメントの重合が起きる。アクチンフィラメントの+端(成長する側、アクチンの項を参照)は様々なペプチドを通じて細胞膜の内側と連結し、仮足を形成する。PIP3の産生がDOCK2と呼ばれるタンパク質の細胞膜への集積を起こし、さらにホスファチジン酸というリン脂質が産生されDOCK2と結合することで仮足形成が効率的に進むことが明らかになっている。真核細胞の繊毛も化学走性を起こす。この場合は主にCa2+(カルシウムイオン)依存性に、基底小体と9+2構造の微小管からなるシステムが繊毛運動を誘導される。数百に及ぶ繊毛が、基底小体相互間に作られた細胞膜下のシステムによって協調運動を行うが、シグナル伝達経路の全容は未解明である。
※この「運動性」の解説は、「走化性」の解説の一部です。
「運動性」を含む「走化性」の記事については、「走化性」の概要を参照ください。
「運動性」の例文・使い方・用例・文例
- 硝酸塩を減少させ、植物の茎にこぶを作る、小さい運動性の細菌性桿状体
- 剛壁のある単純細胞と(運動性タイプの)鞭毛を持つ、単細胞のモネラ界の生物
- 小型の運動性硫黄細菌
- 曲がった棒状の運動性細菌
- 真正細菌目の、多くはグラム陽性で、有酸素、非運動性の桿状バクテリアの大きな科
- 小さなグラム陰性桿菌を持つ、運動性の周毛性細菌の属
- 植物を攻撃する棒状運動性バクテリア
- ウイルスとバクテリアの両方に似た、多形成グラム陰性の非運動性微生物
- 集中冷暖房システムに繁殖し、在郷軍人病を引き起こす可能性がある運動性有酸素の桿菌様のグラム陰性バクテリア
- 運動性で、通常、茶色がかった緑色の原生動物に似た藻類
- 大部分の人々の脳の左半球にある運動性言語中枢
- 通常マスデバリア属に分類される熱帯アメリカの種を含む:垂れ下がった根生花梗と運動性の唇弁を持つ、一風変わったしばしば不吉に見える花をつける小さい植物
- 菌の中の胞子と生殖体が運動性のもの
- 藻類、シダ、裸子植物のような運動性で雄の配偶子
- 一部感覚の活動停止を伴う、運動性あるいは精神の不活動の状態
- 他の異常(弛緩、無意識的行為または血管運動性変化)を伴う欠神発作
- 意識と運動性を失いながら生命を保っている人間
- 高運動性能軽量誘導ミサイルというミサイル防衛兵器
- 運動性高尿酸血症という症状
- 細胞で,運動性のある糸状器官
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