設計・製造メーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 00:28 UTC 版)
半導体産業の中でも、自社で新たな半導体素子の開発を行って設計し、生産ラインを保有して製造を行う会社が産業の中核を成している。 これらのメーカーはその製造する半導体の種類によって大きく2つに分かれ、多くの半導体製造会社はいずれか一方を主力製品として製造しているが、デジタルとアナログの混載製品も製造される。 アナログ半導体メーカー デジタル半導体メーカー アナログ半導体には個別半導体(ディスクリート半導体)と集積回路(IC)となった製品が存在し、個別半導体としてはLEDや太陽電池といった身近な製品から、高周波の電波領域に関わる高性能製品や、一部の産業用パワーエレクトロニクス用製品のような特殊な製品があり、従来、トランジスタやダイオードといった個別半導体で構成されていた音響機器は、今ではほとんどがアナログ半導体による集積回路で構成されるようになっており、そういった集積回路も含めて、それぞれを得意とする企業があり、分業化と専門化が進んでいる。 デジタル半導体ではさらに製造する製品による分業化が進み、量産製品を作るメーカーでもCPU、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイスとFPGA、標準ロジックICなどを、いくつかは複数分野の製品を作ることはあってもほとんど専門分野に注力している。また、デジタル半導体では特注品にも分類できる製品としてASICがあり、このASICは特注ばかりでなく汎用品としても販売される。 デジタル半導体を製造する企業としては、自社内で回路設計から製造工場、販売までの全ての機能を持つ垂直統合企業の他に、自社では設計だけ行い、製造だけを行う企業へ生産を委託する分業の形態がある。以下ではデジタル半導体での分業化を示すがアナログを専門とするファブレス企業も複数存在する。 ファブレス・メーカー 半導体の回路設計を行い外注生産後にその製品を販売する会社である。需要家の要求や市場の予測に基づいて新規に電子回路の半導体部分の回路を設計して、生産は半導体生産工場である「ファブ」(Fab、foundry、ファウンドリ)を持つ外部企業に委託することになり、多くが専業ファブやファウンダリ企業と呼ばれる企業に委託される。過去には生産設備を保有していたが資本の有効利用や生産規模の流動化への対応を求めて、分社化や売却を行った結果としてファブレスとなった会社や、新興企業で生産設備を持たずに比較的小さな需要の製品を作る会社がある。 専業ファブ(ファウンダリ企業) 半導体の生産設備だけを持つ会社である。自らは回路設計を行わず、ファブレス・メーカーや設計と製造の両方を行う企業からの要望に応じて半導体の委託生産を行う。基本的には半導体生産の前工程(上流工程)だけを行い、製造されたウエハーは依託元企業か、後工程(下流工程)を行う「サブコントラクター」と呼ばれるテスト&パッケージング専業会社に引き渡すことになる。前工程と後工程のすべてを行う専業ファブもある。マスクパーターンを決めるレイアウト設計から行うことが基本であるが、製造も行う企業からの委託では工程の互換性が取れればレイアウト設計やレチクル作成は省ける。 21世紀現在、製造施設の有無に関わらず回路設計を行う会社は、外部企業が保有するIP(Intellectual Property)と呼ばれる既存の回路設計の使用権を購入することで、汎用的な回路をわざわざ自社内で設計するコストと時間を省いて、既に動作が保証されているIPを自ら設計する回路の一部に取り込むことがある。 IPプロバイダー 設計会社、又は製造会社の特殊化した形態ともいえるが、自ら設計した回路構成を他社に使用権として販売することで収益を得る会社である。また、専業ファブの中には顧客が求めそうな機能ブロックをIPとして保有し使用権を販売することで、顧客の囲い込みを図る会社もある。IPはプロセス技術に制約されるため、専業ファブの得意なプロセスでIPを持つことは一般的に他の汎用的なIPより有利である。 デザインハウス 設計会社では製造を外注するが、製品そのものは設計会社のものである。これに対してデザインハウスでは、設計製造する半導体企業が回路設計の全体、又は一部分の設計作業だけを外部企業であるデザインハウスに委託するので、設計した製品はデザインハウスのものではない。
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