運動性エロモナス敗血症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/12 15:48 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動運動性エロモナス敗血症(うんどうせいエロモナスはいけつしょう、英:motile aeromonad disease)とはエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)感染を原因とする魚類の感染症。ウナギの鰭赤病、コイやキンギョの立鱗病(松かさ病)、赤斑病などが含まれる。
Aeromonas hydrophilaの菌の発育可能条件は5〜40℃、pHは6〜11、塩分濃度は0〜4%と、淡水においては極めて適応力の強い菌である。選択培地としてリムラーショット培地が存在する。
原因
環境変化(水質・水温)、有機物汚染、他種病原微生物の感染が発病誘因。
飼育魚に対する対策
予防
生物濾過を機能させて、水をアンモニアや亜硝酸塩の少ない、良い水質に保つ事が重要である。また、イカリムシやウオジラミが発生した水槽では感染する可能性が高くなるため、トリクロルホンの殺虫剤や甲殻脱皮抑制剤のジフルベンズロン(商品名:デミリン)を使い、速やかに除去したうえで抗菌剤の塗布や薬浴をすると良い。梅雨時期や夏から秋にかけてが特になりやすいので注意が必要である。
治療
アメリカでは、1989年までテトラサイクリンを使っていたが、その年に耐性菌が出現し使われなくなった。現在では合成抗菌剤のオキソリン酸(商品名:観パラD、グリーンFゴールドリキッド、水産用パラザンなど)での薬浴が推奨されている。ニフルスチレン酸ナトリウム(商品名:エルバージュエース)やスルファメラジンナトリウム(商品名:グリーンFゴールド顆粒)といった他の抗菌剤や、餌にオキソリン酸を配合した経口投与薬(商品名:パラキソリンF)を用いる場合もある。薬浴は少しの塩を同時に入れて行うと良い。部分的な症状での局所治療ではメチレンブルー、マラカイトグリーン、過酸化水素、マーキュロクロムなどでの薬浴も効果が認められている。
症状
鰭赤病
鰭の発赤、体表各所や肛門の発赤、肝臓のうっ血、腎臓の腫脹、腸管の発赤と強い剥離性カタルが認められる。
立鱗病
別名は、松かさ病。その名の通り、鱗が松かさのように逆立つことが大きな特徴。
このほかにも体表各所の内出血、眼球突出、腹水貯留、腸管の炎症が認められることもある。
赤斑病
体表や鰭の皮下出血が認められる。
参考文献
- 畑井喜司雄ほか 『魚病学』学窓社:1998年 ISBN 4873620775
運動性エロモナス敗血症と同じ種類の言葉
血症に関連する言葉 | 菌血症(きんけつしょう) 高トリグリセライド血症 運動性エロモナス敗血症 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(いぎふめいのたんくろーんせいめんえきぐろぶりんけっしょう) 敗血症(はいけつしょう) |
敗血症に関連する言葉 | ウイルス性出血性敗血症 出血性敗血症 運動性エロモナス敗血症 レンサ球菌性敗血症 その他の敗血症 |
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