調合の由来とは? わかりやすく解説

調合の由来

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/11 04:47 UTC 版)

シャネルNo.5」の記事における「調合の由来」の解説

1920年初頭フランスリヴィエラ恋人ロシア貴族ディミトリ大公からエルネスト・ボー紹介され当時シャネル中には現代的な香り生み出したいという着想があった。ボーアルフォン・ラレー社の熟練調香師で、そこで1898年から働いていた。ラレー社はロシア皇族御用達香水会社であり、「サンクトペテルブルク宮殿は、香水香る宮廷として有名だった。」アレクサンドラ皇后お気に入り香りバラジャスミンを贅沢に使用したもので、モスクワラレー社で特別に調香されており『Rallet O-DE-KOLON No.1 Vesovoi』と名付けられていた。 1912年ボーは、ナポレオン戦争勝敗分けたボロジノの戦い100周年記念し男性オー・デ・コロン「ル・ブーケ・ド・ナポレオン」を送り出した。この成功をふまえ、ボーはこの香り女性版生み出そう思いついた。女性用香水初めてフローラルアルデヒドの化学組成使用したウビガンの「ケルク・フルール」(1912年)は、非常に好評博していた。 彼はケルク・フルールに含まれるアルデヒド実験繰り返し、その成果香水「ル・ブーケ・ド・キャサリン」に結実した。この香水は、1913年ロマノフ王朝300周年記念の品とされた。 しかしル・ブーケ・ド・キャサリンの発売は、間が悪かった第一次世界大戦目前というタイミング加え香水同名帝政ロシア皇后エカチェリーナは、1世2世ともにドイツ出自であった。あまり喜ばしくない連想加え、ル・ブーケ・ド・キャサリンは非常に高価だという事実も相まって、この香水商業的に失敗終わった。 「ラレーNo.1」といった香水ブランド再生失敗し1914年には第一次世界大戦勃発ブランド世間周知させるには最悪タイミングだった。 ボー自身連合国軍白ロシア軍に所属し1917年から19年にかけて大陸最北アルハンゲリスク大尉として駐屯、Mudyug 島の刑務所囚人ボリシェヴィキ尋問した極所の氷、荒涼とした海景色、吹雪白さ彼に閃きもたらし、この地のぴんとした空気を、新し香水合成生かしたい考えようになったボーは、1920年夏の終わりから秋にかけての数か月をかけて、のちのシャネルN°5につながる香水完成させた。彼はラレーNo.1バラジャスミンベースをよりクリアかつ大胆に変更大戦中に居住していた極地の新鮮で無垢なイメージ思い起こさせる香水仕上げたボー自身発明したローズE.B」や、新しジャスミン Jasophore に由来する香りなど、最新合成物実験重ねたニオイイリスの根や自然由来ムスク増量し製法複雑化した。 劇的変化もたらしたのは、アルデヒド使用であったアルデヒドとは、カルボニル基酸素水素有機化合物である。化学反応のある段階研究施設設備利用して反応進行止めると、香り分離することができる。上手く使えばアルデヒドは「薬味」のように、香り効能促進剤役割を果たすボー助手コンスタンチンの言によればボー使用したアルデヒドは、清々しく澄みきった「心なごむ冬の香り」がしたという。 この素晴らし配合は、不注意による研究事故の結果手に入れたものだという伝説がある。普通の香料原液処方されるのに対しアルデヒドは強い香料のため、原液ではなく10パーセント溶液使用することを前提処方記入される習慣がある。この習慣をよく知らなかった助手が、アルデヒド原液処方に従って混ぜてしまい、その結果アルデヒド濃度十倍になるということは十分にあり得るとする意見がある。しかしエルネスト・ボー講演録では、アルデヒド配合については語られていないボーシャネルサンプル提示するために、ガラスの小瓶10準備したサンプルは、となるバラジャスミンアルデヒド配合バリエーションによって2つグループ分けられそれぞれに1 - 520 - 24番号振られた。 のちにシャネルは、次のように語っている。 「N°5、そう、あれは私の待ち望んだ香りでした。他のどの香水とも違う。女性の香りがする、女性香水。」 シャネルによればシャネルN°5の製法香水作り出され以来ほとんど変わっていないが、唯一野生ジャコウネコ特定のニトロ基ムスクだけはどうしても変更する必要があったという。 1921年制作されオリジナルのN°5がベルサイユにあるオズモテック(アンティーク香水博物館)に保管されている。これはシャネル代表して調香師のジャック・ポルジュが寄付したのである

※この「調合の由来」の解説は、「シャネルNo.5」の解説の一部です。
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