置文伝説とは? わかりやすく解説

置文伝説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 17:09 UTC 版)

足利尊氏」の記事における「置文伝説」の解説

今川貞世(了俊)の『難太平記』(応永9年1402年))によれば足利氏先祖である源義家は、置文一種遺書)に、自分七代の孫に生まれ変わり天下を取るだろうと予言したという。ところが、その七代目にあたる足利家時尊氏同じく足利頼氏側室の上杉氏の子)は、自分世に天下を取ることが出来ないことを悟り自分寿命縮めることと引き替えに、子孫3代のうちに足利家天下を取ることを祈願して自刃し、その孫がまさに尊氏であるとされる。貞世自身証言によれば、貞世は尊氏直義の前でこの置文拝見した経験があり、尊氏兄弟は「今天下を取る事ただこの発願ほつがんなりけりと言ったという。 足利氏の有力武将の証言というだけあってかつては信頼の置ける話とされ、足利氏には代々天下を取る野望有り、その使命感駆られて尊氏北条高時後醍醐天皇への離反繰り返し、ついに天下牛耳ったのだと説明されることがあった。 この説に疑問提起したのは、大正・昭和期研究者である中村直勝である。正平5年/観応元年1350年もしくはその翌年書かれたと思われる直義書状に、「故報国寺殿」(家時)が「心仏」(高師氏)に与えたという遺書閲覧し感激したとある。直義書簡宛先高師秋師直従兄弟であるから、家時の書状代々一族保管していたと見られ、しかも直義がその存在知ったのは後醍醐との対決から15年後のことである。したがって、家時の書状存在自体は確実であるが、これを足利氏天下取り動機求めることはできない、という。 佐藤進一は、さらに、建武の乱発生した時の貞世は11歳に過ぎないことを指摘し仮にもし貞世が尊氏直義眼前で家時置文なるものを見たという証言本当であるとしても、それは幕府成立した後のことであろうから、やはり天下取り動機史料根拠としては弱いとしている。 20世紀末からは、動機根拠どころか、家時の書状内容自体が、はたして『難太平記』の言うように天下取り指示したものかどうか疑問視されるようになった川合康によれば足利氏源氏嫡流見なされるようになったのは、幕府成立した後の工作結果であり、貞世が語る義家・家時の伝説もその「源氏嫡流工作」の一環であるという。細川重男によれば、これは2016年時点での有力説である。

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置文伝説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 06:59 UTC 版)

足利家時」の記事における「置文伝説」の解説

詳細は「足利尊氏#置文伝説」を参照 今川貞世(了俊)の著作である『難太平記』(応永9年1402年))によれば足利氏には、先祖に当たる平安時代源義家書き残したという、「自分七代の子孫に生まれ変わって天下を取る」という内容置文存在し義家七代の子孫にあたる家時は、自分の代では達成できないため、八幡大菩薩三代の子孫に天下取らせよ祈願し願文残して自害したという。二代の子孫たる足利尊氏直義兄弟はこれを実見し、貞世自身もその置文見たことがある記している。 尊氏直義元弘の乱鎌倉幕府滅ぼして後醍醐天皇建武政権樹立多大な貢献したものの、最後得宗北条高時の子北条時行中先代の乱起こして鎌倉占拠したが、その後紆余曲折から後醍醐との対決である建武の乱発展し室町幕府樹立することになった。そして、足利方の有力武将である貞世の証言であることから、かつては時の願文幕府樹立動機とも考えられていた。しかし、20世紀半ば以降、この説はほとんど支持されていない。 家時が執事高師氏遣わした書状を、師氏の孫で尊氏執事となった高師直従兄弟である高師秋所持しており、直義がこれを見て感激し、師秋に直義直筆案文送って正文自分の下に留め置いた、という直義書状残っているため、「家時の置文そのもの実在は確実である。しかし、直義がこの置文見たのは建武の乱から15年後であるため、これが挙兵の動機であるとは考えにくい。 また、「家時の置文」の内容自体も、貞世の主張する天下取れ」というものとは別物だったと考えられている。「足利氏源氏嫡流である」という認識は、室町幕府成立後に、幕府正当性高めるために行った工作によって広まったものであり、貞世が語る義家・家時の天下取り伝説も、その源氏嫡流工作一環であるとするのが有力である。

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