腫瘍抗原
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腫瘍抗原(tumor antigens)とは、腫瘍細胞の表面にあるMHCクラスIまたはMHCクラスII分子によって提示される抗原である。このような細胞にのみ存在する抗原は腫瘍特異的抗原(英語版)(TSA)と呼ばれ、一般的には腫瘍特異的な突然変異に起因する。より一般的なものは、腫瘍細胞と正常細胞が提示する抗原で、腫瘍関連抗原(英語版)(TAA)と呼ばれる。これらの抗原を認識した細胞障害性Tリンパ球は、腫瘍細胞を破壊できる可能性がある。 腫瘍抗原は、たとえば、変異した受容体の形で腫瘍の表面に現れることがあり、その場合、B細胞に認識される。 ウイルス病因を持たないヒト腫瘍の場合、腫瘍特異的なDNAの変化によって新規ペプチド(ネオエピトープ)が作られる。
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腫瘍抗原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 13:27 UTC 版)
「ポリオーマウイルス科」の記事における「腫瘍抗原」の解説
ラージT抗原はウイルスの生活環の調節に重要な役割を果たしており、ウイルスDNAの複製起点に結合してDNA合成を促進する。また、ポリオーマウイルスは複製を宿主細胞の装置に依存しているため、複製が開始されるためには 宿主細胞がS期にある必要がある。またラージT抗原はいくつかの制御タンパク質に結合することで細胞のシグナル伝達経路を調節し、細胞周期の進行を促進する。この作用は、がん抑制遺伝子p53やRbファミリーのメンバーの阻害、そしてDNAへの結合、ATPアーゼ型ヘリカーゼやDNAポリメラーゼα(英語版)との結合、転写開始前複合体の構成因子への結合による細胞成長経路の刺激という二方面からの攻撃によって行われる。この細胞周期の異常な刺激は、発がん性形質転換の強力な駆動力となる。 スモールT抗原も、細胞増殖を刺激するいくつかの細胞経路を活性化することができる。ポリオーマウイルスのスモールT抗原は共通してPP2Aを標的とする。PP2AはAkt、MAPK、SAPK経路など複数の経路の重要な多サブユニット型調節因子である。メルケル細胞ポリオーマウイルスのスモールT抗原はLT-stabilization domain(LSD)と呼ばれる固有のドメインをコードしている。LSDはE3リガーゼFBXW7(英語版)に結合して阻害し、細胞由来とウイルス由来の双方のがんタンパク質を調節する。SV40とは異なり、メルケル細胞ポリオーマウイルスのスモールT抗原はin vitroで齧歯類細胞を直接形質転換することができる。 ミドルT抗原は、MMTV-PyMTシステムなど、がん研究のために開発されたモデル生物で利用されている。このシステムではミドルT抗原はMMTV(英語版)プロモーターと共役したがん遺伝子として機能し、腫瘍を形成する組織はMMTVプロモーターによって決定される。
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腫瘍抗原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 02:17 UTC 版)
詳細は「腫瘍抗原」を参照 癌細胞では正常では発現しないはずの抗原が産生されることがあり、これを腫瘍特異抗原(TSA)と呼ぶ。一方、正常組織にも癌組織にも発現している抗原は腫瘍関連抗原(TAA)と呼ばれる。これらの腫瘍抗原は細胞の有する遺伝子に変異が起こった結果生じたタンパク質であり、その産生機構については(1)ウイルス産物(例:EBウイルス)、(2)癌遺伝子あるいは癌抑制遺伝子における変異、欠失などの変化などが提唱されている。これらの腫瘍抗原は下記に示すような細胞により認識され、腫瘍細胞は排除されるはずであるが、実際には免疫寛容と呼ばれる機構が働いて免疫系が腫瘍細胞をうまく認識できないことも多い。そもそも免疫寛容とは自己抗原に対する免疫反応が抑制される現象である。免疫寛容は免疫系の自己抗原に対する特異性に関与しており、免疫寛容の機序としてはT細胞クローンの除去やアネルギー等といったものが知られている。しかし、この免疫寛容が腫瘍抗原に対しても働くことがあり、癌細胞は生体の持つ免疫機構から免れるための機構となっている。その他にも癌細胞が抑制性のサイトカインであるTGF-βやIL-10を放出して免疫系を負に制御する免疫寛容機構も知られている。
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