証明のタイムライン
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「有限単純群の分類」の記事における「証明のタイムライン」の解説
以下のリストは多くが Solomon (2001) より取られている。年は一般に結果の完全な証明が成された出版日とする。 出版年1832 ガロアが正規部分群を導入し、An (n ≥ 5) と PSL2 (Fp) (p ≥ 5) が単純群であることを発見する。 1854 ケイリーが抽象群を定義する。 1861 マシュー(英語版)が最初の2つのマシュー群(英語版) M11 と M12 を発見し、また M24 の存在も報告している。 1870 ジョルダンが幾つかの単純群を列挙した: 交代・射影特殊線型群。そして単純群の重要さを強調した。 1872 シローがシローの定理を証明した。 1873 マシューが更に3つのマシュー群 M22, M23, M24 を導入した。 1892 オットー・ヘルダーが、任意の非可換有限単純群の位数が少なくとも4つの(互いに異なるとは限らない)素数の積となることを証明した。また有限単純群の分類について問うた。 1893 コールが位数660までの単純群を分類する。 1896 フロベニウスとバーンサイドが有限群の指標理論の研究を開始した。 1899 バーンサイドが、全ての対合の中心化群が非自明な基本アーベル2-群であるような単純群の分類を行った。 1901 フロベニウスが、フロベニウス群(英語版)がフロベニウス核を持ち、それ故に単純群でないことを証明した。 1901 ディクソンが、任意の有限体上の古典群(英語版)および、標数が奇数の体上のG2型の例外群を定義した。 1901 ディクソンが E6 型の例外有限単純群を導入した。 1904 バーンサイドが指標理論を用いて、非可換な有限単純群の位数は少なくとも3つの異なる素数によって割り切れるというバーンサイドの定理を証明した。 1905 ディクソンが偶数標数の体上のG2型の単純群を導入した。 1911 バーンサイドが全ての非可換有限単純群は偶数の位数を持つのではないかと推測した。 1928 ホール(英語版)が、可解群のホール部分群の存在を証明した。 1933 ホールがp-群の研究を開始した。 1935 ブラウアー(英語版)がモジュラー指標の研究を開始した。 1936 ザッセンハウス(英語版)が有限強3重可移置換群を分類した。 1938 フィッティング(英語版)がフィッティング部分群を導入し、可解群において、フィッティング部分群がその中心化群を含んでいるというフィッティングの定理の証明を行った。 1942 ブラウアーがある素数の1乗でちょうど割り切れる群のモジュラー指標を記述した。 1954 ブラウアーが GL2 (Fq) を対合の中心化群としてもつ単純群を分類した。 1955 ブラウアー・ファウラーの定理(英語版)が与えられた対合の中心化群を持つ有限単純群は有限個であることを示し、このことから対合の中心化群を用いて群の分類を進められることが提案される。 1955 シュヴァレーがシュヴァレー群(英語版)を導入し、F4, E7, E8 型の例外単純群を与えた。 1956 ホール・ヒグマンの定理(英語版) 1957 鈴木通夫が、奇数位数の全ての有限単純CA群(英語版)は巡回的であることを示した。 1958 ブラウアー・鈴木・ウォールの定理(英語版)がランク1の射影特殊線型群を特徴付け、単純CA群の分類を行う。 1959 スタインバーグ(英語版)がスタインバーグ群(英語版)を導入し、3D4, 2E6 型の新しい有限単純群を与えた(後者はジャック・ティッツによっても独立に発見されている)。 1959 ブラウアー・鈴木の定理により、特に一般四元数群をシロー2部分群にもつ群は単純ではないことが示された。 1960 トンプソンが、素数位数の固定点のない自己同型をもつ群が巾零であることを証明した。 1960 ファイト(英語版)とホールとトンプソンが、全ての奇数位数の有限単純CN群(英語版)が巡回的であることを示した。 1960 鈴木が鈴木群(英語版)を導入した、これは B2 型を持つ。 1961 李林學(英語版)が李群(英語版)を導入した、これは 2F4, 2G2 型を持つ。 1963 ファイトとトンプソンがファイト・トンプソンの定理(奇数位数定理)(英語版)を証明した。 1964 ティッツがリー型の群についてBN対を導入し、ティッツ群(英語版)を発見した。 1965 ゴーレンシュタイン・ウォルターの定理(英語版)により2面体シロー2部分群をもつ群が分類される。 1966 グラウバーマン(英語版)がZ*定理(英語版)を証明する。 1966 ヤンコ(英語版)がヤンコ群 J1(英語版)を導入する。これは20世紀になって初めての新しい散在型単純群の発見であった。 1968 グラウバーマンがZJ定理(英語版)を証明する。 1968 ヒグマン(英語版)とシムス(英語版)がヒグマン・シムス群(英語版)を導入する。 1968 コンウェイがコンウェイ群(英語版)を導入する。 1969 ウォルターの定理(英語版)により、可換シロー2部分群をもつ群が分類される。 1969 散在型鈴木群(英語版)・ヤンコ群 J2(英語版)・同J3(英語版)・マクラハン群(英語版)・ヘルド群(英語版)が導入された。 1969 ゴーレンシュタインがトンプソンのアイディアに基づき、信号関手(英語版)を導入する。 1970 MacWilliams が、ランク3の正規可換部分群をもつ2群は多くとも4つの sectional 2ランクを持つことを示した。(後者の条件を満たすシロー部分群をもつ単純群は、後にゴーレンシュタインと原田耕一郎により分類される) 1970 ヘルムート・ベンダー(ドイツ語版)が一般化フィッティング部分群(英語版)を導入する。 1970 アルペリン・ブラウアー・ゴーレンシュタインの定理(英語版)により、準2面体や wreathed なシロー2部分群をもつ群が分類される。これにより、最大でもランク2の単純群の分類が完成する。 1971 フィッシャー(英語版)がフィッシャー群(英語版)を導入する。 1971 トンプソンが2次対 ?(英語版)を導入する。 1971 ベンダーが強く埋め込まれた部分群(英語版)をもつ群を分類する。 1972 ゴーレンシュタインが有限単純群を分類するための16ステップのプログラムを提案する。最終的に得られた分類も、このアウトラインにとてもよく沿っている。 1972 ライアン(英語版)がライアン群(英語版)を導入する。 1973 ラドヴァリス(英語版)がラドヴァリス群(英語版)を導入する。 1973 フィッシャーがベビーモンスター群(英語版)を発見する(未出版)。これはフィッシャーとグライス(英語版)がモンスター群を発見するために用いたものである。またモンスター群は、トンプソンをトンプソン散在群(英語版)へと、そしてノートン(英語版)を原田・ノートン群(英語版)へと(ただしこれは原田により異なる手法で既に発見されていた)導いた。 1974 トンプソンがN群(英語版)(可解な局所部分群をもつ群)を分類する。 1974 ゴーレンシュタイン・原田の定理(英語版)により、sectional 2-rank at most 4 の単純群が分類された。その結果、残る有限単純群は成分型か指標2型の群へと分類される。 1974 ティッツが、最低でもランク3のBN対をもつ群がリー型の群であることを示す。 1974 アシュバッハーが proper 2-generated core をもつ群を分類した。 1975 ゴーレンシュタインとウォルターが L-balance theorem を証明する。 1976 グラウバーマンが可解な信号関手定理を証明する。 1976 アシュバッハーが component theorem を証明する。これは大ざっぱに言うと、幾つかの条件を満たす奇数型の群が標準形において成分を持つと言うことを示している。標準形の成分をもつ群は、多くの著者による論文の巨大なコレクションにおいて分類が成されている。 1976 オナン(英語版)がオナン群(英語版)を導入する。 1976 ヤンコがヤンコ群 J4(英語版)を導入する。これが最後に発見された散在型単純群である。 1977 アシュバッハーが奇数標数をもつリー型の群を、彼の古典対合定理(英語版)を基に特徴付ける。単純群の「ほとんど」を扱うこの定理により、分類の終わりが間近に迫ってきたと広く感じられるようになった。 1978 Timmesfeldが O2 extra-special 定理を証明した。このことで、GF(2) 型の群(英語版)の分類が、幾つかの小さな問題へと分割された。 1978 アシュバッハーが薄い群(英語版)、すなわち偶数標数の体上のリー型のランク1の群を分類した。 1981 ボンビエリが消去定理(英語版)を用いて李群の特徴付けにおけるトンプソンの仕事を完成させた。これは分類における最も困難なステップの一つであった。 1982 Patrick P. McBride がすべての有限群について信号関手定理を証明した。 1982 グライスが手作業によりモンスター群を構成した。 1983 ギルマン・グライスの定理(英語版)により、標数2型かつ標準成分をもつ少なくともランク4の群が、3分法定理(英語版)の3つのケースのどれか一つに分類される。 1983 アシュバッハーが uniqueness case の仮説を満足する有限群が存在しないことを証明した。uniqueness case とは、標数2型の群についての3分法定理が与える3つのケースの内の1つである、 1983 ゴーレンシュタインとライアンが、標数2型かつ少なくともランク4の群について3分法定理を証明する。一方アシュバッハーはランク3の群について証明した。このことでこれらの群は、3つの小ケースに分割された:すなわち、uniqueness case・GF(2) 型の群・標準成分をもつ群である。 1983 ゴーレンシュタインが、分類の証明が完了したとアナウンスした。しかし準薄(英語版)ケースの証明が不完全であったため、これは尚早であった。 1994 ゴーレンシュタイン、ライアン、ソロモン(英語版)が、改訂された分類の出版を開始した。 2004 アシュバッハーとスミス(ドイツ語版)が準薄群(すなわち偶数標数の体上の多くともランク2のリー型の群)について彼らの仕事を出版し、この時点で知られている分類の最後のギャップが埋められた。 2008 原田とソロモンがマシュー群 M22(英語版) をカバーする、標準成分をもつ群についての分類の小さなギャップを埋めた。これは M22 のシューア乗数(英語版)についての計算において、誤って証明に欠落が生じていたためである。 2012 ジョルジュ・ゴンティエ(英語版)とその共同研究者達が、証明支援言語Coqを用いたファイト・トンプソンの定理の機械的チェックの成功をアナウンスした。
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